島
★1a.孤島での生活。
『ロビンソン・クルーソー』(デフォー) 1632年、イギリスのヨーク市に生まれた「私(ロビンソン・クルーソー)」は、1659年、船の難破で孤島にただ1人漂着した。25年後、人食い人種に追われる男を助け、「フライデー」と名づけて部下にした(*→〔曜日〕3)。1686年、「私」はイギリス船の船長を水夫らの反乱から救い、島を後にして故国へ帰った。
*孤島の兄妹→〔兄妹婚〕2bの『今昔物語集』巻26-10・『瓶詰の地獄』(夢野久作)。
『十五少年漂流記』(ヴェルヌ) 1860年2月、8歳から14歳までの少年15人がニュージーランド1周の船旅に出、あらしにあって孤島に漂着する。彼らは一時、2つのグループに別れて対立するが、島に上陸した悪人たちと闘うために、再び団結する。彼らは悪人たちをやっつけ、やがて汽船に救われる。
『蠅の王』(ゴールディング) 第2次(あるいは第3次)世界大戦のさなか、飛行機が南海の孤島に墜落して、少年たちだけが生き残る。少年たちは共同生活を始めるが、野豚狩りなどに興じて、しだいに野性に目覚め、秩序が保てなくなる。彼らは対立し、争い、2人が死ぬ。蛮族化したグループが、良識派の少年1人を追いつめようと、森に火をつける。その火を見た英国海軍が、少年たちを救助に来る。
『芽むしり 仔撃ち』(大江健三郎) 第2次世界大戦末期、感化院の少年15人が僻村に疎開する。疫病が発生して村人は皆逃げ出し、村は陸の孤島と化す。取り残された少女・朝鮮人の少年・脱走兵とともに共同生活が始まるが、何人かが死に、村人も帰村して、少年たちの共同体は5日間で崩壊する。
『アーサーの死』(マロリー)第21巻第5章 戦場で致命傷を負ったアーサー王は、ベディヴィア卿に背負われて水辺まで行き、迎えに来ていた小船に乗る。船には、黒い頭巾の貴婦人たちが乗っており、皆泣き叫んでいた。船が岸を離れる時、アーサー王は「傷を治すため、アヴァロンの島に行くのだ」とベディヴィア卿に言い残した。
『かげろふ日記』上巻・康保元年7月 私(藤原道綱母)の母が病死し、親族が山寺にこもった。ある時、僧たちが念仏の合間に、「死者の姿が明らかに見える所がある。しかし近く寄ればその姿は消え失せ、遠くからのみ見えるらしい」「それはどこの国か?」「『みみらくの島』というそうだ」と語り合っていた〔*長崎県・五島列島の三井楽町を、古代は「美弥良久」と呼んだ〕。
『長恨伝』(陳鴻) 玄宗皇帝の命令で、方士が楊貴妃の亡魂をこの世へ招こうとしたが、亡魂は現れなかった。そこで方士は、自分の魂を体外へ飛ばした。魂は天界へ昇り冥府にもぐって、楊貴妃を捜す。天地の上下四方を巡り、ついに東海の彼方、蓬壺(=蓬莱)の島に到った。仙山がそびえ、宮殿が並んでいる。「玉妃太真院」と書かれた門があり、そこで方士(の魂)は、楊貴妃(の亡魂)と会うことができた。
*川の向こうに死者の姿が見える→〔川〕8の『ムーンライト・シャドウ』(吉本ばなな)。
★4.空飛ぶ島。
『ガリヴァー旅行記』(スウィフト)第3篇第3章 「私(ガリヴァー)」が小人国・巨人国の次に訪れた空飛ぶ島ラピュータは、直径4マイル半・広さ1万エーカー・厚さ3百ヤードで、巨大な天然磁石を動かすことによって、上昇・下降・移動を行なった。住民は数学と音楽を偏愛し、抽象的な思考に沈潜していて、いろいろと妙な研究が行なわれていた。
『パノラマ島奇談』(江戸川乱歩) 貧書生の人見広介は、大富豪菰田源三郎になり代わり(*→〔蘇生〕4)、巨費を投じて、M県I湾の直径2里たらずの小島に、深い森・巨大な花園・湯の池・歌い踊る裸女の群れを配する人工楽園を、造り上げる〔*人見は菰田の妻千代子を殺したため(*→〔にせ花婿〕1c)、探偵北見小五郎に追及される。人見は自らの身体を花火とともに打ち上げ、粉微塵になって死ぬ〕。
『ユートピア』(モア) 南半球に新月(三日月)形のユートピア島がある。住民は1日に6時間働き、8時間眠る。自由時間には学問を楽しむ者が多い。物資は豊富で、公正に分配されるので、貧乏人も乞食も存在し得ない。全島が単一家族同様で、プライヴァシーはないに等しい。10年ごとにくじ引きで家を交換したりもする。
