奥泉光とは? わかりやすく解説

おくいずみ‐ひかる〔おくいづみ‐〕【奥泉光】

読み方:おくいずみひかる

[1956〜 ]小説家山形生まれ本名、康弘。「石の来歴」で芥川賞受賞。他に「ノヴァーリスの引用」「『吾輩は猫である』殺人事件」「グランド・ミステリー」など。


奥泉光

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/12 15:39 UTC 版)

奥泉 光
(おくいずみ ひかる)
誕生 奥泉 康弘
(1956-02-06) 1956年2月6日(69歳)
日本山形県東田川郡三川町
職業 小説家
言語 日本語
国籍 日本
教育 修士
最終学歴 国際基督教大学大学院
活動期間 1986年 -
ジャンル 小説
代表作 『石の来歴』(1993年)
「吾輩は猫である」殺人事件』(1996年)
『神器-軍艦「橿原」殺人事件』(2009年)
『東京自叙伝』(2014年)
『雪の階』(2018年)
主な受賞歴 野間文芸新人賞(1993年)
芥川龍之介賞(1994年)
野間文芸賞(2009年)
谷崎潤一郎賞 (2014年)
毎日出版文化賞(2018年)
柴田錬三郎賞(2018年)
毎日芸術賞(2024年)
川端康成文学賞(2025年)
デビュー作 『地の鳥天の魚群』(1986年)
ウィキポータル 文学
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(おくいずみ ひかる、1956年昭和31年〉2月6日 -)は、日本小説家近畿大学文芸学部で教授も務めた。

来歴

山形県東田川郡三川町出身。埼玉県立川越高等学校国際基督教大学 (ICU) 教養学部人文科学科卒。同大学院修士課程修了(博士課程中退)。当初は研究者を目指しており、研究者時代の共訳書に『古代ユダヤ社会史』(G・キッペンベルク著、教文館)がある[1]。師は並木浩一[2]大塚久雄[3]

1986年、すばる文学賞に応募した「地の鳥天の魚群」が最終候補になり、後に「すばる」に掲載され小説家としてデビュー[1]

1990年、『滝』が第3回三島由紀夫賞候補および第103回芥川賞候補[4][5]

1993年、『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞[6]・瞠目反文学賞[7]を受賞。野間文芸新人賞は保坂和志『草の上の朝食』との同時受賞であり、対照的な作風が話題となった[8]

1994年、『石の来歴』により第110回芥川賞を受賞[9]。同作は後に英語、仏語で翻訳刊行。

1999年、近畿大学助教授に就任、のち教授(2024年3月定年退職)[10]

2009年、『神器』で第62回野間文芸賞を受賞[11]

2012年より芥川賞選考委員[12]。同年、『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』がテレビドラマ化[13]

2014年、『東京自叙伝』で第50回谷崎潤一郎賞を受賞[14]

2018年、『雪の階』で第72回毎日出版文化賞、第31回柴田錬三郎賞を受賞[15]

2024年、『虚史のリズム』で毎日芸術賞を受賞[16]

2025年、『清心館小伝』で第49回川端康成文学賞を受賞[17]

作風・人物

ミステリーの構造を持つ作品が多く、物語の中で次第に謎の位相をずらしていき、虚実のあわいに読者を落とし込む手法を得意とする。デビュー時から反時代的な文語体の書き手として評価され、1996年に書き下ろしで刊行された『「吾輩は猫である」殺人事件』では、夏目漱石吾輩は猫である』の主人公の猫が実は生きていたという設定のもと、漱石の文体模倣を行い高い評価を得た[18]

