聖者サナトールとその護衛
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「癒しの葉」の記事における「聖者サナトールとその護衛」の解説
ユーリグ・グラディウス 主人公。ドミナトール王国オクシオン出身の兵士。黒髪で目は青く、身長が仲間の中で突出して高い。心身ともに頑強で剣術に優れ、敵に対しても独特のゆとりを失わず、咄嗟の判断力にも長ける知勇兼備の猛者。また、偏見がなく誰とでも打ち解けられ愛されるなど、あらゆる点で強く逞しい男。その反面、素直で涙脆く、愛情表現が豊かだが女心には鈍感。なにより重度の天然ボケ。当たり前のように人を愛し、当たり前のように人から愛され、心に一点の曇りも闇も持たない素直な無邪気さを持つせいで、愛情に飢えたオルフェ、グレンといった人々からは強烈な嫉妬を向けられる。 軍隊生活が長かったせいで、横にならず立ったまま目を開いたまま眠れる特技を持つ。体が硬く動作がぎこちないせいで、ドミナトール軍では「機械人形のユーリグ」として有名。敵国出身のセレスとははじめ対立するも深い友情を育み、クレアとは自然に恋に落ちてしまう。 「癒しの葉」が落ちてきた場所は右目。物語が進むにつれ、ドミナトール王の庶子であることが判明する。かつて国王暗殺を企てたという濡れ衣を着せられ、異母兄で第一王子のオルフェの弁護で王都からの追放で済ませて貰った恩を持つ。兄を肉親として深く敬愛するあまり、意のままに操縦されていた。しかし、オルフェがガイを暗殺しようと企み、自分を陥れるためにセレスを罠に落としたことに苦悩を抱えることになる。それでも一片たりとも兄に敵意や悪意を抱かず、アビゴールとの開戦に際してセレスとの一騎討ちに臨む。セレスとフィニが結ばれたことを祝福し、セレスの手にかかった。 愛馬は黒馬のウィンタード。馬には特に愛されるせいでセレスの愛馬アルバも手なづけている。 周囲の人々への愛情が深すぎるせいで、誰かのためならばためらいもなく自分の身を差し出してしまうことが最大の美徳にして欠点。最終回で生還を果たすが、戦士であることを捨て“聖者”となる道を歩む。 セレス・アラストール(セレス・エレサール・オルヴィア) アビゴール連邦国オルヴィア州出身。族長の息子。金髪に金色の瞳。女性のように端正な顔立ちと華奢な体つきをしているが、誇り高き一流の戦士。性格は繊細で几帳面。なにより極端に神経質で接触恐怖も持つ。潔癖で不道徳なものに強い嫌悪を抱く。反面、老人や子供、女性といった弱者に対しては労りや自然な優しさを見せる。小食で甘い物が大嫌い、肥満に生理的嫌悪を示すためアジンとは終盤まで折り合いが悪い。警戒心丸出しで孤立し、誰とも交わろうとしなかったが、ガイの導きと仲間たちとの絆や信頼関係により少しずつ頑なさを解いてゆく。愛馬は白馬のアルバ。 「癒しの葉」が落ちてきた場所は左胸。幼い頃、対立していたオルグ一族に襲われた際、母が陵辱され自害する姿を目の当たりにした過去を持つ。また、このとき重罪人の証「裁きの手」を左胸に刻まれた。これらの事からオルグ家に対する復讐の誓いを立てるが、一族と共にオルグ家を襲撃した際、幼い少女だったフィニを見逃した。冷徹になりきれない自分への戒めから、アビゴールにおける復讐の女神の名である「アラストール」を名乗っている。フィニが生きている限り復讐の誓いは成就されたことにならないと父・カシムに責められるが、かつての自分と同じで何も事情を知らないフィニを自らの誓いのために傷つけ殺すことに葛藤を抱く。そのことが「影の民」を招き寄せる原因となった。 「影の民」に襲撃された際に左胸を射貫かれ昏倒し、生死の淵を彷徨う。オルフェに拉致された際、「裁きの手」を刻まれた部分に更に「K.O.D」(キング・オブ・ドミナトール=ドミナトールの王の所有物、の意)の傷が加えられた。 リュセル・オーリン エクシア共和国内務大臣の次男。首都コーンスロー出身。聡明で温和な常識人。まとめ役として国情や考え方の違いから衝突し易い他の3人の仲裁役を一手に引き受けている。また、ユーリグとアジンのボケに対するツッコミ役。優等生で常に笑顔を絶やさないが、周囲が思う以上に情熱家で涙もろい。また、いざとなると冷静。人物眼は確かで、一目でガイを見破り、仲間たちの持つ才能や個性についても早い段階から見極め、フィニの秘めた本心を見抜いた。医師の資格も持っている。 「癒しの葉」が落ちてきた場所は右腕。長らく家庭問題に心を痛めてきたがガイと仲間たちにより解決をみる。特にセレスに対する恩義と友情は深く、セレスへの二度目の「影の民」襲撃に際しては我が身を盾にして矢から庇おうとした。 