車掌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/18 09:16 UTC 版)
英国における車掌
英国・オーストラリアなどにおける車掌は、駅馬車時代の乗務員に由来して「ガード」(guard)と呼称される。20世紀後半までは乗務列車のダイヤ確認や運行の安全確保、荷貨物の取り扱いなどが主な業務で、運賃収受業務はガードとは別の「検札官」(travelling ticket inspector)が担当していたが、近年では主にガードが検札・集改札業務も行っている。
英国国鉄では旅客・貨物列車の乗務別に複数の職制に分けられていた。職制における「ガード」は乗客に接する業務は行えず、旅客対応は「コンダクター=ガード」(conductor-guard)または「コンダクター」(conductor)の職制の車掌が行った。また長距離列車では職制とは別に「シニア・コンダクター」(senior conductor)の呼称を用いた。
現在の英国では、一部の民間旅客列車運行事業者がシニア・コンダクターに代わって「トレイン・マネジャー」(train manager)の呼称を用いているケースがあるが、鉄道安全基準審議会(RSSB)が定める公式の車掌職名はいまも「ガード」である。
車掌の登用
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交通機関の設備の近代化が進むと同時に、労働関連の法改正もあり車掌の雇用形態は多様化し、契約社員やパートタイマーとして雇用される車掌が多くなっている。また、鉄道会社の非現業正社員(営業・企画などの事務職員、車両保守や保線などの工務職員など)も、OJTおよび職場訓練の一環として、車掌を経験させる場合もある。
鉄道
鉄道各社により、採用方法は千差万別である。
- 現業採用を希望し、採用された場合。
- 一定期間駅員として勤務すると、車掌登用資格が与えられる。
- 社内選考により、車掌としての教育、訓練を受け、車掌訓練生として、指導者とともにOJTに従事。
- 社内試験に合格すると、正式に車掌として従事。
- その後のスキルアップとしては、運転士への挑戦、車掌のままスキルアップ(特急列車などの優等列車には経験を積んだ車掌が乗務する。社内資格で、優等列車の車掌として乗務できる資格試験を実施している会社もある)、駅長、助役など駅の上級職などがある。また、事務職に異動となるケースもある。まれに駅員へ降格する場合もある[注釈 8]。
- 事業者や路線によっては、全列車ワンマン運転や無人運転のため、車掌職がない事業者や乗務員部署も存在する。
- 運転士が、車掌として乗務することもある。
- 契約社員の駅員として採用され、その後のステップアップとして車掌に昇進する場合。
- 駅業務を関連会社に委託している場合、車掌登用と同時に、鉄道事業会社の契約社員または正社員として登用される場合もあれば、関連会社の契約社員のまま車掌として乗務する場合もある。
- 更なるステップアップとして、運転士への道が開かれている場合もある。契約社員車掌だった場合、運転士になった時点で正社員として登用される場合が多い。
- 車掌(契約社員)として採用募集を行う場合。
- 採用試験合格後、直ちに車掌としての訓練を受ける。
- ステップアップとして、運転士への道が開かれている場合もある。運転士になった時点で正社員として登用される場合が多い。
- 総合職希望者のOJTとして
バス
現在特殊な例を除き、ほとんど募集されていない。バスガイドについては、該当項目を参照のこと。
路面電車
当該社局の募集広告などを見つけて応募する。広島電鉄では、適時アルバイトとして募集されている。
ケーブルカー・ロープウェイ
当該企業等の募集広告などを見つけて応募する。ガイドとして募集されていることも多い。
車掌の服装
日本の車掌は、それぞれの会社で定められた制服(一般駅務掛と同じである事が多い)を着用し乗務する。外国[どこ?]のように、私服での乗務例は皆無である。[要出典]
かつては臙脂の地に「乗客専務」の文字入り腕章をしていたが、現在は「車掌」と記述された名札や肩章を着用しそれに代えている。名札の他に「運転士」「車掌」と書かれたバッジを別につけている社局もある。また名札の着用を義務付けている社局がほとんどである。社章も名札同様着用を義務付けていることが多い。
- ネクタイについては、男性については多くの社局で秋から春にかけて着用を義務付けている。[要出典]
- 車掌の制服は、各鉄道会社で独自性がある。国鉄時代の制服をベースにした社局が多いものの、最近はスーツスタイルが一般的である。
- 制帽は、制服の一部として着用を義務付けている会社が多い。夏用制帽は、頭部の蒸れを防ぐため、通気性をよくしているものが多い。
- 運転士と車掌の服装が違う鉄道会社も多く、普通列車と優等列車で服装が違う場合もある。
注釈
- ^ JRバスの路線に多い。その場合共同運行会社の乗務員が担当する場合もある。JRバスの首都圏・京阪神間の路線では中間地点の三ヶ日に乗務員施設があり、JRバス関東の運転士と西日本JRバスの運転士が交代する。
- ^ クリスタルライナーやカルスト号などで実施。後者は途中で乗務員交代も行っている。
- ^ ただし、消灯時間以外はハンドルを握らない乗務員が案内放送や乗客サービスを行うことが一般的である。
- ^ ブザー、電鈴に手をかけている会社は、万が一の場合、ブザー、電鈴を乱打し運転士に非常ブレーキを要求する方式となっている。ただこの方式だと、合図を確認してから非常ブレーキ操作になる為、非常ブレーキを直接操作するより若干時間がかかる。
- ^ 例として、大阪車掌区はJR化後も青森や南宮崎までの乗務が存在した。
- ^ JRの例として、(ワイドビュー)南紀・みえ(JR東海の車掌が伊勢鉄道伊勢線内も乗務)/かがやき・はくたか(JR西日本の車掌が上越妙高~長野間も乗務)/しなのサンライズ・しなのサンセット(しなの鉄道の車掌が信越本線篠ノ井~長野間も乗務)/スーパーはくと(智頭急行の車掌が山陰本線倉吉~因美線智頭間も乗務)が該当する。
- ^ アムトラックの寝台車には、寝台券を持つ旅客しか立ち入りが認められていない。
- ^ ただし鉄道会社によっては、人事昇進ルートの位置づけから駅係員から車掌・運転士を経験後(あるいは車掌を経験後)再び駅係員へ異動する場合がある。
- ^ 在来線では優等列車乗務だけでなく、間合い乗務で普通列車に白い制服のまま乗務することがある。
出典
- ^ a b 武部健一『道路の日本史』中央公論新社〈中公新書〉、2015年5月25日、178-179頁。ISBN 978-4-12-102321-6。
- ^ 鈴木文彦『高速バス大百科』p200(1989年8月9日初版・ISBN 4924420360)
- ^ コラム「三井を読む」中上川彦次郎
- ^ 「国鉄、2万5000人の削減を提示」『朝日新聞』東京本社版1986年8月1日朝刊1面、朝日新聞社東京本社
- ^ “接客制服のリニューアルについて”. 2020年9月6日閲覧。
- ^ ゆうもあクラブ
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