ヒロインの関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 15:02 UTC 版)
吹(すい) 声:鈴谷まや 神出鬼没の謎の少女。非常にすばしっこい上、常人離れしたジャンプ力などがある。エキセントリックな言動が多く、本気とも冗談とも取れないような性的発言をするところは雫に似ている。 「櫻達の足跡」の制作作業中、明石が一時倒れ、真琴達美術部員が到着する前にも現れて、正確無比に直哉の作業を手伝っている。 正体は、失った母親を蘇らすため稟が咲かせようとした千年桜を、雫が伯奇の力で吞み込んだ後、強すぎる稟の思いが雫の身体に留まっていられず、母の代わりに稟が連れ回していた球体関節人形の姿をもとに出現した存在。そのため雫の性格の一部と、稟が持っていた尋常ならざる絵画能力や記憶の一部などを受け継いでいる。「吹」の名は、稟の実母に由来する。 当初は雫にしか見る事ができない存在だったが、雫と共にニューヨークにいた健一郎も、何となくその存在を感じ取る事ができるようになった。その後、直哉が預かっていた、稟のアルバムに挟まっていた千年桜の花びらを、直哉が稟の家の跡地に蒔いた事がきっかけで実体化し、千年桜の花びらに触れた直哉や、千年桜をモチーフにしたとされる「櫻達の足跡」を作ったり見たりした事がある人間に認識できるようになった。一方、「櫻達の足跡」を見たことがない人間には認識できない。 V章で起こった事件を切っ掛けに、雫が感情の制御が出来なくなったため、吹は姿を消し、その記憶や能力は御桜稟の中に戻った。 御桜 雄三(みさくら ゆうぞう) 御桜稟の父。かつて画商として仕事をする傍ら、自らも絵を描いていた。 病弱だった母を稟から引き離し、その直後に母は死去。さらに稟を強引に弓張市から自分の実家に引っ越させたため、稟から恨まれている。 だが実際には、火災により稟の母はそれ以前に死んでいた。その母に見立てた人形を稟が連れ回していたため、稟が心を病んでしまったと思ったため稟と人形を引き離し、またその記憶が蘇らないための措置だった。 自分自身は弓張市に残っており、III章によると、直哉と同じマンションの、かつての自宅の跡地が見える、別の部屋に住んでいる。 御桜 吹(みさくら すい) 声:萌花ちょこ 御桜稟の母。自宅の火災で、約6年前に死去。だが稟はその後、母を人形に見立て、車椅子に乗せて“散歩”させるという逃避状態にあった。 稟の父は、そんな状態の稟と人形を引き離し、さらに稟の記憶が蘇るのを防ぐため、弓張市から稟を引っ越させ、母は自分が引き離した後、病気で死んだと稟に告げている。また直哉も、稟から手紙が来ても返事を書かないなど、距離を取って母の記憶が蘇らないようにしていた。 直哉たちの前に現れた謎の少女「吹」の名は彼女に由来する。だが直哉は御桜吹のことを「稟のお母さん」と呼んでおり、稟も母の記憶を失っていたため、「吹」の名の由来をずっと思い出せなかった。 鳥谷 紗希(とりたに さき) / 中村 紗希(なかむら さき) 声:桜川未央 弓張学園校長で、真琴の実母。結婚し、真琴を生んだときの姓は「中村」で、III章の回想シーンおよびIV章ではその名で出ているが、離婚したため他の場面では旧姓の「鳥谷」になっている。 草薙健一郎と同じ美大の出身で、専攻は日本画であり、「狩山 青鷺(かりやま せいろ)」の名でいくつかの作品を残している。健一郎とは友人で、一時期恋人だった事もあるが、健一郎によると、自由奔放すぎる健一郎に愛想を尽かしたという。卒業後、美術館のキュレーターにならないかと誘われるが、その時には結婚が決まっていたため、断っている。 鳥谷家は当時名の知れた貿易会社だったため、政略結婚のような形で中村家に嫁くことになり、中村姓になった後、中村家が経営する弓張学園の学年主任となる。その時にも、健一郎とは腐れ縁のような関係が続いていて、健一郎を弓張学園の非常勤美術講師として雇い入れるために口利きしている。 