ドミナトールへの旅に同行したフィニの真っ直ぐな心に打たれ、自分に関心がなく報われないことを知りながら愛を告白。その後、頑ななセレスから秘めていた想いを引き出し、二人を結びつけるキューピット役を果たす。そのことが、セレスが自らの「影の民」に打ち勝つきっかけとなった。 ユーリグ戦死の報にアジンさえも動揺する中、感傷に浸ることなく丹念に事実を見極める。クレアにユーリグの死を知らせる損な役目も引き受けた。自らの感情よりも課せられた役割を意識した行動をしてしまうのが、リュセルの美徳であり欠点。 アジン・アクババ フルゴール連邦アクババ市長の息子。次期市長。高慢で鼻っ柱が強く自己中心的で自信過剰。あらゆるモノや人を商売に利用しようとする逞しい商魂を持つ金の亡者で聖者や「癒しの葉」で一儲けを企む。また、毒舌がひどくガイに対しても容赦がない。ユーリグからは「まんじゅう」と称されるほどふくよかに太っており、セレスからは生理的に嫌悪されているが全く意に介さず、豊満な肉体の素晴らしさを常日頃自慢し、誇りに思っている。また値切りの天才で商人を泣かせるほどに底値近くで買い叩く。菓子に限らず料理全般、糖分過多の品ばかり好んで食べる無類の甘党。 「癒しの葉」が落ちてきた場所は鼻。他人の影響を受けたり話をありがたがるタイプの人間ではなかったが、リリィとの恋に破れ、そこから立ち直ったことでユーリグたちへの深い友情に目覚める。また、貧民対策にあってはリフォームによる格安での住宅建設など施政面における非凡な才能を発揮する。 オルフェの陰謀によりセレス、ユーリグが相次いで一行を離れる中、優れた頭脳を発揮し、セレス救出のためドミナトールに潜入した際には随所で知謀を働かせる。ただし、影の民に襲われなかったことを自身の人格が「ぱーふぇくと」だからだと嘯き、セレスと大喧嘩になる。 一騎討ちに敗れたユーリグの墓前にて動揺のあまり涙ながらに憤りをあらわにした。 劇中に登場する人物の中で一番の現実主義者。世間の人々がガイを「聖者サナトール」と讃えることにも、戦死したユーリグを「英雄」と讃えることにも反発しており、人間が名声や友情、国家といった概念のために生きたり死ぬことに意味を認めない。また、それぞれが持つ才能や財産でなにかを為す「実績」こそがすべてで、聖者と讃えられながら人々を救う実績を示さないガイを認めておらず、なにもしないのなら「タダのおっさん」にすぎないという見方を最後まで通した。 トウハ・ガイ 聖者サナトール。年齢は50代前後。(劇中では「中年男」などとされる)「影の民」襲来による人々の混乱をすこしでも抑えるため、聖地フローンズ島から帰還する。限られた時間の中で人々に「影の民」を克服する道を示そうとするが、彼が聖地から持ち帰ったとされる「癒しの葉」を巡り国家間が相互監視の目的で勝手に護衛派遣の協定を結んだことに辟易。痛烈な皮肉を込めてユーリグをまんまと騙すことに成功するがリュセルに正体を見破られる。そうして始まった4人の護衛たちとの共同生活を通じ、悩める人々に道を示す。 元はドミナトール軍の兵士。このため身のこなしや剣捌きにも長け、護衛を必要とするほど「か弱く」はない。クロス総督のゴドフリーやドミナトール国王とは旧知の間柄。また、かつてフローンズ島で「影の民」に悩むオルフェ王子と遭い、真実を伝えるが想いが通じることはなく、彼の誤解と狂気が加速してしまった苦い過去を持つ。このため、言葉でなにかを伝えることに消極的で、それぞれが体験したことや直面した問題を通じて助言を与えるに留まっている。 クロスの聖女の式典にて、病気の子供を抱えた母親が救いを求めてクレアにすがろうとした際に、奇跡を強く求める人々に敢えて「生命の樹」を見せる。そのことで混乱が深まり活動が制限され、暗殺の陰謀が表面化してゆくが、若者たちがそれぞれの問題に対峙する後押しを続ける。やがて「影の民」が襲来。必要以上の忠告を避け、それぞれがそれぞれの心の闇と対決するのを見守った。 ドミナトールとアビゴールの戦争が激化する中、リュセルらの心配をよそに護衛たちの前から姿を消し、フローンズ島に単身赴く。そこで生と死の狭間に立つユーリグと最後の会話を交わした後、夢を通じて人々に警句を与えるべく沈み行く島と運命を共にして人々の前から永久に姿を消す。 聖者とは呼ばれていたが、誰よりも人間的で彼自身が迷いや葛藤を抱え間違いも犯し、一人の人間としての自分を大事にして、その上でなにが出来るかを模索し続けた結果が、今後目に見えない困難に立ち向かわなくてはならなくなる人間たちのために命を投げ出すことだった。
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