野間文芸新人賞とは? わかりやすく解説

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野間文芸新人賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/05 13:23 UTC 版)

野間文芸新人賞
受賞対象 新人作家の小説
日本
主催 財団法人野間文化財団・講談社
初回 1979年(前身の初回は1941年
最新回 2024年
最新受賞者 豊永浩平
公式サイト 公式ウェブサイト

野間文芸新人賞(のまぶんげいしんじんしょう)は、講談社初代社長、野間清治の遺志により設立された財団法人野間文化財団が主催する純文学の新人に与えられる文学賞である。野間三賞のうちの一つ。

概要

財団法人野間奉公会が1941年野間文芸賞とともに創設した野間文芸奨励賞が前身。戦後両賞とも一時中断し、1953年に野間文芸賞のみ再開、その後1979年の講談社創立70周年を期に野間文芸奨励賞を改称、野間文芸新人賞として新設された。以降年1回発表されている。

新人作家による小説を対象とする。芥川龍之介賞と違い、文芸誌掲載作だけではなく単行本も対象となる。受賞作は選考委員の合議によって決定される。受賞者には正賞として賞牌、副賞として100万円(第12回から、それ以前は50万円)が授与される。受賞作発表および選評は『群像』1月号に掲載される。

初期は村上龍尾辻克彦など芥川賞受賞経験者に授賞することがあったが、しだいに芥川賞未受賞者のみを「新人」として扱う慣例[1]が成立していった。特に90年代以降は受賞者の約4割が後に芥川賞も受賞している。しかし第43回(2021年)にて約30年ぶりに芥川賞受賞経験者(遠野遥)が候補に挙がり、第44回(2022年)では芥川賞受賞経験者2人(町屋良平宇佐見りん)が入った候補のうち町屋が受賞するなど、長年続いていた慣例が見直された[1]。2023年の贈呈式において選考委員の保坂和志は「この賞は芥川賞と同格」と強調し、芥川賞に対抗し独自色を打ち出している[1]

受賞作一覧(野間文芸奨励賞)

第1回1941年

  • 受賞作:笹本寅『会津士魂』、桜田常久『従軍タイピスト』、赤川武助『僕の戦場日記』

第2回1942年

第3回1943年

  • 受賞作:大林清『庄内士族』他2作、望月茂『佐久良東雄』、須川邦彦『無人島に生きる十六人』

第4回1944年

第5回1946年

  • 受賞作:北條誠『寒菊』『一年』、船山馨『笛』『塔』、太田黒克彦『小ぶなものがたり』

受賞作一覧(野間文芸新人賞)

第1回から第10回

第1回1979年

第2回1980年

第3回1981年

第4回1982年

  • 受賞作:村上春樹羊をめぐる冒険
  • 候補作:中沢けい『女ともだち』、増田みず子『麦笛』、青野聰、冥王まさ子『雪むかえ』

第5回1983年

第6回1984年

  • 受賞作:青野聰『女からの声』、島田雅彦『夢遊王国のための音楽』
  • 候補作:干刈あがた「ビッグ・フットの大きな靴」(『文學界』1984年9月号)、高樹のぶ子、他1作

第7回1985年

  • 受賞作:中沢けい『水平線上にて』、増田みず子『自由時間』
  • 候補作:干刈あがた『ワンルーム』、桐山襲『風のクロニクル』、他1作

第8回1986年

第9回1987年

  • 受賞作:新井満『ヴェクサシオン』
  • 候補作:朝稲日出夫『シュージの放浪』、リービ英雄「星条旗の聞こえない部屋」(『群像』1987年3月号)、小林恭二『ゼウスガーデン衰亡史』、他1作

第10回1988年

第11回から第20回

第11回1989年

  • 受賞作:伊井直行『さして重要でない一日』
  • 候補作:竹野雅人『純愛映画・山田さん日記』、佐藤泰志『そこのみにて光輝く』、池澤夏樹『真昼のプリニウス』、吉本ばなな、山川健一

第12回1990年

第13回1991年

  • 受賞作:笙野頼子『なにもしてない』
  • 候補作:荻野アンナ『ブリューゲル、飛んだ』、小林恭二『荒野論』、原田宗典『あるべき場所』、夫馬基彦『風の塔』

第14回1992年

第15回1993年

  • 受賞作:奥泉光『ノヴァーリスの引用』、保坂和志『草の上の朝食』
  • 候補作:角田光代『ピンク・バス』、鷺沢萠『ハング・ルース』、佐藤洋二郎『前へ、進め』、谷村志穂『眠らない瞳』

第16回1994年

  • 受賞作:竹野雅人『私の自叙伝前篇』
  • 候補作:伊達一行『妖言集』、別唐晶司『メタリック』、石黒達昌『平成3年5月2日,後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士,並びに,』、藤沢周『死亡遊戯』

第17回1995年

第18回1996年

第19回1997年

第20回1998年

第21回から第30回

第21回1999年

  • 受賞作:阿部和重『無情の世界』、伊藤比呂美『ラニーニャ』
  • 候補作:赤坂真理『ヴァイブレータ』、黒川創『若冲の目』、清水博子『ドゥードゥル』、堂垣園江『ゼラブカからの招待状』、若合春侑『脳病院へまゐります。』

第22回2000年

第23回2001年

第24回2002年

第25回2003年

第26回2004年

  • 受賞作:中村航『ぐるぐるまわるすべり台』、中村文則『遮光』
  • 候補作:小池昌代『感光生活』、鈴木清剛『バンビの剥製』、舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』

第27回2005年

第28回2006年

第29回2007年

第30回2008年

第31回から第40回

第31回2009年

第32回2010年

第33回2011年

第34回2012年

第35回2013年

第36回2014年

第37回2015年

第38回2016年

第39回2017年

第40回2018年

第41回から

第41回2019年

第42回2020年

第43回2021年

第44回2022年

第45回2023年

第46回2024年

  • 受賞作:豊永浩平『月ぬ走いや、馬ぬ走い』
  • 候補作:安堂ホセ「DTOPIA」(『文藝』2024年秋季号)、小砂川チト『猿の戴冠式』、小林エリカ『女の子たち風船爆弾をつくる』、市街地ギャオ「メメントラブドール」(『太宰治賞2024』)

選考委員(野間文芸新人賞)

選考委員差し替え問題

第27回の選考会前に、突然選考委員が差し替えられた。しかしこの時、前職の選考委員には事前連絡がされていなかった(文学賞選考には何ヶ月も前から下準備が必要であるため、選考委員の交替があるときには事前に了解を得るのが通例である)。そこで前職の選考委員たちは、笙野頼子を発起人として記者会見を開き、不満を訴えた。それに対し、講談社側は、『群像』2006年1月号に、講談社文芸局長のお詫びの言葉を掲載した。

脚注

  1. ^ a b c 読売新聞2024年1月14日付朝刊解説面
  2. ^ “野間文芸賞に川上弘美さん「恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ」”. 産経ニュース (産経デジタル). (2023年11月6日). https://www.sankei.com/article/20231106-XEPT45P3DNPELGX3NPEBMLTI2I/ 2023年11月7日閲覧。 
  3. ^ a b 野間文芸新人賞”. 講談社. 2023年11月7日閲覧。

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