国宝 国宝指定の対象

国宝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/23 05:01 UTC 版)

国宝指定の対象

文化財保護法による国宝の指定対象となるものは有形文化財であり、具体的には建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書、考古資料、歴史資料である(同法第2条第1項第1号参照)。したがって、古墳、貝塚、住居跡などは国宝指定の対象とはなっていない。ちなみに奈良県・高松塚古墳の場合は古墳自体は同法第109条第2項に基づき「特別史跡」に指定され、石室内の壁画が「絵画」として国宝に指定されている。

なお、文化財保護法第2条第1項第1号の「これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む」という規定に基づき、国宝建造物とともに「土地」が併せて指定される場合がある。建造物が周辺の土地を含んで国宝に指定されている例としては清水寺本堂(京都府)、宇治上神社本殿(京都府)、浄土寺本堂(広島県)がある。

「国宝○○寺」あるいは「国宝○○城」のような表記がまま見られるが、厳密に言えば寺院や城郭全体が国宝に指定されているのではなく、指定の対象はあくまでも個々の建造物である。姫路城の場合を例にとれば、国宝指定物件は4棟の天守とそれらをつなぐ4棟の渡櫓(わたりやぐら)のみであって、これら以外の櫓、門、塀などは重要文化財となっている。

御物(ぎょぶつ、皇室の私有品)および、三の丸尚蔵館を除く宮内庁(書陵部、京都事務所、正倉院事務所)管理の皇室関係の文化財は有形文化財でありながら、原則として文化財保護法による国宝、重要文化財、史跡、特別史跡等の指定の対象外となっている。これらが国宝等の指定対象外であることは文化財保護法に明文規定があるわけではなく、第二次世界大戦以前からの慣例であった。したがって正倉院宝物、桂離宮修学院離宮などは国宝に指定されていない。

文化財保護法の対象外であった宮内庁が管理する皇室関係文化財における最初の例外は正倉院の建物で、「古都奈良の文化財」の世界遺産登録を期に1997年(平成9年)に「正倉院正倉 1棟」として国宝に指定された。これは世界遺産登録の前提条件として登録物件が所在国の法律により文化財として保護を受けていることが求められるため、例外的措置として指定されたものであった(詳しくは正倉院#国宝指定の経緯の項を参照)。2018年6月に宮内庁の有識者会議が「(国民に三の丸尚蔵館収蔵品の)価値を分かりやすく示すべきだ」と提言し、宮内庁が管理する三の丸尚蔵館収蔵品も国宝や重要文化財に指定されるように運用が改められることになった[14]。その国宝指定第1弾として、2021年7月に、同館が収蔵する絵巻物の『蒙古襲来絵詞[15]と『春日権現験記絵巻[16]狩野永徳の代表作『唐獅子図屏風[17]明治時代に京都相国寺から宮内省が買い上げた伊藤若冲動植綵絵』30幅[18]、平安中期の書家小野道風の『屏風土代』の計5件が国宝に指定されるように文化審議会から文部科学大臣に答申され[19]、同年9月30日に指定された[20]。さらに2022年(令和4年)8月23日に宮内庁と文化庁は、三の丸尚蔵館を2023年10月に宮内庁から国立文化財機構に移管し、同機構を所管する文化庁が収蔵品の管理を行う体制に改めることを発表した[21]。2022年11月には三の丸尚蔵館が収蔵する3件の文化財が新たに国宝として指定されるように答申されており[22]、三の丸尚蔵館収蔵品の国宝への指定が続く予定である。


注釈

  1. ^ 文化財保護法第27条第2項に、国宝は「重要文化財のうち」から指定することが明記されている。同法第37条第2項には「国宝以外の重要文化財」という文言がある。
  2. ^ 以下の情報は指定の「件数」であって、「点数」ではない。福岡県・宗像大社所有の宗像大社沖津宮祭祀遺跡出土品約8万点、京都・醍醐寺の醍醐寺文書聖教(もんじょしょうぎょう)69,393点、京都府立京都学・歴彩館が保管する東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)24,067通のように員数の多いものも件数としては「1件」と数えている。

