スポットマチック系シリーズとは? わかりやすく解説

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スポットマチック系シリーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 01:32 UTC 版)

PENTAXの銀塩一眼レフカメラ製品一覧:35mm判 (ねじ込み式マウント)」の記事における「スポットマチック系シリーズ」の解説

ここでいうスポットマチック系シリーズとは、1960年の"フォトキナ60"にて出品され世界初35mm一眼レフカメラTTL露出計による測光機能搭載し話題呼んだ試作機『スポットマチック』(Spot Matic )の製品版である『アサヒペンタックスSP』をベースとする"後期型"アサヒペンタックスシリーズ機とする。 まず、高級一眼レフカメラ開発する、といった意図のもとに開発始まった筐体新設計し各部機械構造耐久性全面的に強化しつつ、従来までの機種とのサイズ変えない、というのがおおまかな構想だったという。そのため、従来ボディのマウントエプロン部を板金プレス加工から一体成形アルミダイカスト変更ボディ剛性仕上げ加工精度大幅に向上された。各部デザインも非常に気を遣われ使い勝手高級感両立させるべくデザインされた。また低温に弱いフォーカルプレンシャッターの耐久性強化にも重点置かれ開発段階ではチタン幕などの金属幕の採用検討された。最終的にゴム幕で実用レベル達したものの、この時の研究成果が後の『アサヒペンタックス6×7』、『ペンタックスLX』で活かされることとなる。 また並行開発されていた内光式露出計TTL露出計)の構想統合され1959年TTL露出計内蔵式カメラとしての仕様固まった当初製品版とは異なりボタン操作によってスポット測光用のCdS露出計取り付けられているアーム繰り出す仕組みであったが、ファインダー視野に"異物"が見え方式試用あたった写真家不評買ったため断念することになり、現在の多く一眼レフカメラ採用されているファインダー周囲露出計配置する方針転換する。そして、当時CdS性能問題もあって精度重視した結果スポット測光式から平均測光式に仕様変更された。絞り込み測光採用も、当時技術では精度的に信頼性高かったためである。 すでにアサヒペンタックスS3にて完全自動絞り実現していたことから、実際に1966年フォトキナにて内径44.5ミリバヨネットマウント実装して開放測光絞り優先AE一眼レフカメラペンタックスメタリカ(Pentax Metalica )が試作発表されているなど、現場からは将来的機能拡張考慮してバヨネットマウントへの変更案が出されていた。同時に発表されペンタックス6X7のプロトタイプにあたるペンタックス220当初よりバヨネットマウント採用しており、いずれペンタックスバヨネットマウント移行するであろうことは1960年代中ごろにはすでにカメラ雑誌上で取り沙汰されているが、この時点ではシステムの総入れ替えリスク回避するため保留された。ところがアサヒペンタックスSPTTL測光などの数々新機構を取り込みながらもボディサイズ従来変わらない小型軽量実現して予想外ロングセラーとなり、そのバリエーション機累計350生産されマウント変更の機を逸してしまう。しかし研究開発続けられ『6×7』、後のKマウントにて結実することとなる。 この後各社一眼レフカメラにも続々TTL測光採用され徐々にAE化とレンズボディの高度な連動性への要求高まってきたものの、旭光学工業互換性重視しついにPSマウントのままで『アサヒペンタックスES』によって電子シャッター採用によるAE化を実現した。このPSマウントシリーズ機種ES後継機であるアサヒペンタックスES IIをもって完成を見るが、残されいくつかの課題次世代バヨネットKマウント機種託されることとなった開放測光主流になった後も、絞り込み測光式のアサヒペンタックスSP IIが、アサヒペンタックスSP復刻として製品化された。 アサヒペンタックスSPAsahi Pentax SP1964年7月発売) - 世界で2番目に発売されTTL露出計内蔵型機種である。"フォトキナ60"における衝撃的な発表から更に4年研究開発経てようやく発売され当時一眼レフカメラにおける世界的ベストセラーとなった当初は「高級一眼レフカメラ」というコンセプトの下で開発始まり適切な内蔵露出計」、「スポット測光機能」、「ボディ剛性」、「バヨネット構想」など様々な面を検討し従来シリーズ機とは異な新設計のカメラとして着々と研究開発進められ最終的にコスト面などから高級一眼レフカメラとはならなかったものの、それを補う数多工夫によって従来シリーズサイズのままでワンランク高い信頼性耐久性持ったカメラとして製品至ったTTL露出計内蔵市販カメラとしては東京光学(現トプコン)のトプコンREスーパーに1番手譲ったものの、大衆機としては初であったことや実用性の高いコンパクトなボディが受け大ヒット商品となった従来機と分かりやすい面を比較するCdSセルによるTTL露出計内蔵し絞込み測光によるボディ単体での測光機能実現したことと、ファインダースクリーンマット面の面積SV比較してより広くなりピント合わせがよりやりやすく使いやすい機種となった面が挙げられる。 アサヒペンタックスSPモータードライブAsahi Pentax SP MotordriveSP MD1967年発売) - システムカメラとしての延長上の製品としてモータードライブ対応機種として少数生産され機種である。