II章では、健一郎が勝手に教会の改修を行ったため、自分が健一郎を解雇したと語っているが、辞表も受け取っており、「櫻達の足跡」公開際には、健一郎は自主退職していたものとして扱われた。だが健一郎が弓張学院を去った実質的な理由は、彼が水菜を救うため、当時学園を経営していた中村家と争ったためである影響が大きいことがIV章で明かされている(教会の改装時期と、健一郎たちと中村家の抗争の時系列については記述が曖昧)。 III章の回想シーンでは、中村家と対立する夏目家の藍であっても、普通に受け入れられるよう弓張学園を変える決意を、藍本人に語っている(当時、紗希はまだ中村姓で、弓張学園教頭)。実際、自分が弓張学園校長になってからは、後に“弓張のカミソリ鳥谷”と言われるようになるほどの辣腕を振るい、弓張学園から中村家の経営者を一掃して複数オーナー制とし、事実上弓張学園を乗っ取って、章一と離婚した。だがその結果、鳥谷家の実家は中村家の目の敵にされて没落し、紗希の兄が小さい店をやっているだけになったという。しかし藍を学生として受け入れ、さらにその後彼女を教師として採用したため、藍には非常に感謝されている。 このように教育者として誇りをもつ一方、実の子に対しては感情を素直に示せないなど不器用さが目立ち、自ら「母親としては失格」と言っている。離婚時に実娘である真琴の親権は引き取ったが、紗希の実子ではない圭は、夏目家に預けた。そのため、弟である圭を引き離されたと思った真琴からは恨まれることになり、母子の交流もほとんどなく、紗希も弁明していないため、真琴からは嫌われている。だが実際には圭や、圭を生んだ(生ませられた)霧乃のことは決して憎んでおらず、逆に2人の境遇に同情して、色々と便宜を図っている。 VI章でも校長として在任しており、直哉を非常勤講師として雇い入れるために口利きし、彼の上司となっている。また、姉妹校の女子校で発生したトラブルを解決させるため、藍を一時的にその学校に派遣している。その後、藍との間で交わした、問題が解決して藍が戻ってきたら直哉を正規雇用するという約束を守った。 中村 章一(なかむら しょういち) 真琴と圭、さらに雫の実父で、紗希の元夫であり(正妻だった紗希との間の子は真琴のみ)、弓張学園の元理事。中村製薬の会長。中村家当主として、弓張市で大きな力を持っており、非常に傲慢。 中村家の血と伯奇の伝承、それによる中村家の勃興を信じており、埋木舎(後の夏目屋敷)に水菜や藍を囲って、さらに水菜などを犯していた。だが草薙健一郎と夏目琴子および夏目組の力によって、水菜や藍ごと屋敷を奪われ、さらに夏目組との抗争などによって、中村家の力を大きく衰退させた。 そうやって衰退した中村家の力を取り戻すため、伯奇の力を持った雫(葛)の身柄を狙っていた。 鳥谷 静流(とりたに しずる) 真琴の従姉妹。鳥谷紗希にとっては姪にあたる。真琴の両親が離婚し、真琴が母の実家である鳥谷家で住むようになってからの一番の理解者。コーヒー修行のため海外に出てから帰国し、弓張市の喫茶店「キマイラ」のオーナーとなって、後に真琴をその店でアルバイトさせ、下宿させている。だが放浪癖があり、コーヒー豆などの素材や、真琴が陶芸で使う釉薬などを手に入れるため旅に出ていることが多く、さらに極度の方向音痴のため、店にはなかなか戻ってこない。 陶芸を行っており、「雪景鵲図花瓶」という骨董品風の花瓶を作った事がある。真琴も、静流の影響で陶芸をするようになった。 恩田 霧乃(おんだ きりの) 声:こたつみやこ 圭と寧の実母。中村家の関係会社で働いていたところ、章一に目を付けられて犯され、圭を生まされたあと、圭を取り上げられる。 その後、圭には近づかないと確約させられるものの、紗希の援助によって別の街に移り住み新たな生活を始める。またもう一人の子として、娘の寧を生む。 だがさらなるトラブルに遭い、シングルマザーとして傷心のまま弓張市に舞い戻ってしまう。そこで偶然キマイラの近くにいたところ、ビラ配りをしていた真琴にコーヒー無料券をもらって、その美味さに心を癒やされ、キマイラの常連となる。 