経営基盤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/06 03:03 UTC 版)
同人誌印刷所は、基本的に中小規模の企業で成り立っており、一般の軽印刷と同じような小規模の印刷所も少なくない。また、同人誌専門という印刷所も多くはなく、一般の商業印刷と兼業であることが多い。同人誌印刷は、時期によって受注に波があり、夏コミ前の7,8月、冬コミ前の11,12月には大量の受注があり、ほとんどの印刷所はこの時期を書き入れ時にしている。一方、1,2月、9,10月は受注が少なく、繁忙期と閑散期の差が極端と言えるほど大きい。このため、閑散期に割引サービスを行って受注を獲得しようとする印刷所もある。 印刷業界は昨今の出版不況の影響により発展が鈍っているが、同人誌業界は(多少の影響はあるが)順調に発展を続けている。このため、一般商業印刷を行っている印刷会社が同人誌印刷に参入するケースも多々見られる。このような印刷所は、今まで商業印刷をやって来たことを売りにしていることが多いが、一般商業印刷と同人誌印刷に求められるニーズが違うことから、採算が合わないことも多く、撤退するケースも少なくない。その一方で、商業印刷の片手間に「オタクから金を巻き上げる」ことを目的として同人誌印刷を行う業者やブローカーも存在する。 同人誌印刷所の倒産、廃業も起きている。このような場合、受注した原稿が印刷工程でストップしてしまうこともありうる。2011年に廃業した愛知県の印刷所の例では、親交のある石川県の印刷所に印刷を引き継いでもらい、無事に納品されるということがあった。廃業まで至らなくとも、参入はしたものの、少部数で儲けの少ない同人誌印刷から撤退した業者は数多い。また、デジタル原稿をオンライン入稿する顧客が非常に多くなったことから、東京に出した支店や営業所に原稿を持ち込む顧客が減り、コスト削減のために営業所を撤収する印刷所もある。
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