ドローソフト ドローソフトの概要

ドローソフト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/24 19:05 UTC 版)

概要

主にマウスなどポインティングデバイスを用いて、コンピュータ上で画像を描く2次元コンピュータグラフィックスのアプリケーションで、内部表現をベクタ形式としているところに特徴がある。「ドロー系」ソフトとも呼ばれるが、これはMacintosh初期のグラフィックソフトであったMacDrawを由来とすることによる。道具としての使いやすさを強調するときや、ワープロなど他のアプリケーションソフトの一部機能として使うときには、「ドローツール」という呼び方もある。

また、MacDrawやSuperDrawなどの初期のドローソフトは、OSの描画機能をそのまま利用しているため、座標単位が粗く自由曲線が描けないなどの問題があった。Adobe IllustratorCorelDRAWMacromedia FreeHandなど、DTP向けの高精度の出力を目的としたソフトウェアが登場することにより解決された。これらのソフトウェアはPostScriptに採用された3次ベジエ曲線の技術を応用している。

歴史

ベクタ形式による描画機能はCADソフトが先行していたが、構造計算を行い設計を支援するためのソフトウェアであり、WYSIWYGによる自由な描画機能を期待できるものではなかった。1985年にMacDrawが販売され、ついで多くのドローソフトがMacintosh上で開発された。1987年にDTP出力を目的としたAdobe Illustratorが発表されたのを皮切りに、翌年にAldus FreeHand(後のMacromedia FreeHand)、1989年にCorelDRAWなどが発売され、ドローソフトの主流になった。一方、Web上のベクタ画像の標準であるSVGW3Cにより策定されると、SVGの出力を目的としたKIllustrator(Adobeとの商標権の問題によりkontourに改名)やSodipodiInkscapeなどが主にオープンソースにおいて次々に誕生していった。

隣接するジャンル

ドローツールを備えたソフトウェアは必ずしもドローソフトとは限らない。

例えばワープロソフトであるPagesはドロー機能を持っており、簡易ドローソフトとしても利用できる。DTPソフトの代表格であるQuarkXPressはバージョン4以降、簡単なページ修飾を目的としたドローツールを追加した。また、一度限りのチラシパンフレット程度であれば、専門のソフトウェアを使用するよりドローソフトで作成した方が簡単な場合もある。

一方、ドローソフトはダイアグラムの編集にも応用されることが多いが、Microsoft VisioOmniGraffleDiaなどの強力なダイアグラム機能を搭載したソフトに比べると自動描画機能が劣る。また、Microsoft Wordなどのワープロソフトはダイアグラムの作成に供するためにドローツールを持たせることが多い。Microsoft PowerPointMicrosoft ExcelのドローツールはWordに比較し安定しているためドローソフトの代替として多用されている。

CADソフトはドローソフトと互いに影響を与えながら、WYSIWYGによるドローツールを強化してきている。3DCGソフトウェアもまた2Dのドローソフトの延長線上にある。

ドローソフト自体の普及率は決して高いとはいえないが、ドローツールの機能は数多くのコンピュータユーザーに浸透していると言える。

ラスターグラフィックスエディタとベクターグラフィックスエディタ

ラスターグラフィックスエディタ(ペイントソフト)はよくベクターグラフィックスエディタ(ドローソフト)と対比され、両者の能力は互いに補い合うものである。

ベクターグラフィックスエディタはグラフィックデザインレイアウトタイポグラフィロゴタイプ、鋭角的な芸術的イラストレーションカートゥーンクリップアート、複雑な幾何学模様など)、テクニカルイラストレーションダイアグラムフローチャートなどにより適している。

ラスターグラフィックスエディタはリタッチ、写真加工、写真のようにリアルなイラストレーションコラージュ、そしてペンタブレットを用いた手描きのイラストレーションにより適している。今日の多くのイラストレーターPainterPhotoshopを用いてありとあらゆるイラストレーションをこなす。

PhotoshopやPaint Shop ProGIMPなどのラスターグラフィックスエディタの最近のバージョンはベクタ系の機能(編集可能なパスのような)もサポートしており、またCorelDRAWAdobe Illustratorのようなベクターグラフィックスエディタも徐々にラスタ系のソフトウェアにしかなかった機能(ぼかしなど)やアプローチを取り入れるようになってきている。




「ドローソフト」の続きの解説一覧




ドローソフトと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ドローソフト」の関連用語

1
draw software デジタル大辞泉
100% |||||

2
ドローイング‐ソフト デジタル大辞泉
100% |||||


4
100% |||||



7
AI形式 デジタル大辞泉
96% |||||

8
78% |||||


10
AIファイル デジタル大辞泉
76% |||||

ドローソフトのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ドローソフトのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのドローソフト (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS