学術的価値
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「北海道・北東北の縄文遺跡群」の記事における「学術的価値」の解説
縄文遺跡群世界遺産登録推進会議は、狩猟・採集・漁労を基盤とした定住生活に顕著な普遍的価値があることを推薦事由に上げているが、縄文文化全体に言えることであり、北海道・北東北に限定されることではないとする指摘も出ていた。文化審議会からも、全国約9万箇所に縄文遺跡が分布するにもかかわらず、「なぜこの4道県なのか」と疑問が呈されている他、資産を17に絞ったことについても、普遍的価値を「17遺跡で過不足なく説明できているのか」「17遺跡ありきで始まり、普遍的価値を後付けしている印象」と指摘され、さらなる見直しを求められた。2017年8月、4道県等はプロジェクトチームを発足させ、推薦書の改定作業に着手、12月に「集落」の変遷に軸を置いて説明することで顕著な普遍的価値や地域の特異性を明らかにする方向性で見直しを行うことで一致した。「シンボル的な存在」であり、知名度の高い三内丸山遺跡と他の構成遺産では、世界遺産登録の審査の基準の一つである観光客の受け入れ態勢やガイダンス設備の充実の度合いに大きな差があるとされ、登録に向けた課題となっている。 推薦書提出に際し、上記の疑問や指摘を是正し、17遺跡で構成される普遍的価値の証明として、「津軽海峡を挟んだ二つの地域に同一の文化圏が形成され、そこに草創期から晩期までの各時代の遺跡が揃っており、特に最古級の土器や漆器が出土している遺跡が含まれていることは重要」「集落跡のみならず、貝塚や墓、信仰や精神世界を表現する環状列石、さらに海岸・湖沼・河川など自然地形の古環境も網羅している事例は全国的にも稀有」「縄文文化を支えたブナ林が関東より西では高地性だが、東北では太平洋・日本海・津軽海峡という三つの海の海岸線にまで達していることで、海の幸と山の幸双方の恵みを同時に享受できたことから独自の生活様式が確立され、それを長期間にわたって継承したことは持続可能性と生物多様性を堅持していたことを示している」「世界遺産に求められる完全性として構成資産の全てが文化財保護法での史跡・特別史跡に指定されており、真正性の証明として追加の発掘調査の実施と『総括報告書』が刊行されている」「縄文文化は日本独自のものだが、世界遺産としてはより広域な同時代の文化圏との対比が求められ、先史時代の北東アジアを俯瞰し同地域に共通してみられる玦状耳飾が東北北部や北海道のものと国外を含めた他地域と比べ独創性があることを証明する研究が成されている」としたことで文化庁や学術団体の了承を得、加えて「不動産有形財構築物が対象の世界遺産にあって、その完全性を補完する動産としての考古資料(出土遺物)の多くが場域留置の郷土資料館(サイトミュージアム)などとして公開されており、これはユネスコ指針の世界遺産と博物館に沿っている(下記ガイダンス施設の項参照)」「2012年に採択された京都ビジョン(世界遺産と持続可能な開発:地域社会の役割)で地域コミュニティの関わりの重要性が確認され、他地域に先駆け世界遺産登録運動を展開したことから、ボランティアのガイドや清掃活動など老若男女を問わない住民参加型の取り組みが普及している」と補足した。また、三内丸山遺跡において出土した栗のDNAが近似したものばかりであったことから栽培されていた可能性(ボトルネック効果)が高く原始農耕が示唆されているが、さらに栗が自生していなかった北海道側の遺跡でも栗が出土しており植栽技術の伝播があった証明もこの地域ならではで評価される。 一方で、多くの遺跡で行われている竪穴住居の復元に関して、ユネスコの諮問機関で文化遺産の評価を判断するイコモスの日本組織が、「考古学遺産管理運営に関する憲章(ローザンヌ憲章)に基づき必ずしも適切とはいえない」と報告していることから、イコモスによる現地調査で厳しい指摘をうける可能性が危惧される。 このローザンヌ憲章による「発掘された遺跡の保存」として埋め戻すことが奨励されていることから、是川遺跡・亀ヶ岡遺跡・田小屋野貝塚・二ツ森貝塚ではほぼ全ての遺構が埋め戻されており、一見しただけでは遺跡として認識できない状態にあり(わずかに復元住居やモニュメントがある)、大平山元遺跡に至ってはそもそも自然堆積層の中から土器が出土したたけで遺構は一切検出されていない。 なお、世界遺産登録を視野に入れている特別史跡の尖石遺跡(長野県茅野市)などとの連携を模索する動きや、2007年に行われた世界遺産候補地公募に名乗り出た松島の貝塚群(宮城県東松島市)の取り込みなども検討されてきたが、上掲の普遍的価値の証明が確立したことから、北東北以南の縄文遺跡を含めることは整合性が取れなくなることから可能性は排除され、名称も「北海道・北東北を中心とした」だと他地域の可能性の含みを持たせてしまいかねないため、「北海道・北東北の」と改めた。一方で、埋蔵文化財としての考古遺跡はまだ未発見(未発掘)のものが全国にあるとも想定され、定説を覆す発見があれば将来的に普遍的価値の見直しも行わなければならない側面があり、同時に北海道・北東北で新たに発掘された遺跡の追加登録も可能であることを示唆している。
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学術的価値
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江戸時代の日本語を記録した日本語史の重要資料であり、敬語表現やオノマトペなどの研究に用いられる。ガ行鼻濁音の記録としても貴重である。
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