モデルの品質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/06 09:51 UTC 版)
「プロセス・モデリング」の記事における「モデルの品質」の解説
最も初期のプロセス・モデルは、該当する概念、利用可能な技術、特定の実装環境、プロセス制約などの条件でのインスタンスによって得られる実践的プロセスを伴うプロセスのダイナミクス(動き)を反映した。 モデルの品質に関して大変多くの研究が行われたが、プロセス・モデルの品質に向けたものは少なかった。プロセス・モデルの品質課題を徹底的に評価することはできないが、次のような実践における4つの主要なガイドラインとフレームワークが存在する。それは:トップダウン品質フレームワーク、品質局面と関係するボトムアップのメトリクス、モデリング技法と関係する経験的調査、及び実用的ガイドライン。 Hommes は、モデル品質のすべての主要な特徴は2つのグループの元にすべてグループ化されるという Wang ら(1994)を引用した。ここで云う2つのグループとはモデルの正確性と有用性であり、正確性は、モデル化される現象へのモデル対応から、モデリングのシンタックス的ルールへのその対応まで及び、そしてそれはまたモデルが使われる目的と独立である。 有用性は、モデルが最初に構築された手元の特定目的のため役立っているとみなされる。Hommes はまた、内部的正確性(経験的、構文論的、及び意味論的品質)と外部的正確性(正当性)を更に区別した。 概念的モデルの品質を定義するための共通な出発点は、構文的と意味的が最も多く適用されるモデリング言語の言語的特性で見ることである。 同じく幅広いアプローチは、SEQUALとして知られるトップダウンの品質フレームワークを使って、Krogstieによって行われたような言語よりむしろ、記号論に基づくべきである。それは、モデル、外的要因、ドメイン、モデリング言語、及び学習、行動の選択、あるいはモデリングのアクティビティ間の関係に基づくいくつかの品質局面を定義する。 フレームワークは、しかしながら品質の様々な程度を決める方法を提供しないが、実証的テストで事業プロセスモデリングのため広範囲に使われてきた。プロセス・モデルの品質を評価するLindland ら(1994)により提案された概念的モデル品質フレームワークの利用を伴う、Moodyらによって行われた以前の研究に従って、3つの品質レベルが識別された。 構文的品質 (Syntactic quality): モデルが使われるモデリング言語の文法に準じている広がりの評価。 意味的品質 (Semantic quality): モデルが正確にユーザー要求を表現しているかどうか。 実用的品質 (Pragmatic quality): モデルがモデリング過程に係わるすべての利害関係者によって十分に理解されるかどうか。すなわち、モデルが彼らのニーズを満たすのにそれを利用させることそのインタープリタに可能にすべきである。 研究から、品質フレームワークがプロセス・モデルの品質を評価するのに使い易くかつ有用であるが、しかしながらそれは信頼性に関する限界と欠陥を識別する難しさの両方を見出したことは注目された。これらの限界は、Krogstieによって行われた次の研究を通してフレームワークの洗練に導いた。このフレームワークは、1995年のKrogstie ら(更に 2002年にKrogstie & Jørgensenよって洗練された)によってSEQUELフレームワークと呼ばれ、次の3つの更なる品質局面を含んだ。 物理的品質 (Physical quality): 具現化されたモデルは、聴衆がその意味を理解するため持続的かつ利用可能であるかどうか。 実証的品質 (Empirical quality): そのモデルが与えられた言語に関する確立された規制に沿ってモデル化されているかどうか。 社会的品質 (Social quality): これは、そのモデリング・ドメインにおける利害関係者間の合意に関係する。 概念的品質フレームワークの次元。モデリング・ドメインは、問題ドメインを記述するため適切で正しい全ての声明のセットであり、言語拡張は、おそらく使われるモデリング言語の文法と語彙を与えられる全ての声明のセットである。モデル外面化は、問題ドメインの概念的表現である。 それは、実際に作られている問題ドメインについての声明のセットと定義される。ソーシャル・アクタ解釈 (Social Actor Interpretation)とテクニカル・アクタ解釈 (Technical Actor Interpretation)は、人間モデル・ユーザと、モデルと相互作用するツールの両方のアクタが、問題ドメインの概念的表現が含むと『考える』声明のセットである。 最後に、参加者知識 (Participant Knowledge)は、モデリング・プロセスに係わる人間アクタが問題ドメインを表そうとするべき、声明のセットである。これらの品質次元は、モデルの物理的と社会的局面を取り扱う2つのグループに後で分けられる。 後の作業で、Krogstieらは、SEQUALフレームワークが初期のフレームワークのいくつかの限界を直したが、しかしながら他の限界が残されたと表明した。特に、そのフレームワークは、主にモデルを考え、モデリング活動を考えず、そしてモデルを、ドメインの変化への促進手段と見るよりむしろ、静的ドメインと比較し、意味的品質のそのビューではあまりにも静的である。 またそのフレームワークの実用的品質の定義は、言語論と記号論における新しい研究が単なる理解の背後に、どのようにモデルがそのインタプリタとして使われそして影響するかに焦点を当てる一方で、Morrisの記号論の延長での理解に焦点を当てており、まったく狭い。 記号論的品質フレームワークにおけるより動的ビューのニーズは、プロセス・モデリングを考える時、それら自身がしばしば定める、あるいは問題ドメインでの制定行動でさえ、特に明白であり、それゆえモデルへの変更が直接的に問題ドメインさえも変更もする。