趣味はフルート。バンド活動も行い、都内などで路上パフォーマンスもしている。将棋の熱心なファンであり、2012年、第70期名人戦第五局の観戦記を執筆した。

著書

単著

  • 『滝』(1990年10月 集英社
    • 改題『その言葉を』(1993年8月 集英社文庫
      • 収録作品:その言葉を / 滝
  • 『葦と百合』(1991年10月 集英社 / 1999年4月 集英社文庫)
  • 『蛇を殺す夜』(1992年9月 集英社)
    • 収録作品:暴力の舟 / 蛇を殺す夜
  • 『ノヴァーリスの引用』(1993年3月 新潮社 / 2003年5月 集英社文庫)
  • 『石の来歴』(1994年3月 文藝春秋 / 1997年2月 文春文庫
    • 収録作品:石の来歴 / 三つ目の鯰
  • 『バナールな現象』(1994年3月 集英社 / 2002年5月 集英社文庫)
  • 「吾輩は猫である」殺人事件』(1996年1月 新潮社 / 1999年3月 新潮文庫 / 2016年4月 河出文庫
  • 『プラトン学園』(1997年7月 講談社 / 2007年10月 講談社文庫
  • 『グランド・ミステリー』(1998年3月 角川書店 / 2001年4月 角川文庫【上・下】 / 2013年5月 角川文庫)
  • 『虚構まみれ』(1998年5月 青土社
  • 鳥類学者のファンタジア』(2001年4月 集英社 / 2004年4月 集英社文庫) - 望月玲子作画で漫画化(2008年3月 講談社〈KCデラックス〉全2巻)
  • 『坊ちゃん忍者幕末見聞録』(2001年10月 中央公論新社 / 2004年10月 中公文庫 / 2017年4月 河出文庫)
  • 『浪漫的な行軍の記録』(2002年11月 講談社)
  • 『新・地底旅行』(2004年1月 朝日新聞出版 / 2007年3月 朝日文庫
  • 『モーダルな事象 桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活』(2005年7月 文藝春秋 / 2008年8月 文春文庫)
  • 『神器 軍艦「橿原」殺人事件』(2009年1月 新潮社【上・下】 / 2011年7月 新潮文庫【上・下】)
  • 『石の来歴 浪漫的な行軍の記録』(2009年12月 講談社文芸文庫
    • 収録作品:石の来歴 / 浪漫的な行軍の記録
  • 『シューマンの指』(2010年7月 講談社 / 2012年10月 講談社文庫)
  • 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』(2011年5月 文藝春秋 / 2013年11月 文春文庫)
    • 収録作品:呪われた研究室 / 盗まれた手紙 / 森娘の秘密
  • 『地の鳥 天の魚群』(2011年9月 幻戯書房
    • 収録作品:地の鳥 天の魚群 / 乱歩の墓 / 深い穴
  • 『黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2』(2012年9月 文藝春秋 / 2015年4月 文春文庫)
    • 収録作品:期末テストの怪 / 黄色い水着の謎
  • 『虫樹音楽集』(2012年11月 集英社 / 2016年3月 集英社文庫)
    • 収録作品:川辺のザムザ / 地中のザムザとは何者? / 菊池英久「渡辺柾一論――虫愛づるテナーマン」について / 虫王伝 / 特集「ニッポンのジャズマン二〇〇人」――畝木真治(別冊『音楽世界』1994年よりの抜粋) / 虫樹譚 / Metamorphosis / 変身の書架 / 「川辺のザムザ」再説
  • 『メフィストフェレスの定理 地獄シェイクスピア三部作』(2013年6月 幻戯書房)
    • 収録作品:リヤの三人娘 / マクベス裁判 / 無限遠点
  • 『夏目漱石、読んじゃえば? 14歳の世渡り術』(2015年4月 河出書房新社
    • 改題『夏目漱石、読んじゃえば?』(2018年5月 河出文庫)
  • 『東京自叙伝』(2014年5月 集英社 / 2017年5月 集英社文庫)
  • 『その言葉を / 暴力の舟 / 三つ目の鯰』(2014年12月 講談社文芸文庫)
    • 収録作品:その言葉を / 暴力の舟 / 三つ目の鯰
  • 『ノヴァーリスの引用 / 滝』(2015年4月 創元推理文庫
    • 収録作品:ノヴァーリスの引用 / 滝
  • 『ビビビ・ビ・バップ』(2016年6月 講談社 / 2019年6月 講談社文庫)
  • 『雪の階』(2018年2月 中央公論新社 / 2020年12月 中公文庫【上・下】)
  • 『ゆるキャラの恐怖 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活3』(2019年3月 文藝春秋)
    • 収録作品:ゆるキャラの恐怖 / 地下迷宮の幻影
  • 『死神の棋譜』(2020年8月 新潮社 / 2023年2月 新潮文庫)
  • 『虚史のリズム』(2024年8月 集英社)

共著・オムニバス

「文芸漫談」シリーズ

いとうせいこうとの共著

  • 『文芸漫談 笑うブンガク入門』(2005年7月 集英社)
    • 改題『小説の聖典 漫談で読む文学入門』(2012年11月 河出文庫)
  • 『世界文学は面白い。文芸漫談で地球一周』(2009年6月 集英社)
  • 『漱石漫談』(2017年 河出書房新社)

