公立化への動き
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2004年施行の地方独立行政法人法に基づいて地方公共団体が設立者となる公立大学法人が制度化され、従来の公立大学や公立短期大学と、設置経費の全額を地方公共団体が負担した公設民営大学のうち、高知工科大学・静岡文化芸術大学・鳥取環境大学・名桜大学・長岡造形大学が相次いで公立大学法人を設立し、私立から公立へと移行した。本学より後発の公設民営方式の大学が公立に移行している現状を踏まえ、いわば「最古」の公設民営大学である本学も、地域社会と連携し、地域振興に貢献できる人材育成等の教育活動を展開する上で公立移行が適切であるとの判断に至り、2014年3月6日、嶋田力夫理事長、野原光学長、事務局長ら6人が上田市役所を訪れ、本学を運営する学校法人長野学園を上田市が設置者となる公立大学法人とすることを求める要望書を提出した。法人理事でもある母袋創一市長は「さっそく検討に入りたい」と答え、「県や国と確認作業をしながら考えたい。行政だけでは決められないことなので、住民と相談しながら検討したい」と前向きな姿勢を示した。市は同年、白井汪芳・佐久大学信州短期大学部学長(信州大学名誉教授)を委員長とする長野大学公立化に関する検討委員会を設置した。2011年4月の野原光学長就任以来、公立化の検討に入り、2013年12月の理事会で公立大学法人化を目指すことを正式決定、要望書の提出に至った。公立大学法人になった場合、総務省から運営交付金が受けられるほか、設置主体の地方自治体に地方交付税交付金が配分されるが、その額は現在本学に交付されている年間約1億6千万円の私学助成金よりも高額になる見通しである。黒字経営を維持しているとはいえ、少子化と学生定員割れが続いており、このままでは今後の状況は厳しいと大学側は判断、この増額分で学費を引き下げ、学生・父母保証人の負担を軽減。18歳人口が減少する中でも学生数を確保することを見込んでいる。その後の記者会見で、嶋田理事長と野原学長は「上田自由大学運動の歴史を踏まえ、改めて地域の学問所として根を張っていこうと決意した」「(要望書内に移行時期の目標を明確には示さなかったが)開学50周年を迎える2016年度に実現できればありがたい」「市に財政負担をお願いすることはない」「(県が予定する県立大(長野県短期大学の四年制大学化)や、県内の私立大との関係について)互いに手を携え、県内高校卒業者の県内大学進学率を上げられるよう努力したい」「公立大学になれば、地域と一体となった高等教育を進め、活性化にも大きなメリットが生まれる」等と述べた。同年4月には在学生向けの説明会を開催した。これまで公立化した公設民営大学はいずれも開学後10年前後というまだ新しい大学であり、静岡文化芸術大学を除く各大学は開学後経営状態が安定せず、財務状況等の悪化が原因となって公立移行が検討され、経営基盤の安定と大学の存続を図ったものであった。本学のように50年に及ぶ歴史があり、自力で黒字経営を維持している大学が「今後の少子化の進行によりいずれは経営難に直面する可能性がある」という見通しのもとに公立移行を計画した例はないため、県や市による財政見通しに関する調査と分析が行われた。長野県内では私立高等学校が公立高等学校に移行した例(1985年4月、天竜光洋高等学校(設置者は学校法人清恵会)が組合立長野県松川高等学校(設置者は一部事務組合松川高等学校組合)に移行。1987年4月より県立)はあるが、私立大学が公立大学法人に移行した例はなく、長野大学が初となる。また2014年4月には本学同様公設民営方式(公私協力方式)によって設立された諏訪東京理科大学も公立大学法人化する方針を示し、2015年9月、茅野市に対して公立大学法人化を求める要望書を提出、県にも協力を求めるなど、長野県内において自治体を巻き込んだ形での大学改革の動きが活発化した。公立化については受験生・保護者の反応も早く、長野大学では公立化の方針を示した後の2014年度以降志願者が増え、定員割れの状態は解消した。長野県の「大学収容力」(その都道府県の18歳人口に占める県内大学への入学者の割合)は長年全国最低であり、2016年度には16.5%であった。県にとっては若年層の県外流出を防止するため、県内高校卒業者の県内大学進学率を上げ、地域の高等教育機関の維持と活性化を図ることが喫緊の課題となっている。 2015年6月3日- 公立大学への移行の是非を協議した上田市の検討委員会は、公立化を「是とする」報告書を、市長に提出した。 検討委員会は、市長が「中立の立場で意見を聞きたい」として、研究者・市民代表ら13人で発足、14年11月から15年5月まで8回の会合を持った。