情報通信技術 WSISプロセスとICT開発の目標

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情報通信技術

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/12 05:35 UTC 版)

WSISプロセスとICT開発の目標

2001年12月21日、国連総会において、今日の情報社会が直面している機会や課題について議論するための世界情報社会サミット(WSIS)の開催を支持する決議56/183が承認された[23]。この決議によると、このサミットはミレニアム開発目標を達成するためのICTの実装という、国連ミレニアム宣言の目標に関連付けられたものである。また、これらの目標を達成するために、政府だけでなく市民社会や民間部門といったすべてのステークホルダーを活用するマルチステークホルダー・アプローチを強調した。

ICTを世界中のあらゆる居住地域に定着、拡大させるため、「2015年こそが2000年に世界の指導者たちが合意した国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限である」とした[24]

教育において

今日の社会においては、教室にコンピュータが急速に導入されるなど、コンピュータ中心のライフスタイルが増え続けている。

国連の一組織である国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、教育の公平性や提供性を確保するための取り組みの一環として、ICTを教育に導入することを掲げている。以下は、教育におけるICTに関するユネスコの刊行物を引用したものであり、この取り組みに対するユネスコの立場を説明している。

情報通信技術は教育への普遍的なアクセスや教育の公平性、質の高い学習や教育の提供、そしてより効率的な教育の管理、ガバナンス、行政に貢献できる技術である。ユネスコは教育におけるICTを推進するために、全体的かつ包括的なアプローチをとっている。主な課題にはアクセス性、一体性、品質がある。教育におけるICTのための部門間プラットフォームにおいては、通信・情報部門、教育部門、科学部門の三部門の共同作業を通じてこれらの問題に焦点を合わせている。[25]

ルワンダの学校で使用されているOLPCラップトップ

コンピュータの力で教育や学習を向上させ、改革しているにもかかわらず、教師がICTを日々の学習に適切に導入しているという証拠がほとんどないまま資金の増加や技術の進歩が起こるという、不適切な実装の問題が蔓延している。より伝統的な教育方法への信念や教育におけるコンピュータに対する個人の態度、教師自身のコンピュータの使いやすさやコンピュータを使う能力といった内在的な障壁が、結果として教室でのICTの導入の有効性に差をもたらしている [26]

教育において効果的にするためには、ICTを教育学と完全に統合しなければならないとする証拠がある。具体的には、文字や数学を教える際、Writing to LearnとICTを組み合わせて使う[27][28]ほうが伝統的な方法のみの場合やICTのみの場合に比べてより良い結果を得られる[29]

難民向けモバイル学習

学校環境は、言語学習を促進する上で重要な役割を果たしている。しかし、言語や文字の壁が、難民がキャンプの外の学校に通う妨げになっている[30]

モバイル学習による言語学習アプリは、言語学習のための重要なツールである。モバイルという手段により、識字能力開発、外国語学習、翻訳という3つの主な分野で難民の言語と文字の問題を解決することができる。 難民や移民が新しい言語と新しい社会に身を投じる際には、コミュニケーションの実践が重要な資産となるため、モバイル技術は重要である。 優れたデザインのモバイル言語学習アクティビティでは、難民と主流の文化を結びつけ、実際の文脈での学習を支援する[30]

途上国

アフリカ

2017年3月に行われたユネスコのMobile Learning Weekにおいて、mラーニングに関する政策フォーラムのために会合している代表者

サブサハラアフリカでは、1960年代から教育の向上を目的としてICTが導入されている。テレビやラジオが始まったことで、教育の範囲が教室から家庭へ、そして従来の教室では届かなかった地域にまで広がった。技術が進化し、広く使われるようになるにつれ、サブサハラアフリカでの取り組みも拡大していった。1990年代には、生徒と教師の両方が教室でコンピュータを使うことに慣れることを目的とし、学校にコンピュータのハードウェアとソフトウェアを導入する大規模な取り組みが行われた。それ以来、複数のプロジェクトがこの地域でのICTの普及拡大を継続させるようつとめた。その中には、2015年までに240万台以上のラップトップを約200万人の生徒や教師に配布したOne Laptop Per Child(OLPC)プロジェクトも含まれている[31]

mラーニングと呼ばれることが多い教室でのICTの導入によって、サブサハラアフリカでは教育者の手の届く範囲を広げ、生徒の成長を見守る能力が向上した。特に、この取り組みでは携帯電話が重要視された。この地域では携帯電話の利用が普及しており、インターネット回線よりも携帯電話回線の方が広い範囲をカバーしている。携帯電話は生徒や教師、保護者にとって身近なものであり、コミュニケーションを増やしたり教材へのアクセスを可能にしたりできる。mラーニングは生徒にとってメリットがあるだけでなく、教員にとっても良い研修の機会になり、教育エリア全体でより一貫したカリキュラムを提供することに繋がる。2011年から、ユネスコはmラーニングの取り組みを議論するために関係者を集めることを目的とし、Mobile Learning Weekというシンポジウムを毎年開催している[31]

