ガーター勲爵士とは? わかりやすく解説

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ガーター勲章

(ガーター勲爵士 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/27 08:37 UTC 版)

ガーター勲章(ガーターくんしょう、: Order of the Garter)は、1348年エドワード3世によって創始された、イングランドの最高勲章。正式なタイトルは“Most Noble Order of the Garter”(最も高貴なガーター勲章)。グレートブリテン及び北アイルランド連合王国栄典においても騎士団勲章(order)の最高位であるが、全ての勲章・記章の中ではヴィクトリア十字章ジョージ・クロスが上位に位置付けられている。


注釈

  1. ^ 勲爵士の紋章に関係する動植物をあしらうのが通例[15]
  2. ^ 世論の反発から剥奪に至る経緯については、1917年称号剥奪法を参照。
  3. ^ リヒテンシュタイン公モナコ公はキリスト教徒のヨーロッパ君主であるが、君主としての格が低いとされており、ガーター勲章の受章対象者ではない[40]ベルギー国王は受章対象者だが、1993年8月の元ベルギー国王ボードゥアン1世の葬儀に際してエリザベス女王が葬列の最前列を要求したのに、ベルギー側は「最前列は亡き国王が最も親しかった王族専用にしたい」と断ったため、エリザベス女王としてはこれを「非礼」と受け取り、前ベルギー国王アルベール2世(1934年-、在位1993年-2013年)に対してガーター勲章を贈らなかった[41]。現ベルギー王フィリップ(1960年-、在位2013年-)も即位してから年数を経ておらず、未だ受章していないので、慣例的に授章されていた国のうちベルギーのみ勲爵士がない状態が続いている。
  4. ^ 具体的にはタイ国王ヨルダン国王アフガニスタン国王(1973年廃位)、ネパール国王(2008年廃位)、サウジアラビア国王にはロイヤル・ヴィクトリア頸飾が贈られ、旧植民地英連邦加盟国の国王にはそれより格が下がる勲章が贈られている(マレーシア国王にはバス勲章ナイト・グランド・クロス、トンガ国王には聖マイケル・聖ジョージ勲章ナイト・グランド・クロス)。またヨーロッパの君主の場合は、即位してから最初の訪英時にロイヤル・ヴィクトリア頸飾、二度目の訪英時にガーター勲章を授与されるのが慣習になっている[45]。タイ国王ラーマ9世は自分にガーター勲章が贈られないことに不満を抱いていると言われ、エリザベス女王がガーター勲章を贈ってくるまでタイの最高勲章ラーチャミトラーポーン勲章をエリザベス女王に贈らないようにしているといわれる[46]
  5. ^ オスマン皇帝アブデュルメジト1世は1856年の訪英に際してガーター勲章を授与されることを強く望んだため、外相第4代クラレンドン伯爵ジョージ・ヴィリアーズの推挙により、ヴィクトリア女王はロシアへの当てつけ的意味でアブデュルメジト1世にガーター勲章を贈った。この頃はクリミア戦争が終結したばかりの頃であり、イギリス・オスマン陣営とロシアの関係は険悪だったのである[47]
  6. ^ 当時ペルシャはイギリスにとってインド防衛や対ロシア政策の観点から重要な国だった。ロシアはペルシャ皇帝ナーセロッディーン・シャーに最高勲章聖アンドレーイ勲章ロシア語版を贈っていたため、外相第2代グランヴィル伯爵グランヴィル・ルーソン=ゴアはイギリスとしても彼に最高勲章を贈る必要があると判断した。その結果1873年のシャーの訪英の際にヴィクトリア女王からガーター勲章が贈られることになった。シャーもこれには大変喜んだという[48]
  7. ^ 首相ロイド・ジョージシッスル勲章を第4代ビュート侯爵ジョン・クライトン=ステュアート英語版に贈ったことの教訓という[22]