委員長を務めた白井汪芳信州大名誉教授は「できれば来年度入試に間に合うようにしたい」と述べた。市長は5月に実施したパブリックコメントの結果なども踏まえて、最終判断することになった。 2015年8月21日- 上田市が、2016年度の長野大学公立化に必要な関連議案の市議会9月定例会への提出を見送ることが判明した。市と市議会の懇談会では、議員間に公立化した大学の将来像が不明確で、来年度の公立化は拙速との意見も多く、市の財政負担への懸念も出された。これらから、市は、9月定例会への議案提出を見送った。市側は2017年度の公立化を目指す見通し。公立化には、公立大学法人の定款や同法人評価委員会の設置などを盛った議案を、市議会で可決することが必要になる。市は可決後の手続きに必要な期間を約6か月とみており、2016年度からの移行には、9月定例会での議案可決が必要としていた。これを受け、長野大学側は2017年4月の公立移行を目指す方針を示した。 2016年6月27日- 上田市議会6月定例会において公立大学法人長野大学の設置にかかる定款等を含む関連議案が全会一致で可決。長野大学は長野県に対し公立大学法人設立の認可申請を行い、2017年4月1日をもって公立に移行することになった。 2016年9月30日- 上田市より長野県知事に公立大学法人長野大学設立認可を申請する。学校法人長野学園より文部科学大臣に学校法人長野学園の解散及び長野大学の設置者変更認可を申請する。 2016年12月1日- 上田市は長野大学公立化に関する検討委員会委員長を務める白井汪芳・佐久大学信州短期大学部学長(信州大学名誉教授)を公立大学法人長野大学の理事長に任命する方針を固めた。 2016年12月20日- 上田市に対し長野県知事より公立大学法人長野大学設立が認可される。学校法人長野学園に対し文部科学大臣より学校法人長野学園の解散及び長野大学の設置者変更がそれぞれ認可される。
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公立化への動き
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「山陽小野田市立山口東京理科大学」の記事における「公立化への動き」の解説
設置者の学校法人東京理科大学は本学及び東京理科大学・諏訪東京理科大学の組織改革を進めており、2014年12月、学校法人東京理科大学と山陽小野田市は本学の公立大学法人化について合意し、2016年度から公立大学法人に移行した。2017年度以降には薬学部の新設をめざす(後述の通り2018年4月に開設)。 山陽小野田市は、同月22日に市議会に公立化の方針を示し、同意を得た上で、26日には学校法人東京理科大学と山陽小野田市の間で移管についての基本協定書を交わした。公立大学法人の名称は「山陽小野田市立山口東京理科大学」とし、東京理科大学との連携は維持される。公立化に際し、学校法人側は土地、建物、設備を市に寄付し、市がそれらを公立大学法人に引き継ぐ。学生・教職員はそのまま「山陽小野田市立山口東京理科大学」の学生・教職員となる。 公立化によって総務省から運営交付金が受けられるほか、設置主体の地方自治体に地方交付税交付金が配分される。これらによる収入が現在の私学助成金より高額になることから、授業料が他の国公立大並みに引き下げられる見通しであるという。山口東京理科大学は、地元自治体の誘致と協力によって開学した短期大学を前身とする大学であるが、2010年度以降入学者が1年を除き定員割れしており、2014年度の全在学生も定員の800人を下回る状態となっていた。 少子化と学生定員割れが続く中、このままでは今後の状況は厳しいと大学側は判断、後発の公設民営方式・「公私協力」型の大学が相次いで公立に移行している現状を踏まえ、学費を引き下げることにより学生・父母保証人の負担を軽減し、学生数を確保するとともに、県内高校卒業者の県内大学進学率を上げ、「公立理工系大学」として地域の高等教育機関の維持と活性化を図ろうとした。
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公立化への動き
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「公立千歳科学技術大学」の記事における「公立化への動き」の解説
