握り寿司
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握り寿司(にぎりずし)は、シャリ(酢飯の小塊)に寿司種をのせて握った寿司であり、「早ずし」の一種である。握り[1]、江戸前寿司[2]、江戸ずし[1]、あずまずし[1][2]ともいう。
注釈
- ^ a b 吉野昇雄『鮓・鮨・すし―すしの事典』(旭屋出版、1990年)では戦後の委託加工制度が始まってから寿司が小さくなったとしているが、「すしの雑誌 第6集」(旭屋出版 、1978年)の「座談会すし商売今昔」では吉野も出席した中、戦前の寿司のサイズについてシャリが十匁と言うことで異論が出ていない。1940年(昭和15年)の木下謙次郎「続々美味求真」では、2升で200個握るとしている。これは、1合を10個に握るという戦後の委託加工制度と一致する。吉野の著作では、委託加工制度の寿司が実際に一合分の米を使っていたかどうかは明記されていない。
- ^ a b 江戸時代の川柳に「妖術という身で握るすしの飯」とあり、片手でもう片方の手の指を握る動作を描写している。妖術という様からすれば、握っている指は1本か2本。内田栄一によると美家古ずしのすしは昔大きく、指4本分あったと言う。指4本握ったのでは「妖術」という様ではないようだ。
- ^ 篠田統の著書『すしの本』(1966年)の増補版(1970年)で追加された「東京ずし雑話」(吉野昇雄からの聞き取り)と、吉野昇雄自身が雑誌『近代食堂』(1971年)3月号)で連載した記事に登場するフレーズ。チャンチキは海苔巻きを交差させて盛る、盛り方の名前。「かん」については特に盛り方であると言うような説明は無い。篠田統は「貫」と当てているが、吉野昇雄は「貫の字を当てるべきだろうか」とやや主張が弱い。なお、雑誌『近代食堂』にて寿司を「カン」と数えるようになったのは、吉野昇雄の記事が載って以降。それ以前は「個」と数えていたが、徐々に「カン」と記述することが増えてゆく。
- ^ yahooのネット上の辞書大辞泉によっても、あるいは助数詞に詳しい辞書、『三省堂新明解国語辞典 第6版』にも、寿司を1かん、2かんと数える記述は見あたらない。『広辞苑 第六版』、『三省堂国語辞典 第六版』では、握り鮨の数え方として記載されている。
- ^ 宮尾しげを『すし物語』(井上書房、1960年)。2丁づけが戦後広まったこと、庖丁を入れて2つに切らせることが標準的でない旨、書き記されている。なお、宮尾しげをが「二丁づけの始まり」と紹介している「宇の丸」のすしは、2個のすしを4つに切って一皿に盛ったもの。
- ^ 浅見安彦『すし調理師入門』(柴田書店、1970年)では、普通10匁(37.5グラム)くらいが一個分としている。旭屋出版『すし技術教科書(江戸前ずし編)』(旭屋出版、1975年)では、握り寿司一個の大きさは寿司飯25~35グラムくらいとしている。中山幹『すしの美味しい話』(社会思想社、1996年11月)では、握り寿司一個の大きさは(一応)25グラムが標準としている。家庭料理の本だが、為後喜光「家庭の味 特選おすし113」家の光協会1992年3月でも、一つ25グラムにするように書かれている。
- ^ 現在[いつ?]も1つずつ提供する店もある(小野二郎「すきやばし次郎-生涯一鮨職人」プレジデント社、2003年12月)。
- ^ 夕刊フジBLOG「言葉のタネ明かし」の「1貫」の項(2007年10月26日時点のアーカイブ)では、「数え方の辞典」(小学館)及び筆者の記憶から、2個で1貫と呼ばれていたことを記述している。
- ^ 上の注で引用されている資料は、飯田朝子・町田健『数え方の辞典』(小学館、2004年4月)のことと考えられる。この論は、飯倉晴武編著『日本人 数のしきたり』(青春出版社刊、2007年)の「1貫文=100文」同様、前提が破綻している。由来としている「銭1貫分の大きさ」と言う説は、ほぼ4キログラム分の銅貨と同じ大きさと言う意味で(同書では、1貫分の銭は1,000文か960文としている)、無理がある。同じ飯田朝子『数え方もひとしお』(小学館、2005年11月)では、調査に不備があったこと、銭の1貫は握り寿司の大きさたりえないことを認めている。同書では、吉野昇雄による解説を引用して、戦後になって寿司が小さくなってから、2つずつ提供する習慣になったと言う説を採用している。また、木下謙次郎『続々美味求真』(1940年)に2升で200個握るとされていること、2個づけが戦後始まっていることを考えても、大きかったので2つに分けたと言う説には無理がある。「言葉に関する問答集」(国立国語研究所、2001年3月)では、2個1かんの諸説を挙げた上で、1個1かんが有力としている。2つを1かんとする論では、論理的に整合性の取れた由来が示されていない。
