イスラム世界
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イスラム世界(イスラムせかい)とは、イスラム教(イスラーム)とそれを信仰・実践する人々であるムスリム(イスラム教徒)が社会の中心に立って活動する地域を指し、イスラム法(シャリーア)の用語に言うダール・アル=イスラーム(「イスラムの家」)とほぼ等しい概念を意味する語である。歴史的な対象を指すのにしばしば使われるが、イスラム世界の中に法としてシャリーアを用いない国も少なくない現代を指しては、イスラム圏(イスラーム圏)、イスラム諸国などの言葉を用いることも多い。
イスラム教国
イスラム教国とは、イスラム教に関連が深い国のことであり、以下のどちらかを指す。
- 国教がイスラム教である国、シャリーア(イスラーム法)を法として実際に運用している国。この場合はイスラム国家と呼ばれることが多い。この定義ではトルコやアルバニアのような、人口の大多数がイスラム教徒であっても世俗主義を標榜する国家は入らない。
- イスラム教徒が人口の比較的多数を占め、国家の指導的立場、ヘゲモニーをイスラム教徒が握る国。ほぼすべてがイスラム協力機構 (OIC) に加わっている。「ムスリム国家」とほぼ同義であり、「キリスト教国」「仏教国」「ヒンドゥー教国」などの言葉に対応する。
イスラム世界に内包あるいは交差する地域概念
- 個別地域
関連文献
- イブン・ハルドゥーン 著、森本公誠 訳 『歴史序説』岩波書店〈岩波文庫〉、2001年。
- デヴィッド・ニコル 著、清水和裕監 訳 『イスラーム世界歴史地図』明石書店、2014年。
- 羽田正 『〈イスラーム世界〉とは何か 「新しい世界史」を描く』講談社〈講談社学術文庫〉、2021年。
- 林佳世子, 桝屋友子 編 『記録と表象 史料が語るイスラーム世界』東京大学出版会、2005年。
関連項目
- イスラム教世界大学連合
- オレンブルク・ムスリム宗務局 - 18世紀にロシア帝国で設立されたイスラム教組織
- ヒンメト - かつて存在したイスラム世界最初の社会民主主義組織で、ロシア帝国末期のアゼルバイジャンで誕生した
イスラーム世界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 14:39 UTC 版)
イスラーム天文学は地球球体説をギリシアの天文学から受け継いだ。イスラームの理論的枠組みはアリストテレス(『天体論』)やプトレマイオス(『アルマゲスト』)の基礎的な功績に大きく依拠していたが、アリストテレスもプトレマイオスも地球が球体であることと宇宙の中心に存在すること(地球中心説)を前提としていた。 ムスリムの学者は初期から地球が丸いと認識しており、地上のあらゆる位置からメッカの方角・距離を計量できるようになるために、イスラーム数学者は球面三角法を発達させることになった。これによりキブラ、つまりムスリムが祈る向き、が決められる。 アル・マームーン 830年頃、カリフアル・マームーンがイスラーム天文学者やイスラーム地理学者達に、タドムール(パルミュラ)からラッカ(現在のシリアに位置する)までの距離を測るように委任した。彼らは、両都市が緯度にして1度、子午線弧長測量で662⁄3マイル離れていることを発見して、それゆえ地球の周長は24000マイルだと計算した。 アル・マームーンの別の天文学者による測量では緯度1度が562⁄3アラビアマイル(111.8 km)であり、周長は40248kmと計算され、現在用いられている1度あたり111.3kmで周長40068kmという値にそれぞれ非常に近い。 アル・ファルガーニー アル・ファルガーニー(ラテン語名アルフラガヌス)は9世紀のペルシア人天文学者で、アル・マームーンに委任されて地球の直径の算出に携わった。彼による上記の緯度の値(562⁄3アラビアマイル)の算出はプトレマイオスによる602⁄3ローママイル(89.7km)という値よりもずっと正確であった。クリストファー・コロンブスは、プトレマイオスが提出したよりも地球が小さいことを証明するために、アル・ファルガーニーの値をアラビアマイルではなくローママイルに当てはめて無批判に使った。 ビールーニー アブー・ライハーン・アル・ビールーニー(973年-1048年)は地球の周長を計算するために新たな手法を用い、現在用いられているものに近い値に到達した。彼の算出した6339.9kmという地球の半径の値は現在用いられている6356.7kmという値に16.8km足りないだけにすぎない。二つの異なる場所から同時に太陽を見ることで地球の周長を算出した先達たちとは違い、ビールーニーは平地と山頂の角度に基づいて三角法による計算を使った新しい手法を発展させ、それによってより精確な地球の周長の値を得て、一人の人間が一か所から測量するだけでその値を算出できるようにした。ビールーニーの手法は「暑く、埃っぽい砂漠を歩くこと」を避けようとしたものであり、彼がインドの高山に上った際に思いついたものである。彼は山頂から地平線を見た際に、それが(既に計ってある)山の高さとともに大地の曲率を計るのに使えることに気づいたのである。彼は代数学をも用いて三角方程式を立て、アストロラーベを用いて角度を測った。 ジョン・J・オコナーとエドマンド・フレデリック・ロバートソンは『マックチューター数学的発見史』にこう書いている: .mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}「ビールーニーは測地学と地理学に対する重要な功績も成している。彼は地球を計測する新しい方法を導入して、それによって三角法を用いて計った。彼は地球の半径として6339.6kmという値を確立したが、これほど正確な値は西欧では16世紀まで得られなかった。彼の『マスウード宝典』には600以上の場所の座標の表が掲載されているが、彼はそのほぼ全ての値を自身による測量から導いていた。」
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