本学はいわゆる公設民営大学であったが、2016年12月、公立大学化を求める要望書を千歳市に提出した。2017年1月、千歳市は本学を公立大学法人化する方向で検討に入った。2017年7月、千歳市議会は調査特別委員会を設置しその可否について審査。2017年10月25日、山口幸太郎・千歳市長は「2019年4月の公立大学開学に向けて取り組みたい」と表明。千歳市が公立大学法人を設置し、本学を公立大学に移行させる方針を示した。千歳市議会の特別委員会は2018年1月、市の公立化方針を是認することを決め、同年3月市議会定例会にて報告された。2010年度以降定員割れが続いてきたが、公立化の動きに対する受験生・保護者の反応は早く、2017年度入試は一転して志願者増となり、2018年度新入生は8年ぶりに定員割れを解消した。市は2019年4月の公立移行を目指し、2018年6月の市議会定例会に公立化を提案、同意の議決を得た。市は直ちに北海道と文部科学省に公立大学法人の設立と大学の設置者変更を申請した。翌2019年1月31日、北海道から市に対し公立大学法人公立千歳科学技術大学設立にかかる認可書が交付され、また同日付で文部科学省から「千歳科学技術大学設置者変更認可申請」及び「学校法人千歳科学技術大学解散認可申請」が認可された。すべての手続きを完了し、同年4月1日に公立大学法人公立千歳科学技術大学が設置する公立千歳科学技術大学に移行した。
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公立化への動き
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「公立諏訪東京理科大学」の記事における「公立化への動き」の解説
設置者の学校法人東京理科大学(以下、学校法人)は、2014年初に東京理科大学・山口東京理科大学・諏訪東京理科大学を組織改革し、入学者数が定員割れを続けていた山口東京理科大学は、公立大学法人化を立地自治体の山陽小野田市と協議し、2016年の公立大学法人化を12月に合意した。 長野県は長野県短期大学を2018年4月に4年制大学化する準備を進め、県内の私立長野大学は2014年3月に上田市へ公立大学法人化を求める要望書を提出するなど、長野県内は大学改革が活発化していた。学校法人は2014年4月に、入学者数が定員割れを続ける諏訪東京理科大学を公立大学法人化する方針を示し、2015年9月に茅野市へ公立大学法人化を求める要望書を提出した。諏訪東京理科大学は地元自治体の誘致(公設民営大学)と協力(公私協力方式)によって開学した短期大学を前身としていたが、2006年度以降入学者数の定員割れが続き、2015年度の入学者は定員300人に対し214人であった。財務面も厳しさを増し、2014年度末の累積赤字は約16億円であった。少子化と学生定員割れで今後の大学運営は厳しいと判断した。公立化により総務省から運営交付金が受けられ、設置主体の地方自治体に地方交付税交付金が配分されるが、これらの収入が私学助成金を上回り、授業料を他の国公立大並みに引き下げられると判断した。学生・父母保証人の負担を軽減し、学生数を確保するとともに、地域の高等教育機関の維持と活性化を図った。 茅野市は県に公立化に向けた協議への参加を求め、阿部守一知事は長野県議会9月定例会において「高等教育の振興を重視する立場から、県としても積極的に協議に参加する」と表明し、公立化に対し積極的な姿勢を示した。県立大学化を想定していた学校法人側に、阿部知事は翌10月に「県立移行は困難」との認識を示した。学校法人と茅野市は諏訪広域連合による一部事務組合を創設し、学校組合を設置者として公立大学法人化を進め、運営は県に支援を求めて諏訪広域連合各自治体からも前向きな姿勢が示された。公立移行後も本校の東京理科大学との連携は維持、また学校法人側からは公立移行時に合わせて学部学科を再編し、工業系単科大学に改組する構想も示された。長野県の「大学収容力」(その都道府県の18歳人口に占める県内大学への入学者の割合)は長年全国最低であり、2016年度には16.5%であった。県にとっては若年層の県外流出を防止するため、県内高校卒業者の県内大学進学率を上げることが喫緊の課題となっていた。特に長野県内の大学には理工系学部学科が少ないため、県内の理工系学生の県内大学進学の道を広げ、地域社会に貢献する目的もあり、実際、地域密着型の工業大学として長野県駒ヶ根工業高等学校や長野県岡谷工業高等学校と高大連携協定を締結するなどしていた。2017年11月24日に文部科学省と長野県より諏訪広域公立大学事務組合を設置者とする公立大学法人の設立が認可され、2018年4月、公立大学法人に移行した。
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