聖者祭と預言者祭
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/15 04:02 UTC 版)
「ニザームッディーン廟」の記事における「聖者祭と預言者祭」の解説
ニザームッディーン廟では毎年「聖者祭」と「預言者祭」が開催される。 「聖者祭」は、聖者ニザームッディーンと愛弟子とのそれぞれの命日におこなわれる。とくに聖者ニザームッディーンの命日祭は盛況を呈する。スーフィー信仰においては、聖者の死は単なる死ではなく、神との合一の達成であると考えられているためである。4月の命日祭の期間中、聖者廟の墓前ではカッワールと呼ばれる演奏者・歌手によって、カッワーリー(前述)と称される古典的な宗教音楽が夜を徹して演奏ないし歌唱される。カッワーリーのなかでは「Aaj Rang Hai Ri Ma」という曲が特に人気があり、内容はニザームッディーンとの出会いを自分の母親に歓喜をまじえながら伝えるものである。 「預言者祭」はヒジュラ暦の3月12日におこなわれる、宗教集会と聖遺物公開儀礼とを中心とする祭典であり、聖者祭に匹敵するほど賑わう。これは、廟を訪れる人びとの目的のひとつに聖遺物への参拝があるものと考えられる。なかでも預言者ムハンマドの足跡には、口づけをする信者があるほどであり、ここでは遺品を介して預言者その人に接し、実際にイスラームを体験し感得することができる。 イスラームの聖者信仰は、イスラームが中央集権的な教会機構や司祭階級、列聖の制度を備えていないためもあってキリスト教における聖人崇敬と比較すると、きわめてローカル色が強いといわれる。しかし、その半面、インドにおいては、イスラーム誕生の地である中東やアラブといった地理的な中心ではなくて、むしろ、預言者およびその近親の遺品というイスラーム世界のなかでグローバルな意味を象徴する「聖遺物」がきわめて重視されているのである。
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