その他

  • 『戦争はどのように語られてきたか』(1999年8月 朝日新聞社
    • 改題『戦争文学を読む』(2008年8月 朝日文庫)
  • 必読書150』(2002年4月 太田出版
  • 『コレクション戦争×文学 9 さまざまな8・15』(2012年7月 集英社)
  • 『第十一回 岡山県 内田百閒文学賞 受賞作品集』(2013年3月 作品社
  • 加藤陽子『この国の戦争 太平洋戦争をどう読むか』(2022年6月 河出新書)
  • 並木浩一『旧約聖書がわかる本 〈対話〉でひもとくその世界』河出書房新社〈河出新書〉、2022年9月。ISBN 978-4-309-63156-1 (電子版あり)
  • 原武史『天皇問答』(2024年12月 河出新書)
  • 『もの語る一手』(2025年4月 講談社)「桂跳ね」

翻訳

  • 『古代ユダヤ社会史』(1986年7月 教文館、H.G.キッペンベルク著、紺野馨共訳) - 奥泉康弘名義
  • 『ノアのはこぶね』(1992年6月 福武書店、ジェーン・レイ著)
  • 『クリスマスのおはなし』(1994年10月 徳間書店、ジェーン・レイ著)

選考委員歴

出演

脚注

  1. ^ a b 第151回:奥泉光さんその4「小説家のスタンス」 - 作家の読書道”. WEB本の雑誌. 2025年5月20日閲覧。
  2. ^ 「旧約聖書がわかる本」 権力超える「思想的な抵抗の書」 朝日新聞書評から|好書好日”. 朝日新聞社. 2022年11月19日閲覧。
  3. ^ 『芥川賞全集16』年譜
  4. ^ 第3回 三島由紀夫賞 候補作品”. 新潮社コーポレートサイト. 新潮社. 2025年2月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月20日閲覧。
  5. ^ ノヴァーリスの引用/滝 - 奥泉光』東京創元社https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488444112 
  6. ^ 野間文芸新人賞 過去の受賞作品一覧”. 講談社. 2025年5月20日閲覧。
  7. ^ 島田雅彦が提唱して1度だけ挙行された文学賞。副賞として、北海道穂別町から当地産の野菜を一生寄贈してもらうことができる権利を獲得。
  8. ^ 森本隆子 「保坂和志」 『國文學 1999年2月臨時増刊号 21世紀を拓く現代の作家ガイド100』、學燈社、156頁。
  9. ^ 奥泉光 | 時事用語事典”. 情報・知識&オピニオン imidas (2014年9月27日). 2025年5月20日閲覧。
  10. ^ 清水有香 (2024年2月18日). “文学や文学部はなぜ必要 小説家・奥泉光さんが最終講義で出した答え”. 毎日新聞. 2025年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月19日閲覧。
  11. ^ 野間文芸賞 過去の受賞作品一覧”. 講談社. 2025年5月20日閲覧。
  12. ^ 芥川賞選考委員、全員が戦後生まれに”. 日本経済新聞 (2012年2月21日). 2025年5月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月20日閲覧。
  13. ^ 注目ドラマ紹介:「妄想捜査」 佐藤隆太が“妄想力”で事件に挑む 新感覚のコミカルミステリー”. MANTANWEB (2012年1月21日). 2025年5月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月20日閲覧。
  14. ^ 谷崎潤一郎賞、奥泉光さんが受賞”. 日本経済新聞 (2014年9月9日). 2025年5月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月20日閲覧。
  15. ^ 『雪の階』が柴田錬三郎賞、毎日出版文化賞W受賞”. 中央公論新社 (2018年12月5日). 2025年5月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月20日閲覧。
  16. ^ 第66回毎日芸術賞受賞者決定」『毎日新聞』2025年1月1日。オリジナルの2025年1月15日時点におけるアーカイブ。2025年5月20日閲覧。
  17. ^ 第49回川端康成文学賞が奥泉光「清心館小伝」(「新潮」2024年6月号)に決定しました。”. PR TIMES (2025年4月4日). 2025年5月20日閲覧。
  18. ^ 武田信明 「奥泉光」 『國文學 1999年2月臨時増刊号 21世紀を拓く現代の作家ガイド100』、學燈社、44頁。

関連項目

外部リンク




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「奥泉光」の関連用語



3
ノヴァーリスの引用 デジタル大辞泉
98% |||||

4
石の来歴 デジタル大辞泉
98% |||||



7
グランド・ミステリー デジタル大辞泉
78% |||||


9
58% |||||

10
58% |||||

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