出典

  1. ^ a b c d e 君塚(2004) p.19
  2. ^ 君塚(2004) p.18-19
  3. ^ a b 君塚(2004) p.20
  4. ^ a b c 君塚(2004) p.26
  5. ^ 森(1994) p.113
  6. ^ 君塚(2004) p.286
  7. ^ 朝日新聞1976年1月1日、総理府(1976) p.99
  8. ^ 総理府(1976) p.99
  9. ^ 君塚(2004) p.21-22
  10. ^ a b c d スレイター (2019), p. 158.
  11. ^ 森(1985) p.69-70
  12. ^ a b 君塚(2004) p.22
  13. ^ a b スレイター (2019), p. 159.
  14. ^ a b 君塚(2004) p.23
  15. ^ 君塚(2004) p.168
  16. ^ a b スレイター (2019), p. 147.
  17. ^ 君塚(2004) p.166-168
  18. ^ 君塚(2004) p.152-154, 161
  19. ^ a b スレイター (2019), p. 146.
  20. ^ 君塚(2004) p.16-17
  21. ^ 君塚(2004) p.18
  22. ^ a b c d 小川(2009) p.92
  23. ^ 森(1994) p.112
  24. ^ 森(1985) p.121
  25. ^ 森(1985) p.121-122
  26. ^ 君塚(2004) p.27-28
  27. ^ 君塚(2014) p.168-186
  28. ^ 君塚(2014) p.168-189
  29. ^ 君塚(2014) p.257
  30. ^ 中堀博司「天皇家をめぐる宮廷外交の一側面 ―金羊毛勲章とガーター勲章―」『宮崎大学教育学部紀要』第98巻、宮崎大学教育学部、2022年3月、56頁、hdl:10458/00010342ISSN 2433-9709CRID 1050855068413287808 
  31. ^ 君塚(2014) p.256
  32. ^ 君塚(2014) p.262
  33. ^ 君塚(2004) p.27
  34. ^ 君塚(2014) p.219
  35. ^ a b 君塚(2014) p.220
  36. ^ 君塚(2014) p.216
  37. ^ a b c d The Most Noble Order of the Garter | English knighthood | Britannica” (英語). www.britannica.com. 2022年9月26日閲覧。
  38. ^ スレイター (2019), p. 38.
  39. ^ 藤樫(1965) p.192
  40. ^ 君塚(2008) p.280
  41. ^ 君塚(2008) p.277-280
  42. ^ 君塚(2004) p.222, 261
  43. ^ 君塚(2004) p.259-260
  44. ^ 君塚(2004) p.222, 253, 257
  45. ^ 君塚(2004) p.222-223, 262-263
  46. ^ 君塚(2008) p.274-275
  47. ^ 君塚(2004) p.73-76
  48. ^ 君塚(2004) p.84-88
  49. ^ 君塚(2004) p.127-130
  50. ^ アルジャーノン・ミットフォードThe Garter Mission to Japan』(ガーター使節団)、序文。マクミラン出版社、1906年。
  51. ^ 君塚(2004) p.122-134
  52. ^ 君塚(2004) p.238
  53. ^ 君塚(2004)
  54. ^ 君塚(2004) p.221-222/305-306
  55. ^ 君塚(2004) p.17/27-28
  56. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r Media Centre > Buckingham Palace press releases > Appointment of a new Garter Knight”. Royal. 2008年6月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年9月28日閲覧。
  57. ^ “Lord Phillips and Admiral Boyce made Knights of Garter”. BBC News. (2011年4月23日). http://www.bbc.co.uk/news/uk-13168587 
  58. ^ “Former head of the Armed Forces becomes a Knight of the Garter”. London: Telegraph. (2013年4月22日). http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/defence/10011474/Former-head-of-the-Armed-Forces-becomes-a-Knight-of-the-Garter.html 2014年9月28日閲覧。 
  59. ^ a b "No. 60848". The London Gazette (英語). 24 April 2014. p. 8182.
  60. ^ https://www.royal.uk/appointments-knights-companion-most-noble-order-garter
  61. ^ a b Appointments to the Order of the Garter”. The Royal Family (2018年4月23日). 2018年4月23日閲覧。
  62. ^ a b New appointments to the Order of the Garter announced”. The Royal Family (2019年2月27日). 2019年2月27日閲覧。





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