インバネスコートとは? わかりやすく解説

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インバネスコート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/04 14:52 UTC 版)

19世紀末期のインバネスコート

インバネスコート(Inverness coat)は、男性用の外套の一種。単にインバネスと呼ばれることもある。

概要

丈の長いコートに、ケープを合わせたデザイン。コート部分に袖のあるものと無いものがある。ケープの長さは、袖無しの場合は手首程度までの丈のものが多く、袖のある場合は肘から手首程度の範囲の丈のものが多い。ケープは取り外せるものと取り外せないものがあり、袖無しの場合は取り外せない場合が多い。ケープの背中部分がコートの背中部分と一体化しているものもある。

スコットランドインヴァネス地方で生まれたとされているため、こう呼ばれている。雨天など過酷な気象でもバグパイプ(スコットランドの楽器)を守り、演奏するために作成されたといわれている。

鹿撃ち帽パイプと合わせた姿は、シャーロック・ホームズのトレードマークとして知られている。ただし、この姿は原作の中では描写されておらず、挿絵や映像作品などから二次的に生じた姿である[注釈 1]

ギャラリー

日本におけるインバネスコート

下駄履きにカンカン帽洋傘を持ったとんび姿の男性(1914年)
とんび(1903年の洋服裁縫教科書より)

日本では主に男性の和装用コートとして用いられ、「二重回し[1]二重廻し」「二重マント」「とんび[2]インバ」「エンバ」などと呼ばれる。一般に「インバネスコート」は袖があるが、「二重回し」や「とんび」には袖がない。二重回しの場合、ケープの下はベスト状になっており、ケープが肩から背中全体を覆っている。とんびの場合、ケープは肩のみで背中の部分にケープが無いことが多い。着丈は二重回しもとんびも膝下まで達する。

これらの呼称は混乱しており、さまざまな定義がなされているが、歴史的にどれかが正しいと言える物ではない。参考までに比較的よくなされる定義を記す。

  • 「インバネスコート」 - 袖のあるケープ付きの外套。
  • 「二重回し」「二重マント」 - 袖の無いケープ付きの外套。
  • 「とんび」 - 袖が無く、ケープの背中部分がコートの背中部分と一体化している外套。

明治20年(1887年)ごろに伝わり、大正から昭和初期にかけて流行した。当時は「インバネスコート」「二重回し」「二重マント」「とんび」と呼ばれる外套は『お大尽』だけが着ることのできるものであった。インバネスコートのデザインでは和服の大きな袖が邪魔にならないため、実用性が非常に高かったことが流行の一因と思われる。和装自体が衰退した現代ではあまり見られなくなったが、現在でも和装をする際には、防寒着としてレトロでエレガントな雰囲気を持ったインバネスコートは依然需要があり、和装用の外套を扱っている店では販売している店舗も多い。

映画監督の伊丹十三は、「着物にインバネスってのは、ライスカレー福神漬け、と同じように和洋折衷大成功の一例である」と語っている[要出典]

長崎のグラヴァー邸で知られるトーマス・グラヴァーを筆頭に、開国直後の、スコットランドから日本への技術伝達、訪日・友好は深く、また日本人留学生をアバディーン(グラヴァーの故郷)、グラスゴーエディンバラなどに、当時混乱の日本政府に先立って受け入れている[要出典]。この事により、帰郷した日本人やスコットランド人により「インバネスコート」・「蛍の光」・「ウイスキー竹鶴政孝による。妻の竹鶴リタはスコットランド人)」などが日本に紹介・持ち込まれたと思われる。

脚注

注釈

  1. ^ モーリス・ルブランの『リュパン対ホームズ』(Arsène Lupin contre Herlock Sholmes)第二部第2章では、ホームズ(ショルメス)がインヴァネス(macfarlane)からパイプを取り出すシーンが描かれている。

出典

  1. ^ デジタル大辞泉 小学館
  2. ^ 精選版 日本国語大辞典

関連項目

外部リンク


インバネスコート(インバネス、二重まわし、とんび)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 20:48 UTC 版)

外套」の記事における「インバネスコート(インバネス二重まわし、とんび)」の解説

取り外しのできる長めケープ付いた男性用の外套で、袖があるものと無いものがある。スコットランド北西部インヴァネスインバネス地方生まれたことからこの名称がついた。日本へは明治期入り、袖がないものは「とんび」「二重回し」などともよばれ、着物組み合わせて着用された。かつては礼装用途にも使用されていた外套

※この「インバネスコート(インバネス、二重まわし、とんび)」の解説は、「外套」の解説の一部です。
「インバネスコート(インバネス、二重まわし、とんび)」を含む「外套」の記事については、「外套」の概要を参照ください。

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