ドローソフト
【英】drawing software, drawing tools
ドローソフトとは、グラフィックスソフトの一種で、図形を主にベクタグラフィックスのデータ形式で作成、編集できるソフトウェアのことである。
ドローソフトでは、図形の輪郭や点の座標、色といった上場が、関数と数値によって指定されており、演算によって図形として再現されている。このため、図形を拡大・縮小したり、変形させたりしても、滑らかな曲線を再現することができる。ちなみに「ドロー」(draw)とは「線を描く」といった意味の英語である。
また、多くのドローソフトではレイヤーと呼ばれる領域の概念が導入されている。複数の画像部品を別個に操作し、それらを並べたり重ねたりして、一つのイメージが作り上げられる。レイヤーが利用できることで、位置関係の調整や、他の部品に影響を与えずに細部の微調整を行ったりすることが容易にできる。テキスト(文字)も同様に、他のイメージとは独立してサイズやフォント、位置などの調整を行うことができる。
ドローソフトでイメージを作成する手法は、主に、イメージを構成する部品として図形をそれぞれ作成し、各レイヤーに重ねていくという方式が取られる。直線、方形、円、円弧、曲線、多角形などの図形を描き、着色、細部の調整を行い、透明度などを調整のうえ重ね合わせる。いったん作成した図形は、矩形選択ツールや、なげなわツールなどの機能を使って選択し、自由したり、サイズ変更、回転、反転といった操作を行うことができる。作成した複数の図形をグループ化すれば、各レイヤーを一まとまりの図形として扱える。
多くの場合、ドローソフトでは、デジタルカメラで撮影した画像や、スキャナで読み込んだ画像を取り込み、図形として扱うこともできるようになっている。
ドローソフトの代表的製品としては、Adobe Systemsが販売しているAdobe Illustratorや、Corelが販売しているCorelDRAWがある。または、OSSのInkscapeのように、フリーソフトウェアとして流通しているものもある。DTPソフトやCADソフトは、その多くが、ドローソフトの各種要素を特化させた発展形であるといえる。
アプリケーションの分類: | デスクトッププレゼンテーション デスクトップミュージック 電子アルバムソフト ドローソフト 通信ソフト ワープロソフト |
アプリケーションスイート: | Adobe CS |
ドローソフト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/24 19:05 UTC 版)
ドローソフト(Drawソフト、英: Drawing software)とは、主にベクタ形式での表現を利用する画像描画ソフトウェアである。 ベクターグラフィックスエディタ (英: Vector graphics editor) とも呼ばれ、ベクターグラフィックスの編集に使われるソフトウェアである。
概要
主にマウスなどポインティングデバイスを用いて、コンピュータ上で画像を描く2次元コンピュータグラフィックスのアプリケーションで、内部表現をベクタ形式としているところに特徴がある。「ドロー系」ソフトとも呼ばれるが、これはMacintosh初期のグラフィックソフトであったMacDrawを由来とすることによる。道具としての使いやすさを強調するときや、ワープロなど他のアプリケーションソフトの一部機能として使うときには、「ドローツール」という呼び方もある。
また、MacDrawやSuperDrawなどの初期のドローソフトは、OSの描画機能をそのまま利用しているため、座標単位が粗く自由曲線が描けないなどの問題があった。Adobe IllustratorやCorelDRAW、Macromedia FreeHandなど、DTP向けの高精度の出力を目的としたソフトウェアが登場することにより解決された。これらのソフトウェアはPostScriptに採用された3次ベジエ曲線の技術を応用している。
歴史
ベクタ形式による描画機能はCADソフトが先行していたが、構造計算を行い設計を支援するためのソフトウェアであり、WYSIWYGによる自由な描画機能を期待できるものではなかった。1985年にMacDrawが販売され、ついで多くのドローソフトがMacintosh上で開発された。1987年にDTP出力を目的としたAdobe Illustratorが発表されたのを皮切りに、翌年にAldus FreeHand(後のMacromedia FreeHand)、1989年にCorelDRAWなどが発売され、ドローソフトの主流になった。一方、Web上のベクタ画像の標準であるSVGがW3Cにより策定されると、SVGの出力を目的としたKIllustrator(Adobeとの商標権の問題によりkontourに改名)やSodipodi、Inkscapeなどが主にオープンソースにおいて次々に誕生していった。
隣接するジャンル
ドローツールを備えたソフトウェアは必ずしもドローソフトとは限らない。
例えばワープロソフトであるPagesはドロー機能を持っており、簡易ドローソフトとしても利用できる。DTPソフトの代表格であるQuarkXPressはバージョン4以降、簡単なページ修飾を目的としたドローツールを追加した。また、一度限りのチラシやパンフレット程度であれば、専門のソフトウェアを使用するよりドローソフトで作成した方が簡単な場合もある。
一方、ドローソフトはダイアグラムの編集にも応用されることが多いが、Microsoft VisioやOmniGraffle、Diaなどの強力なダイアグラム機能を搭載したソフトに比べると自動描画機能が劣る。また、Microsoft Wordなどのワープロソフトはダイアグラムの作成に供するためにドローツールを持たせることが多い。Microsoft PowerPointやMicrosoft ExcelのドローツールはWordに比較し安定しているためドローソフトの代替として多用されている。
CADソフトはドローソフトと互いに影響を与えながら、WYSIWYGによるドローツールを強化してきている。3DCGソフトウェアもまた2Dのドローソフトの延長線上にある。
ドローソフト自体の普及率は決して高いとはいえないが、ドローツールの機能は数多くのコンピュータユーザーに浸透していると言える。
ラスターグラフィックスエディタとベクターグラフィックスエディタ
ラスターグラフィックスエディタ(ペイントソフト)はよくベクターグラフィックスエディタ(ドローソフト)と対比され、両者の能力は互いに補い合うものである。
ベクターグラフィックスエディタはグラフィックデザイン、レイアウト、タイポグラフィ、ロゴタイプ、鋭角的な芸術的イラストレーション(カートゥーン、クリップアート、複雑な幾何学模様など)、テクニカルイラストレーション、ダイアグラム、フローチャートなどにより適している。
ラスターグラフィックスエディタはリタッチ、写真加工、写真のようにリアルなイラストレーション、コラージュ、そしてペンタブレットを用いた手描きのイラストレーションにより適している。今日の多くのイラストレーターはPainterやPhotoshopを用いてありとあらゆるイラストレーションをこなす。
PhotoshopやPaint Shop Pro、GIMPなどのラスターグラフィックスエディタの最近のバージョンはベクタ系の機能(編集可能なパスのような)もサポートしており、またCorelDRAWやAdobe Illustratorのようなベクターグラフィックスエディタも徐々にラスタ系のソフトウェアにしかなかった機能(ぼかしなど)やアプローチを取り入れるようになってきている。
代表的なドローソフト
- Adobe Illustrator
- Affinity Designer
- Macromedia FreeHand
- Adobe Fireworks
- CorelDRAW - Windows系ドローソフトの代表。
- Inkscape - オープンソースのドローソフト。クロスプラットフォームだが、主にLinuxで使用される。
- OpenOffice.org Draw
- LibreOffice Draw
- 花子 (グラフィックソフト) - ジャストシステム社の総合グラフィックスアプリケーション。
関連項目
参考資料
- 『入門CGデザイン』 画像情報教育振興協会 2006年11月。ISBN 978-4-903474-12-0
ドローソフトと同じ種類の言葉
- ドローソフトのページへのリンク