カメラ本体としてはアサヒペンタックスSP発売より3年経過していることや、新たにモータードライブ対応することになったためにそれによる自動巻上げ機構影響を受ける部分パーツがより耐久力の高いものに換装されているほか、ファインダー視認性の向上、各レバー部の操作性の向上などが改良されている。マイナーチェンジされた部分はアサヒペンタックスSP後期モデルとアサヒペンタックスSLにて採用されている。 アサヒペンタックスSLAsahi Pentax SL1968年9月発売) - アサヒペンタックスSPから内蔵TTL露出計省いた機種で、機能面ではアサヒペンタックスSV後継機といった位置付けとなる。この時代にはまだ新機能であり実績のないカメラ内蔵露出計信頼できない層と、多機能化による故障要因増加を嫌う層がいたことから、上級者向け製品として発売されたようである。この機種ベース機はアサヒペンタックスSP MDであり、初代アサヒペンタックスSP比較して耐久性高められていることが特徴である。省かれTTL露出計代わりに専用外光式露出計ペンタックスメーターSL発売された。 アサヒペンタックスESAsahi Pentax ES1971年10月発売) - 世界初絞り優先オート以降AE記述撮影機能開放測光電子シャッター搭載一眼レフカメラである。AE撮影時全速段階(1~1/1000秒)の電子シャッター使用マニュアル撮影時はバルブ、X同調速度(1/60秒)と高速側(1/125秒以上)のみ機械式シャッター使用するいわゆるハイブリッドシャッター仕様機である。アサヒペンタックスSPシリーズ機として開発されたため外見酷似するものの、パーツの高級化による各部堅牢性の向上などが図られており、巻上げ機構などの共通できる機械部を除けばほぼ新設機種といってもよい。PSマウント開放測光実現するために、本体マウント内径部のねじの奥端1mm部に対応レンズ用の回転式絞り値伝達レバー設け、また対応レンズ側に"定点"を設けボディ側に設けられ定点受けの可動によって位相検出し絞り値正確な伝達を可能とした。その新機能対応レンズ群がSMCタクマーレンズである。この機構マウント外径細工をした他社マウント比べて互換性面では大幅に有利なものであったが、PSマウント規格から踏み出してしまうこととなってしまった。レリーズした際にミラーアップ直前TTL測光回路から専用記憶回路通電させ、事前に摺動抵抗によってセットされ情報ASA感度絞り値)を加味し電圧記憶させ、ミラーアップ中に適正シャッター速度電子的演算によって決定される。その電子制御された演算に基づき後幕シャッター起動させシャッター幕を閉じ仕組みである。この画期的な記憶システム旭光学特許となり、多くメーカー許諾受けて採用したほどのものであった。しかし激し開発競争のためES後継機であるアサヒペンタックスES II登場とともに1年半生産完了となった。なお、この時期になるとPSマウント採用各社開放測光対応においては各社の独自方式採用してきたため、ユニバーサルマウントとしての互換性徐々に損なわれはじめていた。 アサヒペンタックスES IIAsahi Pentax ES II1973年6月発売) - アサヒペンタックスES後継機種でありPSマウントアサヒペンタックスシリーズ最高級機である。外観酷似するものの回路設計大幅な見直し図られまったくの新設計の機種といってもよい。アサヒペンタックスES輸出版改良型アサヒペンタックスES存在し、その輸出版アサヒペンタックスESベースとなっている。露出計記憶回路IC化することによって処理速度の向上と回路大幅な小型化実現するとともに絞り優先オート時のスローシャッターが8秒まで向上されたこと、-20度まで耐えうる温度保障回路内蔵されたこと、アサヒペンタックスESでは省かれセルフタイマー機能復活したこと、アイピース・シャッター機構実装したこと、ファインダー部の接眼レンズにも旭光学独自の多層コーティングであるSMC(スーパー・マルチ・コーティング)が施されたことなどが挙げられる。しかし信頼性理由採用され続けていたCdSセルでは高速化には限界があり、また同様の理由ペンタプリズムアルミ蒸着のままであり接眼レンズSMCコーティング理によっても従来より指摘されていたファインダー像暗さ解消されるまでには至らなかった。 アサヒペンタックスSP FAsahi Pentax SP F1973年7月発売) - アサヒペンタックスSP改良機である。フォトスイッチという、当時"レンズキャップを外すと測光体勢"と謳われ感光する自動的に露出計スイッチが入るTTL自動スイッチによる測光機構装備し便利であったものの無駄な電力消費を心配する声もあったという。その無理のない造りから、スタイリング実用面においてバランス良い機種であったため、マウント変更後のアサヒペンタックスKMベースとなっている。 アサヒペンタックスSP IIAsahi Pentax SP II1974年発売) - 海外ファン要望によって発売されたアサヒペンタックスSP復刻機である。ホットシュー標準実装されているのが、SPとの唯一の相違点。およそ20年渡って世界で愛用され続けた"アサペンシリーズ"の最終となった

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