M12/6
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 07:11 UTC 版)
「BMW・M12/13エンジン」の記事における「M12/6」の解説
1973年のF2用のエンジンと登場したエンジンで排気量は2000㏄。ボア×ストークは、89×80でM12/1よりボア・ストロークとも拡大され、当時としては、ややロングストローク気味のエンジンである。F2のエンジン規定は、1972年から「自然吸気の6気筒以下で前年度の生産が最低100台のシリンダブロックを持つエンジン」に改正になった。この新規定に適合したエンジンと開発されたのがBMW・M12/6である。1973年のシーズンは、マーチと独占契約を結び、マーチ以外のシャーシには搭載が許されなかった。ヨーロッパF2選手権および全日本F2000選手権、全日本F2選手権および富士グランチャンピオンレース(GC)の排気量2000㏄の各レースで圧倒的な強さを見せる。 M12/6のブロックは、フルスケールの2000㏄の鋳鉄製で、シリンダ間にウオータジャケットを配置し、各シリンダにシリンダライナを設置できるので、摩耗には強く、耐久性が高かった。 動弁系は、過去から実績のあるギアドライブであるので、信頼性が高かった。燃焼室に関しては、M12/1で行った先進的な取り組みではなく、コンベンショナルな1本点火プラグで右側吸気/左側排気にして、メンテナンスの容易化を行った。 コネクティングロッドにチタン合金を使用して軽量化を行った。コネクティングロッドは、エンジンの前後方向の面を平面とし、その平面を薄いリブで結ぶH型断面を有している。このコネクティングロッドは、鍛造したのちに表面研磨を行うが、当初加工に難点があり(研磨加工が不十分)、1973年3月開幕のGC第1戦では、コネクティングロッド破壊によるエンジン破損のトラブルが続出した。1973年5月の日本GPのF2レースで、日本の松浦賢がコネクティングロッドを再研磨したエンジンで黒沢元治が優勝して、エンジンの優秀さをアピールする。なおBMWによる対策品のコネクティングロッドが十分出回ってからは(1973年6月以降)、このトラブルは解消され安定した成績を残すようになった。 燃料供給は、クーゲルフィッシャ製の機械式燃料噴射を使用している。この機械式燃料噴射は、システムとしては、ディーゼルエンジンの燃料噴射方式と同様で、気筒数分のカムとプランジャーを内蔵させたインジェクションポンプをエンジンの動力によって作動させ、各気筒の吸気ポートに噴射させる方法を採る。噴射量の制御も、ディーゼル同様アクセル開度に連動した遠心ガバナーとラック・アンド・ピニオンによるプランジャーの圧縮ストローク制御で、3次元カムを使用し、パラメータとしては3項目設定が可能である。 エンジンは、すべてBMWモータースポーツで組まれた完成品をユーザーに販売し、メンテナンスはBMWと関係のあるチューナーに部品供給して行った。
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