古畑鑑定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 16:20 UTC 版)
「弘前大教授夫人殺し事件」の記事における「古畑鑑定」の解説
弁護側は、目撃証言や那須宅周辺の血痕の犯罪性についても不正確性を主張したが、物証となったズック靴と白シャツの鑑定結果についてはさらに厳しく批判した。弁護側は、血痕が付着した犯行当時の着衣を犯人が逮捕日まで毎日着続けることはあり得ない、と主張した。弁護側の証人として出廷した引田も血痕の経年変色の専門家として、白シャツの斑痕は最近のものではあり得ない、と証言した。検察側はこれに対し、引田には本件以前にルミノール検査の経験がなく、加えて引田は共産党のシンパであるため証言に信憑性がないと反論した。 弁護側はさらに踏み込んで、白シャツに付着していた血痕が、引田鑑定の「褪灰暗色」から三木鑑定の「赤褐色」へと時間の経過とともに鮮やかさを増していることを理由に、白シャツの血痕が捏造されたものであると主張した。弁護側は、白シャツの再鑑定を東京大学もしくは慶應義塾大学へ委託して行うことを裁判所へ求め、裁判所がこれを容れて物証の再鑑定を行うよう命じたのが、東京大学医学部法医学教室教授の古畑種基であった。 事件からおよそ1年後に行われた再鑑定で、古畑はズック靴について、斑痕の存在も人血の付着も認められないと結論した(下表参照)。検察側はそれを前鑑定で試料が消費されたためであると反論した。その一方で古畑は、白シャツに付着していた血痕はABO式、MN式、Q式、そしてE式(この血液型鑑定が裁判に用いられたのは、日本の司法史上初のことである)の4つの血液型がSのものと完全に一致し、その赤褐色の人血痕は事件現場の畳表の血液と同時期のものであると結論付けた(下表参照)。
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