確率計算に対する批判とは? わかりやすく解説

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確率計算に対する批判

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 16:20 UTC 版)

弘前大教授夫人殺し事件」の記事における「確率計算に対する批判」の解説

古畑確率論用いた鑑定行ったことに対しては、数学者からも後に多く批判なされている。上のように、古畑鑑定書には極めて不完全な形でしか数式現れず、これを一般的なベイズの定理復元するためには、まず次のような手順を踏まねばならない血痕がBMQE型である確率を P ( A ) {\displaystyle P(A)} 、血痕がSのものである確率を P ( B 1 ) {\displaystyle P(B_{1})} 、血痕がSのものでない確率を P ( B 2 ) {\displaystyle P(B_{2})} と設定すると、鑑定書にある「両者血痕同一人の血液由来するものである確率」 W 1 {\displaystyle W_{1}} とは「血痕がBMQE型である」という事象が起きた上で血痕がSのものであるという事象が起き事後確率 P ( B 1 | A ) {\displaystyle P(B_{1}|A)} を指していることになる( W 2 {\displaystyle W_{2}} は単純に1からこれを引くことで得られる)。一方で同一人物であった時の一致率」 X {\displaystyle X} は「血痕がSのものであるという事象が起きた上で血痕がBMQE型である」という事象が起き事後確率 P ( A | B 1 ) {\displaystyle P(A|B_{1})} を指しており、こちらは当然 X = P ( A | B 1 ) = 1 {\displaystyle X=P(A|B_{1})=1} である。「一般人の間に出現する頻度」 Y {\displaystyle Y} は「血痕がBMQE型である」上で血痕がSのものでない」場合確率であるので Y = P ( A | B 2 ) {\displaystyle Y=P(A|B_{2})} と表すことができる。また、血痕がSのものであるという事B 1 {\displaystyle B_{1}} と「血痕がSのものでない」という事B 2 {\displaystyle B_{2}} は完全系をなしているため、任意の事象 C {\displaystyle C} に対して P ( C ) = P ( C ∩ B 1 ) + P ( C ∩ B 2 ) {\displaystyle P(C)=P(C\cap B_{1})+P(C\cap B_{2})} が成り立つ。さらに任意の事象 D {\displaystyle D} に対しても P ( D | C ) = P ( C ∩ D ) P ( C ) {\displaystyle P(D|C)={\frac {P(C\cap D)}{P(C)}}} が成り立つため、確率 P ( A ) {\displaystyle P(A)} 、 P ( B 1 ) {\displaystyle P(B_{1})} 、 P ( B 2 ) {\displaystyle P(B_{2})} に対しても P ( B 1 | A ) = P ( B 1 ) P ( A | B 1 ) P ( B 1 ) P ( A | B 1 ) + P ( B 2 ) P ( A | B 2 ) {\displaystyle P(B_{1}|A)={\frac {P(B_{1})P(A|B_{1})}{P(B_{1})P(A|B_{1})+P(B_{2})P(A|B_{2})}}} が成立する。この復元手順については多く数学者の間で一致みられる。ところが、上の式は W 1 = P ( B 1 | A ) = P ( B 1 ) P ( A | B 1 ) P ( B 1 ) P ( A | B 1 ) + P ( B 2 ) P ( A | B 2 ) = P ( B 1 ) X P ( B 1 ) X + P ( B 2 ) Y = X X + Y {\displaystyle W_{1}=P(B_{1}|A)={\frac {P(B_{1})P(A|B_{1})}{P(B_{1})P(A|B_{1})+P(B_{2})P(A|B_{2})}}={\frac {P(B_{1})X}{P(B_{1})X+P(B_{2})Y}}={\frac {X}{X+Y}}} を表しているのであり、この等式は P ( B 1 ) = P ( B 2 ) = 1 2 {\displaystyle P(B_{1})=P(B_{2})={\frac {1}{2}}} すなわち、血痕がSのものである確率とSのものでない確率五分五分である、という仮定を置かなければ成立しない。つまり古畑鑑定では初めから那須犯人である蓋然性50パーセント設定されていることになる。のみならず古畑は P ( A | B 2 ) {\displaystyle P(A|B_{2})} に日本人におけるBMQE型血液持ち主割合代入しているが、これは日本人全員那須シャツ血痕付け機会持っていた、と述べているに等し仮定である。さらに、古畑がなした2つ仮定連立させると P ( A ) = P ( A ∩ B 1 ) + P ( A | B 2 ) P ( B 2 ) = P ( B 1 ) + 0.015 2 = 0.5075 {\displaystyle P(A)=P(A\cap B_{1})+P(A|B_{2})P(B_{2})=P(B_{1})+{\frac {0.015}{2}}=0.5075} が得られるので、 W 1 {\displaystyle W_{1}} の値はベイズの定理とは無関係に W 1 = P ( B 1 | A ) = P ( A ∩ B 1 ) P ( A ) = P ( B 1 ) P ( A ) = 0.5 0.5075 ≒ 0.985 {\displaystyle W_{1}=P(B_{1}|A)={\frac {P(A\cap B_{1})}{P(A)}}={\frac {P(B_{1})}{P(A)}}={\frac {0.5}{0.5075}}\fallingdotseq 0.985} と算出できてしまう。すなわち、古畑鑑定書用いているのは事実上循環論法である。

※この「確率計算に対する批判」の解説は、「弘前大教授夫人殺し事件」の解説の一部です。
「確率計算に対する批判」を含む「弘前大教授夫人殺し事件」の記事については、「弘前大教授夫人殺し事件」の概要を参照ください。

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