- ^ 穴あき銭説による1貫は、以前では現在の大きさの寿司2個で1かんとすることもあった。これは穴あき銭1貫分は一口で食べるには大きすぎるため、2つに分けて握るようになったためと言われている(飯田朝子・町田健「数え方の辞典」小学館、2004年4月)。飯田朝子「数え方もひとしお」(小学館、2005年11月)で、誤謬であったことが明かされている。
- ^ 毎日新聞社編『話のネタ』(PHP文庫、1998年) p.417では「駄じゃれでいただけない」と解説されている
- ^ 長谷川町子の漫画「いじわるばあさん」には、主人公が白人女性にこの呼び方をキュウリの「レインコート(=カッパ)」とともに教えるという話があるが、寿司店店主に「フザけた奴だヨ」とぼやかれている。
- ^ 『仏説稲芋経』の「稲」に当たる語。
出典
- ^ a b c 岡田哲『たべもの起源事典』(東京堂出版、 2003年) p.347
- ^ a b c d e f 日本調理科学会編『新版 総合調理科学事典』(光生館、2006年)p.389
- ^ 板前の魚山人『寿司の握り方』-「シャリをつかんでまとめる時、お握りと寿司をわける」
- ^ 車海老は種に酢飯を載せてから握る
- ^ a b マルハ広報室編 『お魚の常識非常識「なるほどふ~ん」雑学』(講談社プラスアルファ文庫、2000年)p.55–56
- ^ a b c d 岡田哲『たべもの起源事典』(東京堂出版、2003年)p.349(諸説ある中の一説として紹介)
- ^ a b c d “ホリエモン「寿司職人が何年も修行するのはバカ」発言 数か月で独り立ちの寿司はうまいか?”. J-CAST ニュース (2015年11月2日). 2022年7月6日閲覧。
- ^ a b “業界で話題の『飲食人大学』3カ月修行の寿司職人が海外へ挑戦!!国内のミシュラン掲載実績の『鮨 千陽』が初の海外へ『シンガポール店』オープン!!”. 日刊工業新聞電子版. 2022年7月6日閲覧。
- ^ “「『怒らない経営』で成功した『銀のさら』」ライドオンエクスプレスHD社長 江見朗”. shuchi.php.co.jp. 2022年9月17日閲覧。
- ^ Riney, James (2022年8月17日). “なぜ出前文化の日本でフードデリバリーは発展しなかったのか | Coral Capital”. 2022年9月17日閲覧。
- ^ Bleyer, Jennifer (2007年7月29日). “Learning From the Master of the Carrot Butterfly” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2022年7月6日閲覧。
- ^ コトバンク
- ^ 永瀬牙之輔『すし通』28、1930年。
- ^ 重金敦之『すし屋の常識・非常識』(朝日選書、2009年)177p~180p。
- ^ 錦寿司 お寿司の食べ方
- ^ 重金敦之『すし屋の常識・非常識』(朝日新書、2009年)30頁
- ^ Sunday Book Review Raw
- ^ 加藤秀俊『明治大正昭和食生活世相史』(柴田書店、1977年)148頁に関西に握りずしをはやらせた原因として記されている。
- ^ 久保正敏・大島新一・日比野光敏・和田光生「篠田資料・鮓アンケートの予備的分析」(『国立民族学博物館研究報告』第18巻4号、1993年)628頁(注7)に代表例として、東京浅草の寿司職人で、京都における寿司組合活動の礎を築いた中島清次郎が記されている。
- ^ 二村隆夫監修『丸善単位の辞典』(丸善、2002年03月)
- ^ 「みんなの知識 ちょっと便利帳」-6. 辞典に「すし」の数え方はどのように登場するのか
- ^ 山川正光「絵でみるモノの数え方辞典-ことば百科」(誠文堂新光社、2004年10月)
- ^ 篠田統『すしの話』(駸々堂出版、1978年7月1日)
- ^ 長崎福三『江戸前の味』(成山堂書店、2000年12月1日)
- ^ 宮尾しげを『すし物語』(井上書房、1960年)
- ^ 内田正『これが江戸前寿司 弁天山美家古』(ちくま文庫、1995年)
- ^ 篠田統『すしの本』(柴田書店、1966年)
- ^ goo辞書 - あがり【上がり/揚がり】
- ^ goo辞書 - あがりばな【上がり花】
- ^ weblio辞書 - あがりばな【上がり花】
- ^ 佐川芳枝『寿司屋のかみさん寿司縁ばなし』(中央公論社、2001年4月)
- ^ 京都府寿司生活衛生同業組合 寿司作法
- ^ a b c d e f g h i j k l m 毎日新聞社編『話のネタ』(PHP文庫、1998年) p.417
- ^ 重金敦之『すし屋の常識・非常識』(朝日新書、2009年)190頁。
- ^ 宮尾しげを『すし物語』(井上書房、1960年)111P。
- ^ 伊藤武『語るインド』(KKベストセラーズ、1996年)ISBN 4-584-18271-X)
- ^ 重金敦之『すし屋の常識・非常識』(朝日新書、2009年)30頁。
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