各局の対応の概要
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「東日本大震災における放送関連の動き」の記事における「各局の対応の概要」の解説
NHKと在京の民放テレビ・ラジオ各局は、地震発生直後に臨時ニュースを順次編成。その後は3月13日夜まで、ほぼ報道特別番組を中心とした特別編成を組んだ。レギュラーの報道番組も番組としての枠を外し、通常枠に近い時間帯の特別番組をキャスターやスタッフが担当して伝えるといった体裁が取られた。 またテレビと違い、独自制作の番組が元々多い被災地のラジオ局(東北放送ラジオ、茨城放送など)では、それぞれ自社制作による報道特別番組をメインにしながら、部分的に東京キー局からの放送を挟み入れる形式が採られた。 NHKおよび民放各局は15時以降地震に関する報道特別番組(以下「報道特番」、本節において全て同じ)を放送し、テレビ東京系列 (TXN) 各局が12日23:55まで、テレビ朝日系列(ANN)各局が14日16:53まで、ANN、TXN以外の局では14日早朝まで通常番組を原則休止した。この間TXNを含めた民放各局はCMを一切入れずに臨時報道特番を放送し、NHKでは地上波とBSのテレビ5波・ラジオ3波の全てを地震に関する報道にあてた。臨時災害放送局が3月16日までに既存コミュニティ放送局の機材を利用するなどして、5つの自治体で放送を開始している。 NHKのテレビ放送では上記の通り、「国会中継 第177回国会・参議院決算委員会 平成21年度決算決議」を放送中だったが、これを打ち切り、14時48分17秒から 地上波・衛星放送のテレビ5波・ラジオ3波で地震・津波関連のニュースを開始。(八波全中)総合テレビ・BS1・BS2・BShi・NHKワールド・プレミアム(日本国外向け放送)が震災報道を放送し、教育テレビが震災報道または安否情報・手話ニュースを放送した。総合テレビでは一部時間帯で各地のニュースや気象情報を間に入れた。BS1では生活情報などの情報も放送した。BS2・BShiおよびNHKワールド・プレミアムでは関東ローカルをそのまま放送した。なおこの参院決算委員会は災害時の非常事態による「暫時休憩」として、地震発生後の14時50分を持って打ち切られた。通常、臨時ニュースや放送時間延長オプション(通常午前11:54と午後6:00)の所定時間終了による打ち切りで放送されなかった箇所の中継は、翌日未明に行われるか、他のチャンネル(総合テレビ→教育テレビ、ラジオ第1→FM)に迂回するかになるが、「八波全中」による震災報道に切り替えたため、残りの箇所は放送されずに終わりとなった。 NHKワールド・プレミアムでは発生以降、3月19日明け方までは通常のスクランブル配信を全面中止し、終日ノンスクランブル放送となった。3月19日明け方からスクランブル配信を再開したものの、4月10日までは通常のノンスクランブル放送番組に限らず、総合テレビ・BS1のほとんどのニュース番組と震災関連の一部番組もノンスクランブル放送となった。 地上波テレビ放送キー局では地震発生から3日経過した14日から臨時報道特番の構成が緩和し、一部の情報番組とニュース番組のレギュラー番組が再開されたが、放送時間を拡大した特別版と緊急報道特番を組み合わせた構成の番組が主に放送され、ドラマ・アニメ・バラエティ・映画といったレギュラー番組の大多数が放送中止・繰り下げを継続していた が、15日未明から順次バラエティ・ドラマ・映画などのレギュラー番組も再開した。 新潟県内にある2つの放送局では隣県である福島県からの避難者向けに情報番組の放送を行っていた。新潟テレビ21 (UX) では系列局である福島放送の協力を得て、3月22日から4月29日まで『ふくしまスーパーJチャンネル』の録画放送を本放送終了から早朝にかけて行っていた。 新潟総合テレビ (NST) では平日夕方16時45分から『福島テレビニュース』の番組名でダイジェスト放送を3月30日から4月8日まで行った(『NSTスーパーニュース』3月31日放送分より)。 CSニュース専門チャンネルではTBSニュースバードは3月12日0時から3月19日4時までスカパー!・スカパー!HD・スカパー!e2を無料放送とした。朝日ニュースターも同様に3月14日4時までスカパー!・スカパー!e2で無料放送を実施し、その後も緊急報道特番などの一部の番組については同様に無料放送を実施した。さらに日テレNEWS24も3月14日20時から4月1日4時まで、スカパー!・スカパー!e2を無料放送とした。その他、天気情報・交通情報を放送するACCESSは4月1日4時まで、天気情報を放送するe-天気.netは3月18日18時から3月27日18時まで、それぞれスカパー!を無料放送とした。ショップチャンネルやQVC等のテレビショッピングのチャンネルも本社やスタジオ自体が激震に見舞われ、放送を中止。直後には字幕放送で地震情報を伝えた。その後、ショップチャンネルは3月18日、QVCは3月23日に放送を再開している。 日本国外でも地元メディアが地震関連のニュースを大々的に報じている。