数学鑑定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 16:20 UTC 版)
「弘前大教授夫人殺し事件」の記事における「数学鑑定」の解説
血痕鑑定に加えて古畑は、東京工業大学工学部教授の小松勇作の協力の下、ベイズの定理を用いて白シャツの血痕と現場の血痕が同一人物のものであることの証明も試みている。 尚兩者の血痕が同一人の血液に由來するものである確率は、 W 1 = X X + Y = 1 1 + Y X {\displaystyle W_{1}={\frac {X}{X+Y}}={\cfrac {1}{1+{\cfrac {Y}{X}}}}} X {\displaystyle X} : 同一人物であつた時の一致率 Y {\displaystyle Y} : 一般人の間に出現する頻度 異る人間の血液である確率は W 2 = Y Y + X = 1 1 + X Y {\displaystyle W_{2}={\frac {Y}{Y+X}}={\cfrac {1}{1+{\cfrac {X}{Y}}}}} の式から得られる。之に從つて計算した値は、 W 1 = 0.985 {\displaystyle W_{1}=0.985} 或は 98.5 % {\displaystyle 98.5\%} , W 2 = 0.015 {\displaystyle W_{2}=0.015} 或は 1.5 % {\displaystyle 1.5\%} となる。卽ち疊表についている血痕と開襟シヤツについている血痕が同一人の血液である確率は〇・九八五又は九八・五%であり兩者の血痕が同一人の血液でない確率は〇・〇一五又は一・五%となる。理論上〇・九八五の確率であるといふことは實際上は同一人の血痕であると考へて差支へないことを示しているのである。 — 古畑鑑定書(1950年(昭和25年)9月20日付)より 上の計算で古畑は、白シャツの血痕と現場の畳表の血痕の一致率を X {\displaystyle X} と置き X = 1 {\displaystyle X=1} 、日本人におけるBMQE型血液の持ち主の割合である1.5パーセントを Y {\displaystyle Y} と置き Y = 0.015 {\displaystyle Y=0.015} とそれぞれ設定してベイズの定理に代入し、両者の血痕は98.5パーセントの確率で同一人のものであると結論した。この計算に対し弁護側は、1.5パーセントの誤差がある以上、それは人口6万人の弘前市においてSの他に900人の被害者候補がいることを示していると反論した。
※この「数学鑑定」の解説は、「弘前大教授夫人殺し事件」の解説の一部です。
「数学鑑定」を含む「弘前大教授夫人殺し事件」の記事については、「弘前大教授夫人殺し事件」の概要を参照ください。
- 数学鑑定のページへのリンク