確率論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/25 16:11 UTC 版)
確率論 |
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確率論(かくりつろん、英: probability theory, 仏: théorie des probabilités, 独: Wahrscheinlichkeitstheorie)は、偶然の現象に対して数学的な模型(モデル)をあたえ、解析する数学のいち分野である。
もともとサイコロ賭博といった賭博の研究として始まった[1]。現在でも保険や投資などの分野で基礎論として使われる。
なお、確率の計算を問題とする分野を指して「確率論」と呼ぶ用例もあるが、本稿では取り扱わない。
歴史
古典的確率論
確率論は16世紀から17世紀にかけてカルダーノ、パスカル、フェルマー、ホイヘンス等によって数学の一分野としての端緒が開かれた。イタリアのカルダーノは賭博師でもあり、1560年代に『さいころあそびについて』(羅: Liber de ludo aleae)を執筆して初めて系統的に確率論を論じた。その書は彼の死後の1663年に出版された[2]。18世紀から19世紀にかけて、ラプラスはそれまでの確率論を統合する研究を行い、1814年2月に『確率の哲学的試論』を著し、古典的確率論と呼ばれる理論にまとめた[3]。
公理的確率論
現代数学の確率論は、アンドレイ・コルモゴロフの『確率論の基礎概念』(1933年)[4]に始まる公理的確率論である。この確率論では「確率」が直接的に何を意味しているのかという問題は取り扱わず、「確率」が満たすべき最低限の性質をいくつか規定し、その性質から導くことのできる定理を突き詰めていく学問である。この確率論の基礎には集合論・測度論・ルベーグ積分があり、確率論を学ぶためにはこれらの知識が要求される。公理的確率論の必要性に関しては確率空間の項を参照。
現在、確率論は解析学の一分野として分類されている。特にルベーグ積分論や関数解析学とは密接なつながりがある。確率変数が可算型や連続型の場合でも、公理的確率により解析的に記述できるようになる。また、確率論は統計学を記述する際の言語や道具としても重要である。
基礎概念の概略
確率論で使われるいくつかの重要な概念を簡単に解説する。詳しい内容は各項目のページを参照。
- 事象 (event)
- 標本空間の部分集合のうち確率をもつものを事象と呼ぶ。全ての事象を集めた集合族
- Cardano, Girolamo (1961) [1663]. The book on games of chance (Liber de ludo aleae). New York, NY: Holt, Rinehart and Winston. ASIN B007T35V64
- コルモゴロフ, アンドレイ・N『確率論の基礎概念』坂本實翻訳、筑摩書房〈ちくま学芸文庫 [Math & science]〉、2010年7月7日。ISBN 978-4-480-09303-5 。
- ラプラス, ピエール=シモン『確率の哲学的試論』岩波書店〈岩波文庫 青925-1〉、1997年11月17日。ISBN 4-00-339251-5 。
- 西岡康夫『数学チュートリアル やさしく語る 確率統計』オーム社、2013年。ISBN 9784274214073。
- 伏見康治『確率論及統計論』河出書房、1942年。ISBN 9784874720127 。
- JIS Z 8101-1:1999 統計−用語と記号−第1部:確率及び一般統計用語, 日本規格協会, (1999)
- 日本数学会 編『数学辞典』(第4版)岩波書店、2007年。ISBN 9784000803090。
関連項目
- 測度論(確率測度)
- 確率空間
- 確率変数
- 確率分布
- 独立 (確率論)
- 大数の法則
- 中心極限定理
- 確率過程
- ウィーナー過程(ブラウン運動)
- 項目応答理論
- ベイズの定理、ベイズ確率
- 条件付き確率
- 条件付期待値
- ベルトランの逆説
- モンティ・ホール問題
- 量子論
- R言語
- 推計統計学
- 数理ファイナンス、金融工学、ブラック-ショールズ方程式、デリバティブ
外部リンク
確率論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/01 04:25 UTC 版)
詳細は「確率論」を参照 確率論で用いられる期待値、分散、共分散、階乗モーメント(英語版)などを取る操作は作用素の例になっている。
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