導入に課題が無いわけではない。サブサハラアフリカでは他の途上国に比べるとはるかに急速に携帯電話やインターネットの利用が普及しているが、先進国と比べるとまだ遅く、スマートフォンの普及率は2017年で20%にしか達していないと予想されている[31]。加えて、教育へのアクセスにはジェンダー的、社会的、地政学的な障壁があり、深刻度も国によって大きく異なる。サブサハラ全体では、2012年に2960万人の子供が学校に通っていなかったが、これは地理的な格差だけでなく、政治的な不安定、社会的規範の重要性、社会的構造、ジェンダーの不平等などが原因である。学校に行けたとしても、教師の能力・研修・準備、教材へのアクセス、情報管理の不足といった壁に直面する[31]

現代のICT

現代社会では、ICTは常に存在し、30億人以上の人々がインターネットにアクセスしている[32]。インターネットユーザのおよそ10人に8人がスマートフォンを所有しており、情報やデータは飛躍的に増加している[33]。この急速な成長により、特に途上国ではICTが日常生活の要となっており、テクノロジーが欠けると、事務や仕事、日常生活のほとんどが機能不全になる。2014年に発表された権威あるデータによると、「2014年のインターネット使用率は世界全体で6.6%(先進国3.3%、途上国8.7%)であり、着実に増加している。直近5年間(2009年から2014年)で途上国のインターネット使用者数は倍増しており、現在のインターネット人口の3分の2は途上国に住んでいる」とされている[22]

しかし、ハードルは高い。「まだインターネットを利用していない43億人のうち、90%が途上国に住んでいる。25億人の人々が暮らす42か国の最小接続国(LCC)ではほとんどの場合、特に大規模な農村人口にとってはICTは手の届かないものである。」[34]ICTは一部の国では未だ浸透しておらず、途上国の多くでは電話回線、特に携帯電話回線やデータの電子的な伝送手段といったインターネット設備が不足している。2014年の「Measuring the Information Society Report」では、「複数の契約をしている人々が多いため、世界的に使用率が伸びていても、それがピラミッドの最下層の人々の接続性が向上しているということを示すわけではない。世界では推定4億5000万人がいまだに携帯電話サービスを利用できない地域に暮らしている」[32]とあるように、先述の携帯電話利用率の増加は表面的なものであると慎重に判断している。

好意的にとれば、「2015年こそが2000年に世界の指導者たちが合意した国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限であり、新しいデータによってICTの進歩と目標までの残りが示される」[24]とした15年間で、インターネットへのアクセスと携帯電話普及率の差は大幅に減少している。ナノテクノロジーがICTエレクトロニクスやICTガジェットを先導し、ICTは新しい形を取り続けている。現代の電子機器の世界に対応した最新版ICTとして、Apple Watchのようなスマートウォッチ、Nike+ FuelBand英語版のようなスマートリストバンド、Google TVのようなスマートテレビなどがある。デスクトップが前時代の産物となりつつあり、またラップトップが最も良いコンピューティングの方法になりつつある中で、ICTは変わり続ける世界の一部となり、それ自身も変化し続けている。

情報通信技術は、今日の新しい社会運動の中で、加速多元主義英語版を促進する役割を果たす。Bruce Bimberは、インターネットは「課題群の形成と実行のプロセスを加速させるものである」[35]とし、この新しい現象を説明するために加速多元主義英語版という用語を造語した。ICTは「社会運動を可能にし、独裁者に力を与える」[36]ツールであり、事実、社会の変化を促進している。政治的な言説や国家政策への直接的な介入を可能にする[37]だけでなく、政府による国民の不満の対処法を変えることも出来るインターネットのおかげで、ICTを大義のために草の根の支持を集めることにも使うことができる。さらに、家庭内でのICTは、女性がパートナーからの暴力の正当化を拒否することとも関連する。2017年に発表された研究によると、これは「特に伝統的なジェンダー観が対照的である、文化的に保守的な地域においては、ICTによって女性が異なる生き方や、社会や家庭における女性の役割について触れることができる」[38]ためである。


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