このペーパーは、アクティブなプロセス・モデルとの関係における品質フレームワークを議論し、そしてこれに基づく改定されたフレームワークを示唆する。 Krogstie ら(2006)による更なる作業は、以前の研究より狭い解釈を持つ物理的品質を定義することによって、アクティブなプロセス・モデルにより適切であるべきSEQUALフレームワークを改定することであろう。 使用中のその他のフレームワークは、以下の6つの原則を含む一般会計原理に基づく、『モデリングのガイドライン (GoM)』である: 正しさと明確さ:判り易く取り扱える 明示的:モデル・システムのシステム記述 判り易さ:情報オブジェクトの図式アレンジと、モデルの理解能力サポート 関連性:モデルと表現されている状況との関係 比較性:2つのモデル間での意味論比較であるモデルを比較する能力に係わる 経済的効率:コスト削減や収入増大の提案された利用により網羅されるべき最低限必要な設計プロセスの作成コスト。 ほとんどの場合で組織化の目的が利益を最大化することから、その原則は、モデリング・プロセスのための境界を定義する。最後の原則は、モデリング内で多様なビューの間での受容れられる相違の存在を定義する体系的設計である。 正しさ、関連性、及び経済的効率は、モデルの品質における前提条件であり、残りのガイドラインが選択的であるが必要であるのに対し、それらは満たされなければならない。 SEQUALとGOMの2つのフレームワークは、それらがモデリングの能力が乏しい人によって使えないという利用の限界がある。それらは主要な品質メトリクスを提供するが、非熟練者によって簡単に適用はできない。 プロセス・モデルの品質局面に関係するボトムアップ・メトリクスの利用は、モデリングにおける非熟練者による他の2つのフレームワーク利用のギャップを橋渡しを試みるが、しかしそれは、ほとんど理論的であり、それらを利用をサポートする実証的テストが行われていない。 実施されたほとんどの経験は、メトリクスと品質局面の間の関係を関係付けし、そしてこれらの作業は別々の著者によって個別に行われた:Canforaらはカウント・メトリクス(例えば、複数のタスクやソフトウエア・プロセス・モデルの分離と維持性)間の接続関係を学習した。Cardosoは、コントロール・フローの複雑性と認められる複雑性の相関を検証した;そしてMendlingらは、プロセス・モデルにおけるデッドロックのようなコントロール・フローのエラーを予測するメトリクスを利用した。 結果は、モデルのサイズの拡大が品質とそれらの判り易さへ負の影響を持って現れることを明らかにした。Mendlingらによる更なる作業は、メトリクスと理解間の接続を調査した。いくつかのメトリクスはそれらの影響に関して確認される一方で、モデラーの(能力のような)人間的要因もまたモデルの理解のため重要であると明らかにした。 実施されたいくつかの実証的調査がプロセス・モデルの品質を評価する明確なガイドラインや方法を未だ提供しないが、それはこのタスクにおけるモデラーをガイドする明確なガイドラインのセットを持つことが必要である。実用的なガイドラインは、実践からそのようなガイドラインの徹底的な記述を提供することが難しいけれど、数々の実践者によって提案された。プロセス・モデリングのための10の助言(チップ)で要約された。多くの技術的定義とルールが提供されたが、しかしどのように、それらの一次的ミッションにおいて効果的な、as-isまたはTo-beプロセスの理解の共有を最大化する、プロセス・モデル創作するかは教えていない。ガイドラインのほとんどは、容易に実践に向けられないが、しかし『動詞-名詞のラベル化活動』ルールは、他の実践者によって示唆されそして経験的に分析された。その研究から 、プロセス・モデルの価値は、図的構築法の選択に依存するだけでなく、分析される必要のある文字的ラベルを持つそれらの注釈でもある。それは、代替のラベリング・システムより理解性の基準でより良いモデルに帰着することを気付かされた。 早期の研究とプロセス・モデル品質を評価する方法から、プロセス・モデルのサイズ、構造、モデラーの熟練性、及びモジュール性がその全体的理解可能性に影響するように見えた。これらに基づいて、7つのプロセス・モデリングのガイドライン (7PMG)として、ガイドラインのセットが表現された。このガイドラインは、モデル中の要素の数、構造化されたモデリングのアプリケーション、及びプロセス・モデルの分割におけるガイドラインと同じように、動詞-オブジェクト・スタイルを利用する。そのガイドラインは以下のである: G1 一つのモデル中の要素の数を最小化する G2 要素ごとの経路を最小化する G3 一つの始点と一つの終点イベントを使う G4 可能な限り構造化したモデル G5 要素のOR経路を避ける G6 動詞-オブジェクトのアクティビティ・ラベルを使う G7 50要素以上でモデルを分割する 7PMG は、未だその利用において制限があるけれど:検証問題、7PMGは、プロセス・モデルのコンテンツに関係しないが、しかしこのコンテンツが組織化されそして表現される方法だけある。それは、コンテンツが相互作用を持続する一方、何がモデルに含まれなければならないかの実用上の課題は未だ残される。2番目の限界は、21のプロセス・モデラーにのみとの係わり合いに頼るような、小さな経験的基盤を持つ、派生されるランク付けをガイドする優先付けに係わる。 これは、一方でプロセス・モデラーの『経験』の幅広い改良への必要のように見えるが、しかし、それはまた、どのような代替アプローチが優先付けのガイドに到達するため利用可能かもしれないという疑問もまた持ち上がる。
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