出典

  1. ^ a b c 小学館『デジタル大辞泉』. “国宝”. コトバンク. 2020年5月30日閲覧。
  2. ^ a b c 三省堂大辞林』第3版. “国宝”. コトバンク. 2020年5月30日閲覧。
  3. ^ a b c 平凡社百科事典マイペディア』. “国宝”. コトバンク. 2020年5月30日閲覧。
  4. ^ a b 日立デジタル平凡社世界大百科事典』第2版. “国宝”. コトバンク. 2020年5月30日閲覧。
  5. ^ a b 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “国宝”. コトバンク. 2020年5月30日閲覧。
  6. ^ a b ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』. “国宝”. コトバンク. 2020年5月30日閲覧。
  7. ^ a b 村重寧、小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』. “国宝”. コトバンク. 2020年5月30日閲覧。
  8. ^ 無形文化財”. 公式ウェブサイト. 文化庁. 2017年2月26日閲覧。
  9. ^ 修理現場から文化力”. 文化庁. 2023年11月23日閲覧。
  10. ^ 文化財指定等の件数 文化庁
  11. ^ 盗難を含む所在不明に関する情報提供について~取り戻そう!みんなの文化財~”. 文化庁 (2023年4月7日). 2023年4月26日閲覧。
  12. ^ 所在不明文化財(国指定)の内訳 文化庁 2023年4月7日
  13. ^ 所在不明になっている国指定文化財(美術工芸品)”. 文化庁 (2023年4月7日). 2023年4月26日閲覧。
  14. ^ 宮内庁三の丸尚蔵館の今後の保存・公開の在り方に関する提言 第4回 宮内庁
  15. ^ 蒙古襲来絵詞(もうこしゅうらいえことば)収蔵作品詳細 宮内庁三の丸尚蔵館
  16. ^ 春日権現験記絵(かすがごんげんげんきえ)収蔵作品詳細 宮内庁三の丸尚蔵館
  17. ^ 唐獅子図屏風(からじしずびょうぶ)収蔵作品詳細 宮内庁三の丸尚蔵館
  18. ^ 動植綵絵(どうしょくさいえ)収蔵作品詳細 宮内庁三の丸尚蔵館
  19. ^ 蒙古襲来絵詞など国宝に 宮内庁保管で初―文化審議会 時事通信 2021年7月16日
  20. ^ 令和3年9月30日文部科学省告示第161・162号。
  21. ^ 皇居内の三の丸尚蔵館、収蔵品管理を宮内庁から文化庁へ移管 朝日新聞 2022年8月23日
  22. ^ 文化審議会答申 (国宝・重要文化財(美術工芸品)の指定等)Ⅱ.解説1.国宝(美術工芸品)の指定 文化庁
  23. ^ 『月刊文化財 664号』 2019, p. 8.
  24. ^ 文化財指定等の件数”. 公式ウェブサイト. 文化庁 (2019年3月1日). 2020年5月30日閲覧。



國寶 (映画)

(国宝 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/17 05:33 UTC 版)

國寶』(こくほう、英語: Lucille Love, Girl of Mystery, 「ルシール・ラヴ、神秘の少女」の意)は、1914年(大正3年)製作・公開、ユニヴァーサル・フィルム・マニュファクチャリング・カンパニー(現在のユニバーサル・ピクチャーズ)製作・配給によるアメリカ合衆国サイレント映画シリアル・フィルムである[1]。同社初のシリアルとして知られる[1]。日本では、本作の後に製作された『マスター・キイ』、『名金』の大ヒットの後で公開された[2][3]。日本での別題『ルシル・ラブ[3]、また戦後の文献では、旧漢字・略字とりまぜての『國宝』とも表記される[3]


  1. ^ a b c d e f g Lucille Love: The Girl of Mystery, Internet Movie Database (英語), 2010年7月12日閲覧。
  2. ^ a b c d 日本映画発達史 I 活動写真時代』 、田中純一郎中公文庫、1975年12月10日 ISBN 4122002850, p.254-255.
  3. ^ a b c d e 『20世紀アメリカ映画事典』、編・畑暉男、カタログハウス、2002年4月、ISBN 4905943507, p.47.
  4. ^ a b c Lucille Love: The Girl of Mystery, Allmovie, (英語), 2010年7月12日閲覧。
  5. ^ The Perils of Pauline - IMDb(英語), 2010年7月12日閲覧。
  6. ^ Grace Cunard - IMDb(英語), 2010年7月12日閲覧。
  7. ^ The Broken Coin - IMDb(英語), 2010年7月12日閲覧。
  8. ^ 『20世紀アメリカ映画事典』、p.35.
  9. ^ 『日本映画発達史 I 活動写真時代』、p.257.
  10. ^ Lucille Love, Girl of Mystery, silentera.com (英語), 2010年7月12日閲覧。
  11. ^ Edgar Keller - IMDb(英語), 2010年7月12日閲覧。
  12. ^ Alfred Hickman - IMDb(英語), 2010年7月12日閲覧。
  13. ^ Burton Law - IMDb(英語), 2010年7月12日閲覧。
  14. ^ Jean Hathaway - IMDb(英語), 2010年7月12日閲覧。
  15. ^ William White - IMDb(英語), 2010年7月12日閲覧。
  16. ^ Lionel Bradshaw - IMDb(英語), 2010年7月12日閲覧。
  17. ^ Lew Short - IMDb(英語), 2010年7月12日閲覧。


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