普賢菩薩とは? わかりやすく解説

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ふげん‐ぼさつ【普賢菩薩】

読み方:ふげんぼさつ

釈迦(しゃか)の右側に立つ脇侍理知慈悲つかさどり、また延命の徳を備える。文殊(もんじゅ)とともに菩薩首位置かれ単独でも信仰される独尊として表されるときは白象騎乗し結跏趺坐(けっかふざ)、合掌の姿をとる。


普賢菩薩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/17 13:16 UTC 版)

普賢菩薩像東京国立博物館蔵)
普賢菩薩像(鳥取・豊乗寺蔵)
普賢菩薩像 伊藤若冲筆(相国寺蔵)

普賢菩薩(ふげんぼさつ、 : समन्तभद्र [samantabhadra, サマンタバドラ]、: ཀུན་ཏུ་བཟང་པོ་ [kun tu bzang po])は、大乗仏教における崇拝の対象である菩薩の一尊。文殊菩薩とともに釈迦如来脇侍として祀られることが多い[1](参照:釈迦三尊)。法要では四七日の仏とされる。

三昧耶形は剣、五鈷杵種子(種子字)はアン (aṃ)(𑖀𑖼)。[2][3]

概要

梵名のサマンタバドラとは「普く賢い者」の意味であり、世界にあまねく現れ仏の慈悲と理智を顕して人々を救う賢者である事を意味する。法華経では、普賢菩薩は六牙の白象に乗ってあらゆるところにあらわれ衆生を救うと説かれる。行動するという意味で「行の菩薩」と呼ばれ、理法と行願を象徴する存在になっている[4]密教では菩提心(真理を究めて悟りを求めようという心)の象徴とされる。「普賢」のほかに「遍吉(へんきち)」という別の意訳名があり[5]、滅罪の利益がある[6]

辰年巳年生まれの守護本尊である[7]

像容・作例

独尊としては、蓮華座を乗せた六牙の白象に結跏趺坐して合掌する姿で描かれるのが、最も一般的である。密教では、左手に宝剣を立てた蓮茎を持る姿や、金剛薩埵と全く同じ左手に五鈷鈴、右手に五鈷杵を執る姿で表される他、如意や蓮華、経典を手に持つ作例も見られる。

日本で独尊として祀られるようになったのは、10世紀頃。浄土思想が流行し、女性も往生できると説く「法華経」が支持を集めていたことを背景に、極楽往生を願う女性たちから篤い信仰を得るようになった[4]。絵画・彫像とも作例が多く、彫像の作例としては、大倉集古館平安時代後期の木像(国宝)などがある。より密教的な姿として「普賢延命菩薩」という尊格があり、22手を持つ強力な尊とされ、日本でも作例は多い。

絵画作品としては東京国立博物館普賢菩薩騎象像国宝、平安時代後期)が代表的な作例である。他に鳥取県豊乗寺(ぶじょうじ)本(国宝)、奈良国立博物館本(重要文化財)などが代表作として知られる。

眷属

法華経信仰の文脈では、普賢菩薩は十羅刹女とともに図像に描かれることがある[8]。これは、法華経において普賢菩薩と十羅刹女が共に「法華経を護持する者を守る」と誓っていることによる。また時として十羅刹女たちの母鬼子母神も眷属とされる。初期の十羅刹女は唐装束であるが、国風の影響を受けた和装の羅刹女の作例も多い。

真言

オン・サンマヤ・サトバン(Oṃ samayas tvaṃ)[9]𑖌𑖽𑖭𑖦𑖧𑖭𑖿𑖝𑖿𑖪𑖽

寺院

中国四川省峨眉山が普賢菩薩の霊場とされる。

経典

フィクションにおける扱い

謡曲「江口」を題材に、遊女に化身した普賢菩薩を描いた勝川春亭画「江口の君」。

小説『封神演義』には普賢真人文殊広法天尊という仙人が登場しており、この作品では、彼等が後に仏門に帰依しそれぞれ普賢菩薩、文殊菩薩となったとされている。

脚注

  1. ^ 「普賢菩薩」 - デジタル版 日本人名大辞典+Plus、講談社。
  2. ^ 児玉義隆「梵字必携」、朱鷺書房、1991年、 p.194
  3. ^ 綜芸舎編集部「梵字入門」、1967年、p8
  4. ^ a b 石井亜矢子/岩﨑 隼『仏像図解新書』小学館、2010年4月6日、84頁。 
  5. ^ 「普賢菩薩」 - ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、Britannica Japan。
  6. ^ 瓜生中『あなたを守る菩薩と如来と明王がわかる本』2009年、PHP研究所、77頁と79頁。
  7. ^ 十二支の源流は木星にあり-守り本尊と十二神将 - 仏像ワールド”. 仏像ワールド - 仏像ワールドは仏像の魅力を提案する仏像専門店です。 (2021年2月2日). 2025年7月17日閲覧。
  8. ^ 「十羅刹女」 - ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、Britannica Japan 。
  9. ^ 児玉義隆「梵字必携」、朱鷺書房、1991年、 p.249

関連項目

外部リンク


普賢菩薩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 03:47 UTC 版)

「仏像」記事における「普賢菩薩」の解説

普賢菩薩は、文殊菩薩とともに釈迦如来脇侍となるが、独尊でも信仰される。仏の行を象徴する菩薩である。法華経信じる者のところに6つの牙を持つ白象乗った普賢菩薩が現れる信じられており、法華経女性往生できることを明言していることから、平安時代貴族女性の間で信仰集めた

※この「普賢菩薩」の解説は、「仏像」の解説の一部です。
「普賢菩薩」を含む「仏像」の記事については、「仏像」の概要を参照ください。

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