惑星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/23 09:42 UTC 版)
惑星・遊星という呼称の由来
漢字の「惑星」という呼称は、長崎のオランダ通詞・本木良永が1792年(寛政4年)、コペルニクスの地動説を翻訳する際に初めて用いた漢訳語(和製漢語)と考えられている。天球上の一点に留まらずうろうろと位置を変える様子を「惑う星」と表現したことから来たと言われている。つまり天動説が主流であったころ星座を形作る夜空の星々が北極星を中心に天球上の定位置で大空を回るのに対し、一部の金星や火星などは日ごとに位置を変え明らかに不規則な動きをするため「惑わす星」と見えたのである(→順行・逆行)。
天文学が発達する以前は、天動説の見地から太陽や月も惑星の中に分類されており、七曜、週の曜日名や占星術にその考えかたの名残がある(なお、現在の天文学上の定義では、太陽は恒星、月は衛星に分類される)。
惑星は、古くは
明治期に学術用語の統一を図る際に、東京大学閥が「惑星」、京都大学閥が「遊星」を主張した。結局東大閥が勝ち、天文学の分野では「惑星」の表記に統一された。しかし、機械工学における「遊星歯車機構」など異分野の用語として用いられるほか、フィクション内の表現として「遊星」の名が使われる例もある(例:『遊星からの物体X』、『遊星仮面』、『遊星王子』、『遊星少年パピイ』、遊星爆弾(『宇宙戦艦ヤマト』)、移動遊星(『21エモン』)、スタント遊星(『ファイブスター物語』)、遊星から来た兄弟(『ウルトラマン』)、遊星より愛をこめて(『ウルトラセブン』)など)。
漢字圏(日・中・朝・越)では「惑星」という漢語は日本のみが使用し、中・朝・越は「行星」という。「恒星」と「行星」という漢語はいずれも明末清初に西欧天文書が漢訳される際に参照された古代中国の宇宙論に由来するもので、「惑星」も同様に木本の造語ではなく古代中国の宇宙論に由来すると考えられるが、初出は不明である。上海博物館蔵戦国楚竹書に「恒先」と仮称される文献があり、その宇宙論が「恒」と「惑」(或)および「恒」と「行」によって構成されていることが浅野裕一『古代中国の宇宙論』(2006, 94-96頁)に紹介されている。
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j 別冊日経サイエンス167、p.106-117、系外惑星が語る惑星系の起源、Douglas N. C.Lin
- ^ a b c d e f g h i 別冊日経サイエンス167、p.118-125、惑星って何だ?冥王星騒動の顛末、Steven Soter
- ^ a b c d e 井田・小久保(1999)、p.10-13、1.太陽系の姿、太陽系の特徴
- ^ Emily Calandrelli (2016年1月21日). “Astronomers Find Evidence Of A Ninth Planet”. Tech Crunch. 2016年1月22日閲覧。
- ^ [平成19年6月21日 第39回幹事会]
- ^ IAU系外惑星ワーキンググループによる惑星(の上限)の定義 Archived 2012年7月4日, at WebCite
- ^ Christoph Mordasini, Yann Alibert, Willy Benz, Dominique Naef (2007). "Giant Planet Formation by Core Accretion". arXiv:0710.5667 [astro-ph]。
- ^ 井田・小久保(1999)、p.51-54、4.系外惑星、異形の惑星現れる
- ^ 井田・小久保(1999)、p.59-61、5..惑星系形成論、セントラル・ドグマの崩壊?
- ^ a b 井田・小久保(1999)、p.61-62、5.惑星系形成論、動く巨大惑星
- ^ 井田・小久保(1999)、p.62-65、5.惑星系形成論、飛び散る惑星系
- ^ 井田・小久保(1999)、p.65-70、5.惑星系形成論、「汎」惑星形成論へ向けて
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