5代目 S13/KS13型(1988年 - 1993年)
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「日産・シルビア」の記事における「5代目 S13/KS13型(1988年 - 1993年)」の解説
1988年5月発売。このモデルから2ドアクーペのみとなり、先代S12型まで存在した3ドアハッチバック仕様は姉妹車として、1989年4月に「180SX」として独立した。 当時のデートカー市場で大人気を誇っていたホンダ・プレリュードの対抗馬として開発され、未来的なエクステリアデザインや、CMや雑誌広告のコピーでも「アートフォース・シルビア(ART FORCE SILVIA)」と表現し、グッドデザイン大賞を受賞した。そのシルエットから女性の人気を集めただけでなく、当時すでに少なくなっていた手頃な価格の後輪駆動車で、特にターボ車はパワーが充分にありスポーツ走行にも適した設計であったため、アフターマーケットにおいてスポーツ走行用の様々な改造パーツが開発され、特に走り屋の若者を中心に大きな人気を博した。販売台数は約30万台と、歴代シルビアの中で最多を記録した。 最大のライバルと想定されたプレリュードとは異なりFRレイアウトを採用しているが、これは低いボンネットのデザインを実現するのに適したFF用コンポーネントを日産が持ち合わせていなかったという先代S12型の時と同じ理由であった。しかしそれが幸いし、当時でも希少となりつつあった5ナンバー枠のFR車として高い人気を獲得することとなる。日産のマーケティングとしては、プレリュードのライバルたるデートカーとして企図されたモデルであったが、前述の通りスポーツ走行に適した設計のため、次第にサーキットや峠などで走るための車として使用されることが多くなり、それは時に公道での無謀な暴走行為に及ぶこともあった。その傾向は後継モデルであるS14型やS15型も同様である。 搭載エンジンは、デビュー当初は1,800cc、自然吸気エンジンのCA18DE型(135PS)とターボのCA18DET型(175PS)であった。1991年のマイナーチェンジ後は2,000ccのSR20DE型(140PS)とSR20DET型(205PS)に変更された。使用燃料は、前期型・後期型共にNAが無鉛レギュラーガソリン、ターボが無鉛ハイオクガソリンである。グレードは自然吸気エンジン搭載のJ's、Q's、ターボエンジン搭載のK'sの3種で、特別仕様車の名称も含めてトランプを意識した構成になっていた。 足回りには新開発のリアマルチリンクサスペンションが採用された。 1988年7月、オーテックジャパン製の「コンバーチブル」を追加発売。K'sを改造したものであり、製造はオープン構造の車の生産を得意とする高田工業に委託されていた。 1988年10月、昭和63年度の通産省選定グッドデザイン大賞を受賞。 1988年11月、一部改良。セットオプションの組み合わせをユーザーが選ぶ「パーソナルオーダー」導入。新塗色にスーパーブラック(KH3)追加。 1988年12月、'88〜89年日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞。 1989年2月、一部改良。ATシフトロックをPレンジ保持機構付きに変更。同年10月にはビスカスLSDのオプション設定をQ'sに拡大。 1990年2月、「ダイヤセレクション」シリーズを追加発売。Q's、K'sをベースにそれまでの販売実績から人気の高いオプションを標準化しながら価格上昇を最小限に抑えたお買い得仕様。内容はオートエアコン、アルミホイール、CDプレーヤー(ソニー製)、アーム式シートベルトガイド、電動格納式ドアミラー、プロジェクターヘッドランプ、リアスポイラー、スーパーファインコーティング(フッ素樹脂塗装)、専用エンブレム(銀地にQ'sあるいはK'sと書かれ左右にトランプのダイヤのマークが入る)、アクセントモール。なお、ダイヤセレクション専用オプションとしてレザーバージョン(本革シート、ステアリング、シフトノブのセット)が設定される。 1991年1月、マイナーチェンジ。エンジンが1,800ccのCA18DE/CA18DET型から2,000ccのSR20DE型(140PS)とSR20DET型(205PS)に変更された。姉妹車の180SXも同時期にSRエンジンに変更されたが、名称は180SXのままであった。そのほか、4輪操舵のHICAS IIがSUPER HICASに変更され、タイヤサイズが195/60-15から205/60-15にサイズアップされた。さらにトランクリッド後端中央のキーホールカバー形状を逆台形から楕円形に変更、リアスポイラーを飛行機の翼をモチーフにした新形状に変更、その内蔵ハイマウントストップランプには横一列配列のLEDを採用、サイドドアビームの追加、プロジェクターヘッドランプが4連からフォグランプも含めた6連に変更、アルミホイールの形状変更、トランク裏にトリム(内装)が追加されるなどの細かい点も変更が行われている。