デジタル画像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/21 23:56 UTC 版)
デジタル画像(デジタルがぞう、英: digital image)とは、2次元画像を1と0(二進法)を使って表したもの。解像度が固定か否かによって、ベクターイメージとラスターイメージに分けられる。特に断らない限り、「デジタル画像」と言ったときラスターイメージを指すことが多い。
ラスター
ラスターイメージは、ピクセルと呼ばれるデジタル値を有限個並べたものである。ピクセルは所定の個数が2次元的に並べられている。ピクセルは画像の最小要素であり、対応する位置の輝度や色を量子化した値を保持する。
コンピュータ上でラスターイメージを表示する場合、ピクセルが2次元配列形式でメインメモリ上に格納されているが、補助記憶装置に格納しているときやネットワーク上を転送するときは圧縮されていることが多い。
ラスターイメージの作成には、デジタルカメラ、イメージスキャナなど様々な入力デバイスや技法を使って行う。ペイントソフトを使って人間が作成することもある。また、元々画像ではないデータから合成することもでき、数学の関数や3次元モデルなどから生成できる。特に3次元モデルによる2次元画像生成は3次元コンピュータグラフィックスと呼ばれる。デジタル画像処理は、デジタル画像の変換アルゴリズムを扱う分野である。
種類
ラスターイメージの各ピクセルは、何らかの2次元の領域内の特定の「位置」に対応しているのが普通である。その値はその位置に対応した1つ以上の量(標本)を格納している。デジタル画像は、標本の数や特性によって以下のように分類できる。
トモグラフィーで、断層撮影した画像もラスターイメージである。多数の断層画像から立体を再現する場合、ピクセルがボクセルとなる。
ファイルフォーマット
ほとんどの人々はデジタルカメラを通してラスターイメージに触れる。一部のデジタルカメラはRAWファイルフォーマットを使ってカメラが捉えたほとんど全てのデータへのアクセスを提供する。UPDIG (The Universal Photographic Imaging Guidelines) は、RAWファイルが最高画質の画像を作り出すことから、可能ならばRAWファイルフォーマットを使うことを示唆している。RAWファイルフォーマットは、最高レベルの出力の制御と正確度を与える。だが、RAWファイルフォーマットはメーカー各社独自のものが多数存在している状態だが、メーカーに詳細を開示するよう求める動きもある。また、アドビシステムズの Digital Negative (DNG) は「デジタルカメラのRAWデータを格納する標準フォーマット」として提案されている[1]。このフォーマットはまだ広く採用されるには至っていないが、徐々に広まりつつある[2]。
ベクター
ベクターイメージは、ドローソフトなどのグラフィックソフトウェアで作成するか、ラスターイメージを変換して作成する。
ラスターイメージとベクターイメージを組み合わせて画像を作成することも多い。例えば、デジタル写真に基づいたラスターイメージ上に文字列などのベクターイメージを付与することでポスターができる。
画像の閲覧方法
画像を閲覧するソフトウェアは様々である。GIF、JPEG、PNG といったラスターイメージは World Wide Web 上でよく使われるため、ウェブブラウザでも閲覧できる。W3Cによる標準フォーマットである SVG というベクターイメージのフォーマットも Web 上で広く使われるようになってきた。
閲覧ソフトはスライドショー機能を持つものが多く、指定したディレクトリ(フォルダ)内の画像を自動的に次々表示することができる。
関連項目
脚注
- ^ Digital Negative (DNG) Specification. San Jose: Adobe, 2005. Vers. 1.1.0.0. p. 9. 2007年10月10日閲覧
- ^ Anderson, Richard. The Universal Photographic Digital Imaging Guidelines. Ed. Michael Stewart. 2006. Vers. 2.0. UPDIG: Universal Photographic Digital Imaging Guidelines. p. 8. 2007年10月12日閲覧
デジタル画像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 20:28 UTC 版)
デジタル画像においてビニングとは、撮像素子上の複数の画素をまとめて一つの画素とみなす、画像の取り込み方式のことをいう。ビニングを行うことで、画像データの信号対雑音比(SN比)と、画像読み出しの速度を向上させることができる一方、画像の解像度は低下する。一般的には、信号を読み出す前に撮像素子のチップ上で実行する(ハードウェアビニング)が、読み出してデジタル画像化した後に計算機上で実行する方法もある(ソフトウェアビニング)。 ハードウェアビニングは、CCDのようなデジタル撮像素子において、蓄積した信号電荷を読み出し中に加算することで実行する。その動作は、撮像素子上の電荷を転送させるシフトレジスタのクロック信号に、特殊な設定を施すことで制御する。多くのCCDでは通常、まず垂直シフトレジスタで縦方向に1画素分電荷を転送し、水平シフトレジスタに転送された電荷を、信号を増幅・デジタル化する回路に出力する「ゲート」へと、横方向に転送する。ビニングをしない場合は、水平シフトレジスタの電荷を1画素分転送するごとに1回読み出しを行い、撮像素子の画素数と同じ画素数のデジタル画像を構成する。(詳しくは、CCDイメージセンサ#原理と構造を参照。)これに対し、垂直シフトレジスタの転送を複数回行った上で、水平シフトレジスタを読み出すことで、縦方向に複数画素の電荷を合成することができ、これをラインビニング(垂直ビニング)という。一方、水平シフトレジスタの転送を複数回行い、ゲートに蓄積した上で出力して読み出すことで、横方向に複数画素の電荷を加算することができ、これをピクセルビニング(水平ビニング)という。ラインビニングとピクセルビニングを組み合わせることもでき、例えば垂直シフトレジスタをN回、水平シフトレジスタをM回転送するごとに1回読み出すと、M×N画素の信号を加算して1画素とみなす画像を構成することができる。 ハードウェアビニングの利点は、読み出し雑音を大幅に抑えられることである。撮像素子は、読み出しを行う都度、読み出し雑音が上乗せされ、通常の読み出しでは、全画素の信号に読み出し雑音が加算される。ハードウェアビニングを行うと、読み出し雑音の加算は、まとめる複数画素につき1回分だけになるのに対し、信号はまとめる複数画素の分が合算されるので、理想的な条件下では1画素にまとめる画素数に比例して、SN比が向上することが期待される(例えば、2×2画素のビニングであれば4倍向上する)。また、ハードウェアビニングでは読み出し回数が減るので、読み出しに要する撮像にとってのむだ時間が短縮し、撮像を高速化することができる。その代償として、ハードウェアビニングでは不可逆的に画像の解像度が低下する。 ビニングのもう一つの方法、ソフトウェアビニングは撮像素子から信号を読み出した後に実行する。ソフトウェアビニングは、ハードウェアビニングより柔軟な運用が可能で、ハードウェアビニングが一般に方形の画素集合に限られるのに対し、ソフトウェアビニングは形状を限定されない合算が可能である。ビニングを実行する前に、画像の歪みなどを補正することもできる。また、ハードウェアビニングでは、加算した電荷がシフトレジスタの容量を超えると飽和し、無意味なデータとなってしまうが、ソフトウェアビニングでは各画素において容量内であれば、それ以上の制限はない。しかし、ソフトウェアビニングは一旦通常通りに読み出すので、読み出し雑音は全画素数の分加算されてしまい、ビニングを施しても合算する画素数の平方根でしか、SN比は向上しない(例えば、2×2画素のビニングであれば2倍)。また、読み出し回数が減らないので、高速化もできない。
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