本人は何も話さなかったが、顔立ちなどが寧だけではなく息子の圭にも似ていたため、真琴や直哉に、圭の実母だと気付かれる。 恩田 寧(おんだ ねい) 声:藤神司朗 霧乃の娘で、圭の異父妹。だが圭と寧は、互いに存在を知らない。 非常におとなしく、無口な性格。本間麗華の子によるイジメに遭い、将来障害が残る可能性があるほどの大怪我を負う。そのリハビリのため弓張総合病院にいたところ、正田神父に会うため病院に来た直哉と偶然出会う。その時、直哉本人が自分の怪我でリハビリしていた経験があったことなどから、直哉と打ち解けて会話するようになる。 VI章では弓張学園1年生となっており、障害もなく健康体のように見える。この時寧は、桜子やルリヲたちによる美術部体験会が行われている様子を知り、もし正式に美術部ができるのなら入りたいと直哉に話している。 本間 麗華(ほんま れいか) 旧姓は中村で、中村章一の妹。中村家の人間として根拠のない肥大化したプライドを持ち、以前から鳥谷家出身の紗希と、その娘である真琴をいびっていた。その後、弓張学園から中村家を追い出したうえ、“金になる”絵を描いてくれる圭を中村家から奪ったため、紗希達を更に憎むようになる。 モンスターペアレントとして有名で、とてつもなく自己中心的な性格。自分の子が寧をいじめて大怪我させた際、自分の子もその時に受けた僅かな怪我をネタに脅迫し、多額の賠償を霧乃に要求する。さらに自分の子供が弓張学園の日曜学校でケンカを起こしたとき、子供を叱った真琴を平手打ちしたという。 その後、過去に圭が描いた絵などを狙って、霧乃や真琴を利用しようとする。 末竹(すえたけ) 本間麗華に雇われている専属顧問弁護士の女性。だが、麗華の無茶な要求に振り回されて疲弊している。 一方美術品コレクターとして、白州兎子の作った「四つの星の花瓶」を高く評価しており、手に入れたがっている。 氷川 ルリヲ(ひかわ ルリヲ) 声:桜川未央 氷川里奈の妹。里奈と優美という姉同士の仲が良いこともあって、ルリヲと、里奈の妹である鈴菜という妹同士でも仲が良い。だがルリヲの性格は里奈とは全く異なっており、ルリヲがいい加減で適当なことを言っては、鈴菜にたしなめられる事が多く、里奈と優美の関係性とは全く逆。 直哉と里奈が出会った後、ルリヲも直哉と顔見知りとなり、直哉のことを「草薙ちゃん」と気軽に呼ぶようになって、鈴菜と共に美術部の活動などに顔を出したことがある。 VI章では成長し、次年度からの弓張学園への入学が決定している状態で直哉と再会して、また気軽に接している。その後桜子に、過去の美術部についてなどを話している。 川内野 鈴菜(かわちの すずな) 声:きのみ聖 川内野優美の妹。お嬢様のような言葉遣いをする、おしとやかで常識人かつ、しっかり者な少女。ルリヲの友人だが、時にルリヲや、更に姉である優美の母親のように振る舞うこともある。 VI章では成長し、次年度からの弓張学園への入学が決定している状態で直哉と再会。性格はほとんど変わっていないが、直哉の、周囲の女子からの好意に対するあまりの鈍感ぶりに「お姉様が(里奈からなどの好意に気付いていなかった)草薙様を見てイライラしていた気持ちもわかりますわね」「草薙様は、一度お姉様に刺されていたら良かった思いますわ」などと、物騒な事も言っている。 丘沢(おかざわ) かつて優美と同じ学校に通っていた、彼女の男友達のうちのひとり。優美が他の男子とケンカになったとき、優美を守るためナイフまで持ち出して、停学になっている。 学校卒業の日、優美は里奈のことが好きなことを知りつつ優美に告白して振られ「お前とはずっと友達だよ」と優美に言われている。その後、県内トップクラスの学校に進学したという。 III章 ZYPRESSENで直哉と里奈がつきあい始めた後、優美と再会している。
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