内装はシートの形状が変更され、リア3点式シートベルトが採用され、ワイパーの間欠時間調整が追加(Q's系、K's系)、ファッションキー(キーヘッドが丸で中に「SILVIA」のロゴが入る)の採用、前期型で多かった女性ユーザーからの要望により従来の助手席側に加え運転席側にもバニティミラーを追加(Q's、K's系)。ダイヤセレクションは廃止されたが、ダイヤセレクションの内容からCDデッキと専用エンブレムを省いた仕様のメーカーオプション「ダイヤパッケージ」が設定された。また、内装のオプションとして「レザーセレクション」(本革シート、ステアリング、シフトノブ専用内装地。スーパーハイキャスとセットオプション)とアートテリアセレクション(大理石模様のスウェード調生地のシート、内装地)を追加している。CMキャッチコピーは「Now Its New 2000」。 1992年1月、「クラブセレクション」と「Q'sSC」追加発売。クラブセレクションは先のダイヤセレクションと同等の仕様。相違点はCDデッキがソニー製からクラリオン製に変更、アルミホイールが標準車と違いシルバーポリッシュ(光輝仕様)タイプとなる、専用の銀地の楕円型グレードエンブレムの文字色が濃赤になり、左上にトランプのクラブのマークと下に「club」のロゴが入る点。「Q'sSC」はQ'sにオートエアコンとシルバーポリッシュのアルミホイールを装備しながら価格上昇を抑えた質実剛健型グレード。なお、SCとは「スペシャルカード」の意である。 同時に一部仕様変更が行われ、シートベルト警報&警告灯を装備。これはエンジン始動時にメーター内の警告灯が点滅し、同時に運転席ベルト未装着の場合は警報がいずれも8秒間作動する仕組みになっていた。これに伴いメーターの変更が行われ、オートエアコンのデジタル化も行われた。CMキャッチコピーは「悦楽のマテリアル」。 1992年5月、「Q's2」(Q'sスクエア)限定発売。同時期の日産主力車種と同様、乗用車生産4000万台突破を記念した期間限定車。ベースはQ'sSCでランバーサポート付きの運転席や専用ヨーロピアンインテリア、リアスポイラーなどを追加装備したもの。ボディカラーは1月に追加されたパールホワイトと既存のスーパレッド、スーパーブラックの3色。 1992年12月、「オールマイティ」追加発売。モデル末期に入り、廉価なお買い得版による販売力強化を図った仕様。ベースはJ'sでマニュアルエアコン、アルミホイール、パワーウインドー、カセットデッキ付きチューナー&4スピーカー、電動格納式カラードドアミラー等J'sには標準では未装備の快適装備が追加された。またこのモデルのみベロア調ニットを使った専用シート地が装備される。なお、この内装は180SXの中期型の黒ヘッド仕様にも用いられる。専用エンブレムも装備されるが、楕円ではなく長方形で銀地に黒で「A」マークとトランプのスペードのマークが入った仕様となる。これに伴いベースとなったJ'sと年頭に追加されたQ'sSCが廃止される。 モデル末期には、そのころ発足したばかりの全日本GT選手権のGT2クラス(後のGT300クラス)に参戦し、クラスチャンピオンを獲得している。 1993年9月 、 生産終了[出典無効]。在庫販売体制に入る。 1993年10月、S14型シルビアの登場に伴い販売終了。販売終了前月までの新車登録台数の累計は30万2329台 輸出仕様車として、北米仕様の貨物車用の2,400ccエンジン(前期型はKA24E、後期型はKA24DE)を搭載した240SXと、欧州仕様の200SX(搭載エンジンは日本仕様と同様、初期型が1,800ccのCA18DE/CA18DET型、後期型が2,000ccのSR20DE/SR20DET型)とが存在する。北米仕様の240SXは、現地のヘッドライト位置の法規に対応するため、フロントのデザインに180SXと同様のリトラクタブルライトを採用している。こちらは1996年まで生産が続行された。 他メーカーによる改造車として、光岡自動車がS13型シルビアをベースにクラシックカーのようなボディに換装した初代ラ・セードを発表している。 またユーザーの私的改造として、180SXをベースにフロントセクションをS13型シルビアのものに換装した通称シルエイティ(後に一部の日産系ディーラーで正式に販売された)、逆にS13型シルビアをベースにフロントセクションを180SXのものに換装したワンビア(アメリカ仕様車においては保安基準の関係上、純正で同様の使用になっていた)が存在する。 S13型シルビアのボディは、ニュルブルクリンクにて開発中のスカイラインGT-R (BNR32) をテストする際に、偽装用ボディパネルとして使われた。
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