富士GC用としての開発とは? わかりやすく解説

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富士GC用としての開発

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 01:40 UTC 版)

マツダ・13B型エンジン」の記事における「富士GC用としての開発」の解説

富士GCメインである2座席スポーツカーレースは、1973年からエンジン規定排気量2,000ccに変更になった。ただしREに関しては、レシプロ換算で2,500ccまでのエンジンでの参戦認められた(国際自動車連盟でのRE換算係数2.0)。この条件下では、12A(573ccX2)での参戦が可能であった排気量2,000cc規定では、BMWM12/6が275PS/9,000rpmで圧倒的に強く主流占めていた。一方 12Aは250PS/9,500rpmで2〜3台程度参戦で、戦闘力低くベストで5位という成績であった。12Aでの参戦チームからは、パワーアップ要請寄せられていた。 マツダとしては、パワーアップ方法として13B使用考えた。サイドポート・ウエットサンプで13Bは、280PS/9,200rpmの出力引き出すことに成功しBMWに対して同等出力を得ることができた。そこでマツダは、富士GCでの13B使用要請した。 ・1976年RE富士GCでの参戦規定が「レシプロ換算で3,000ccまで」に変更になり、13B使用が可能となった富士GCでの第1戦からマツダオート東京ペリフェラルポート/片山マツダサイドポート参戦開始する。 第2戦以降は、全車ペリフェラルポートになる。また鈴鹿でも2座席スポーツカーレース(ジュエルシリーズ)が3戦開催される。両シリーズ通じて13Bベストポジションは、8位であったシーズンオフマツダは、レーシング13B開発を更に加速させて1977年シリーズ備えた開発に際しては、既販の12Aのスポーツキット市販車パーツ大幅に流用している。 *ロータハウジングプリフェラリポート化のため市販車ダイカストではなく砂型鋳造新規作成したトロコイド面には、直接硬質クロムメッキ実施した。 *サイドハウジング量産品流用するが、サイドポート部をエポキシ樹脂充填材埋めブローバイガス回収のため僅かな窪み残している。 *ロータロータは、圧縮比9.4で市販車同一燃焼室形状採用ロータ固定ギアスプリングピン本数市販車の9本から12本へ増加させ固有振動数をあげ、通常使用領域での共有振動領域に入ることを防止してギア破損回避している。 *出力軸量産品ベースに、シャフト撓みによるメタルクラランスの減少避けるため、リアジャーナル部の直径部分的に小さくしている。 *点火点火プラグ沿面放電タイプ変更してキャパシター・ディスチャージド・イグニッションCDI)による同時点火方式採用進角装置は、エンジン使用域市販車より狭いので廃止した。 *アペックスシール市販車異なり カーボン製の一体型厚さ3mmを使用した。 ・1977年シーズンオフの間にマツダは、下記開発行なった(1) ドライサンプ化2座席スポーツカーは、リアサスペンションマウントをギアボックス設置している。ギアボックスの高さが変わると設計通りのサスペンション・ジオメトリの確保ができなくなる。 ロータリーエンジン出力軸位置エンジン中央部にあり、直列4気筒レシプロエンジンBMW)より高い場所位置するため、ロータリーエンジンそのままレシプロエンジン用のギヤボックス接続すると、ギアボックス位置高くなり、設計通りのサスペンションジオメトリの確保難しくなる。 12Aまでのレーシングロータリーエンジンは、ツーリングカー用をベースにしているので、エンジンの下にツーリングカー用の大きなオイルパン持ったウエットサンプ採用しているので、出力軸の高さが更に高くなっている。そのためギアボックス天地逆さにして搭載したが、それでも出力シャフト下降角がつき出力軸効率低下していた。このウエットサンプドライサンプ変更することによって、エンジンの搭載位置低下させることが可能になり、出力軸位置BMW並の高さに合わせることが可能となった具体的には、オイルパン代わりにエンジン下面アルミ一枚板のをして、エンジンルーム内に大型オイルタンク設置した。これによりシステムとしてのエンジンの高さが減少し出力軸位置低下させレシプロエンジンと同じ位置設けることができた。その結果 ギアボックス設計通りの高さに設置することが可能となり、マシン性能設計通り引き出すことが可能となった。 ドライサンプシステムにより、重心位置低下エンジン剛性の向上という効果生み出した(2) キャブレタフロート室の改造当時のレーシングロータリーエンジンは、ダウンドラフトウェーバー・キャブレターWBC)を採用して、1ロータ付き1バレル与えている。ロータリーエンジンは、吸気管直下排気管があるのでダウンドラフトにしたほうが吸気温度が下がる。またダウンドラフトは、吸気長を長く取れるのでトルク特性を向上させやすくなる。 2バレルダウンドラフトWBCは、左右方向フロート室の容積異なっている。そのため、コーナリングにかかるGの影響によりフロート偏りコーナ立上時にフロート室への燃料がうまく供給されずに燃料切れが時々発生していた。 この影響をなくすために、フロート容量拡大同時に左右フロート容積同一にするように改造した(3) ベルハウジングの延長エンジンギアボックスクラッチ部の間に入れスペーサをベルハウジングと呼ぶ。ロータリーエンジンの場合ロータ回転直接出力軸を回す。ロータ自体重量が重いためロータ回転に伴うジャイロモーメントにより、右コーナではオーバステア/左コーナではアンダーステアという特性出てしまう。またREは、BMW比較する全長が短いのでエンジンは、マシン中心から離れてリヤ側に搭載されるので、よりジャイロモーメント影響強くでていた。 