特にアメリカのABCテレビでは「Disaster in the Pacific」、NBCでは「Disaster in Japan」という特集を組んだ。 NHKのラジオ放送では、ラジオ第1とNHKワールド・ラジオ日本(日本国外向け放送)は震災報道、ラジオ第2は外国語による震災報道を行った。ラジオ第1は、インターネット上でのライブストリーミング放送も行っていた。 民放ラジオでは、在京5局で史上初のラジオ災害情報交差点の放送が行われ、震災当日の18時台から翌日8時台まで毎時15分から約10分間『ラジオライフラインネットワーク』としてライフライン情報を伝えた のを始め、3月13日17時からインターネットサイマル配信サービス「radiko」のエリア制限を緊急対応として解除し、全国で関東・関西地区の民放13局が聴取可能(3月25日10時以降は、この日から実用化試験配信を開始した中京地区の6局も聴取可能になり、計19局に)となった。この緊急対応は、関西・中京地区の12局が3月31日で、関東地区の7局も4月11日で終了した。4月28日からは「radiko.jp復興支援プロジェクト」として、特設サイト・スマートフォンアプリでIBC岩手放送・TBC東北放送・rfcラジオ福島、FM IWATE・Date FM・ふくしまFMの放送を2012年3月31日まで全国向けに配信。民放AM放送局では、茨城県の茨城放送が同日10時からUSTREAMでサイマル配信を行い、宮城県の東北放送では、3月15日からUstreamで、翌16日からはニコニコ動画(ニコニコ生放送)で、それぞれサイマル配信を3月21日まで実施した。TBSラジオではradikoと並行して独自のインターネット中継(サイマル配信、音楽・CM等の権利関連部分や一部番組を除く)を行っている。短波放送のラジオNIKKEIは、同年3月15日から福島県の民放AM局、ラジオ福島の放送を30分から2時間、第1放送とradikoで全国向けに放送する『rfcラジオ福島発〜がんばろう福島 がんばろう東北 がんばろう日本』を開始している。KDDIはauの携帯電話向けFM放送配信サービスLISMO WAVEの設備を活用し、東北6県と関東地方の一部 (TOKYO FM・bayfm・InterFM) の民放FM局をパソコンやスマートフォンで無料聴取できる「東北地方太平洋沖地震支援サイト」を4月30日まで開設していた。 JFN系列では震災直後に東北ブロック向けのバックアップ用音声回線と、各局間の業務連絡に使用されているデータ通信用Bフレッツ回線が不通となり、復旧までバックアップの音声回線はISDN回線に切り替えて運用。また東北地方のFM青森・FM岩手・Date fm・AFM・Rhythm Station・ふくしまFMの局舎では停電し、一部の中継局では停電・鉄塔の破損で停波。電話・インターネット回線も一部で不通となったため、携帯電話やモバイル通信機器・ウェブメール等を使って業務連絡・取材を続けた。またTOKYO FMとFM岩手は、釜石災害FM開設のために各種支援を行い、新日鐵釜石製鐵所に釜石災害FMの送信アンテナを設置、総務省の許可を得て中継用無線機とTOKYO FMに割り当てられているの400MHz帯の中継用周波数を貸し出した。 岩手県、秋田県、宮城県、福島県、茨城県では、自治体が臨時災害放送局を開設し、既存のコミュニティ放送局も出力を増力して対応している。また福島県南相馬市では、いわゆる「電波のホワイトスペース」を活用した実験試験局として南相馬チャンネルが7月20日より放送を開始し、2013年2月21日からは地上一般放送局としての恒久的な放送に移行した。 一方で、インフラの破断、建造物の倒壊、津波、液状化現象などが相次いだ茨城県と千葉県では、両県の被災状況が十分に報道されないことが問題となっていた。関東キー局から発信された全国向け報道や、バラエティ番組などでの被災地支援企画の対象がいわゆる「東北3県」(福島県・宮城県・岩手県)に限定される傾向があり、関東キー局のもう1つの役割である「関東ローカル局」として役割を果たせていない・配慮不足との指摘もある。 千葉県では被災状況、復旧情報、利用可能な給水施設などの情報が県域独立局である千葉テレビ放送で随時放送されたが、茨城県ではNHK水戸放送局による県単位のローカル放送(総合テレビ、FM放送)や地元ラジオ局(茨城放送など)でしか把握できない状況となった(茨城県は関東広域圏1都6県に含まれるため、民放キー全5局の放送対象地域ではあるも、全国47都道府県で唯一、県域局がNHK以外に存在しない)。 茨城・千葉両県の報道が少ないことが原因となり、地震直後の計画停電の対象エリアに液状化現象の被災地であるはずの茨城県潮来市や千葉県浦安市・津波の被災地であるはずの茨城県東茨城郡大洗町や千葉県旭市などが含まれる、茨城県や千葉県への支援物資輸送が東北3県に比べ軽視されるなど、影響は広範囲に及んでいる。計画停電の問題では、橋本昌茨城県知事(当時)が政府及び東京電力に抗議文を送る事態にまで発展している。
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