『列子』「湯問」第5 渤海の東方洋上に5つの島がある。黄金と宝玉の高殿があり、不老不死の果実がなる。住民は皆聖仙で、空を飛ぶ。始め浮島だったが、後には巨亀が下で支えた。
★6a.怪物が住む島。
『キングコング』(クーパー他) スマトラ島西の海域に、海図に載っていない島がある。そこにはコングという怪物がおり、島の住民たちは恐れていた。住民の娘1人をコングの花嫁として捧げる儀式の最中に、アメリカの映画撮影隊が上陸して来る。住民たちは金髪の白人女優アンを見て、彼女を捕らえ、コングの花嫁として差し出してしまう。
『ラーマーナヤ』 魔王ラーヴァナは10の頭と20本の腕を持つ怪物で、ランカー島(=スリランカ)の宮殿に、一族を従えて住んでいた。ラーヴァナが、コーサラ国(=ガンジス川中流域に位置する)王子ラーマの妃シータをさらったので、ラーマは猿の大軍を率いてランカー島に攻め入る。ラーマは矢でラーヴァナの頭を射落とすが、瞬時に新たな頭が生え出、百の頭を射落としても、なおラーヴァナは死ななかった。ラーマは、ブラフマー神から授かった特製の矢を、ラーヴァナの心臓に射込んで殺した。
★6b.恐竜が住む島。
『ジュラシック・パーク』(スピルバーグ) ハモンド氏の財団が、コスタリカ沖の島に新しいテーマ・パークを計画する。遺伝子工学を用いてジュラ紀の恐竜をよみがえらせ、広大なフェンスの中に放し飼いするのである。ところが、恐竜の胚を島外へ盗み出そうとする男がいて、フェンスの高圧電流を切ってしまう。恐竜たちはフェンスを破り、園内視察中の科学者や弁護士一行に襲いかかかる。科学者の1人が「これでは開園は承認できない」と告げ、ハモンド氏は「当然だ」と言って、皆は島を脱出する。
★6c.怪人が住む島。
『ドクター・ノオ』(ヤング) 国際犯罪組織スペクターの一員である中国人ノオ博士が、カリブ海に浮かぶ島に原子力施設を築く。施設から発信される電波は、アメリカのケープカナベラル基地の実験ミサイルやロケットの弾道を狂わせた。イギリス情報部のジェイムズ・ボンドが島に潜入し、いったんは捕らえられるが脱出して、ノオ博士と格闘の末、彼をプール型の原子炉に突き落とす。ボンドは島の施設を完全に破壊して、去る。
『モロー博士の島』(H・G・ウェルズ) 「私(プレンディック)」は、乗っていた船が太平洋上の赤道付近で沈没して、無名の島にたどり着いた。その島では、生物学者モロー博士が助手とともに、猿・牛・馬・豚・犬などさまざまな動物を人間に改造する実験を行なっていた。動物たちは、手術によって人間に近い形態になったが、知能は低く、まもなく退化して獣性が戻り、モロー博士と助手を殺してしまった。「私」は、近くへ漂流してきた小舟をつかまえ、島を脱出した。
★7.島の名前。
為朝の蛇退治の伝説 昔、八丈島がまだ名もない島だった頃、大蛇が島人を困らせていたので、源為朝がこれを退治した。その死骸を8つに切り刻んだところ、1切れが各1丈ずつあったため、それにちなんで島を八丈島と名づけた(東京都八丈島)。
『椿説弓張月』後篇巻之2第19回 鎮西八郎為朝は、三宅島沖の「女護の嶋」を男女同居する島とした後(*→〔女護が島〕5)、伊豆の大嶋へ帰ることになった。嶋人たちは為朝を慕い、別れを惜しんで、嶋の名を「八郎嶋」と改めた。嶋では「八郎」は「はっちょう」と発音し、「はっちょうじま」が訛(なま)って、やがて八丈島となった。
*浅井の丘の頂上が、竹生島になった→〔山〕5aの『近江国風土記』逸文。
*富士山の頂上から、伊豆の大島ができた→〔山〕6bの二子山(高木敏雄『日本伝説集』第2)。
*島を釣る→〔釣り〕7。
*島だと思って上陸したら、鯨だった→〔地震〕8aの『千一夜物語』「船乗りシンドバードの冒険・第1の航海」マルドリュス版第292夜。
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