このジャイロモーメント影響少なくするためには、マシン重心近くエンジン搭載するために延長型のベルハウジングを開発してエンジンリヤ軸との距離を離した1977年シーズンオフ中の開発により、13B出力は、290PS/9,000rpmになった。 このシーズン13Bは、全てマツダワークスの3人(片山/従野/寺田)に限定供給された。 5月富士1000kmでの総合優勝が、13Bレーシングとしての初優勝となる。9月富士GC第3戦では、更にパワーアップしたエンジン(300PS)を発揮し念願初優勝飾った。 ・1978年マツダは、1977年レーシング13Bスポーツキットとして約300万円でプライベートユーザに供給開始した富士GC第1戦では、4台だったが最終的には、9台まで増加した。 ・1979年キャブレター欠点であるハイGコーナでのガス欠によるパワーダウン低速コーナでの立上加速レスポンス改善のためメカニカル・インジェクション(機械式燃料噴射装置)レーシング13B搭載したマツダ本社ルーカス/マツダオート東京ボッシュ搭載して、1ロータ当たり2本のインジェクタ設置し出力は311PS/10,000rpmへ向上した。特に 富士GC最終戦では、最後尾からゴボウ抜き行い優勝した。 ・1980年1979年レーシング13Bパフォーマンスに対してBMWユーザからクレーム付きレーシング13Bに対して規制が入る。規制内容は、「インジェクション禁止」「消音マフラ装着」「車両重量の50kg増大」である。 この規制に対してマツダは、本社主導下記の対応を行なった(1) インジェクション禁止ダウンドラフトWBCに戻すと、特にハイGコーナでのガス欠問題となる。そこでWBCを2個をレーシング13B使用することにした。具体的には、1ロータに対してWBCを1個使用する。すなわち WBCの2バレルのうち1バレルのみ使用してフロート室からの燃料供給を1バレルのみとして燃料流量確保する同時にロータハウジングの上並べる形(進行方向に対して直角)で配置した(2) 消音マフラ設置レーシングエンジン排気音に対して社会的な要請静かさ求められるようになったREは、排気ポートバルブがないので高温高圧排気ガス排気管通じて外部流れる。そのため 排気部にバルブを持つレシプロエンジンより排気音大きくなるマツダとしては、2座席スポーツカーのみではなくRX7レーシング仕様でも使用可能なようにマフラとして、なるたけパワーダウン最小限抑える形で設計した(3) フロントハウジングの変更ドライサンプ用のオイルポンプ外部型からエンジン先端部内型に変更してエンジン全幅減少させた。 マツダ本社としては、上記3点の対応を行いマツダ本社としての富士GCエンジンの開発打ち切った。これ以降富士GCレーシング13B開発は、マツダスポーツコーナ(マツダオート東京マツダスピード)、片山マツダ静岡マツダマツダオート山梨)に委ねられる用になり、マツダ本社は、グループC用の13B開発スポーツキット製造特化する。 ・1981年以降1981年から富士GCは、2座席スポーツカーからカナディアン-アメリカン・チャレンジカップCan-Amのような単座スポーツカー主流となるレース変貌遂げていく。その過程において、フォーミュラ2(F2)で使用したシャーシ単座専用カウル被せて、富士GC参戦するというスタイル1982年以降主流となる。 F2の場合 BMW主力エンジンであるが、ホンダV6エンジンとの競争結果出力1980年代は、1970年代後半比較するとより大幅にアップしてくる。そのため レーシング13Bにおけるインジェクション禁止と50kgのウエイトハンディは、1982年頃に廃止されるしかしながら、F2シャーシレーシング13B搭載する場合マフラ設置場所確保」「エンジンマウント」「ラジエタの設置場所確保」の課題徐々にクローズアップされてきた。 2座席スポーツカー時代は、マシン後部は、鋼管スペースフレームで組まれていた。1980年代になってF2のシャーシアルミモノコックからハニカムモノコックさらにはC-FRP進化していく。またグラウンド・エフェクト・カーウイングカーとしての効率アップのためエンジンギアボックス後端上方に置き、メインモノコックやサイドウイングからの空気引き抜き強化する手法取られた。この進化合わせてリアセクション構造鋼管スペースフレームからエンジンのダイレクトマウント化の動き徐々に進行していった(F2時代には、完全なエンジンのダイレクトマウントはされなかった)。 BMWは、この動きに対してマシン設計時点から設計者エンジン搭載法を考慮しているが、ロータリーエンジン搭載マシンチームは、参戦チーム毎に対応をとる必要があった。 ラジエタに関しては、単座スポーツカーは、当初フロントラジエタのカウル使用していた。その後サイドラジエタとウイングカー進化していく。1984年ウイングカー禁止となり、サイドラジエタを採用した空洞サイドポンツーン単座席がメインとなったこのため 以前マシンよりラジエタ容量増加させにくい構成になったレーシング13B放熱要求量は、3,000ccのレシプロエンジンに近いものになる。更にロータオイル冷却しているので、オイルクーラはBMWの倍以上の容量が必要となる。このためマシンには、BMWより大容量のラジエタが必要となるが、この要求を満たす重量増と空力性能悪化引き起こす。 以上の要因のため、1983年9月第3戦での優勝最後にそれ以降富士GCでは勝てなくなった

※この「富士GC用としての開発」の解説は、「マツダ・13B型エンジン」の解説の一部です。
「富士GC用としての開発」を含む「マツダ・13B型エンジン」の記事については、「マツダ・13B型エンジン」の概要を参照ください。

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