駆魔司
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 04:17 UTC 版)
駆魔司(くまし)は朝廷によって結成された妖怪退治専門の官職。主に、大理寺(裁判所)で扱う事案の中で、妖怪の関与が疑われるものが回されてくるが、内容は些末なものから血生臭いものまで多様でかつ量も多く、駆魔司メンバーを辟易させている。記念すべき最初の事案は、ペットの猫探しであった。 長安の金城坊に拠点を構える。設司者である狄仁傑(てきじんけつ)の死後は後任がおらず、建物も長い間放置されたまま廃屋と化していた。長史となった李景瓏の手配によって改装され、職場兼駆魔司メンバーの住居となる。ホールには狄仁傑の肖像が掛けられ、不動明王像が置かれている。中庭には池があり趙子龍の居場所となっている。 李景瓏(リー・ジンロン) 声 - 辺江(ビエン・ジャン) 本作の主人公。20歳。龍武軍の校尉。駆魔司の長史に任命される。武器は剣。 両親が他界した後、家財を注ぎ込んで古い剣を購入し、いつも持ち歩いている。封常清によって龍武軍に入れられた。 知恵の剣で鴻俊に斬りかかった際に心灯のペンダントが割れ、心灯が体内に入って気絶した。心灯を取り返そうとした鴻俊に娼楼に運ばれ、その結果「勤務中に娼楼に行っていた」という濡れ衣を被ることになった。龍武軍校尉から駆魔司長史への転属という処分となり、(不名誉な)昇格となった。封常清からは仕置きを受け、更には長安中の百姓の笑いものになった。この鴻俊との出会い以降、不運の連続となる。 法力を使えない凡人であるため、妖怪との戦闘では足手纏いになることを本人も心苦しく思っている。上司の立場を堅持するため皆に厳しく接し、当初は鴻俊以外の駆魔司メンバーからは敬遠されがちであった。濡れ衣を着せられた原因である鴻俊に対しても気難しい態度をとっていたが、純粋で打算のない鴻俊と接していくうちに徐々に態度が軟化する。 頭脳明晰で、周到な計画で事件を解決に導いていくうちに、駆魔司メンバーからの信頼を得ていくようになる。弓の名手でもあり、遠く離れて直接見えない場所からでも、音を聞いて獲物との距離と位置を測り、矢を命中させるほどの腕を持っている。 後に心灯の力を開花させ、心灯の力を知恵の剣に注ぐことで戦えるようになる。本来、心灯の正当な継承者ではないことから、心灯の使用は体(特に心臓の経絡)に大きな負担を伴うため、乱用は禁物である。鲲神の教えによって、鴻俊の法力を注入することで心臓の経絡を保護し、負担を軽減できるようになった。 法宝:知恵の剣 不動明王の六つの宝器の一つ。狄仁傑が生前佩いていたという。鴻俊の斬仙飛刀と共鳴する。 心灯 陳家に伝わる法宝だが、200年前に継承者に受け継がれ損ねた。燃灯で魔を浄化することができる。 孔鴻俊(コン・ホンジュン) 声 - 陳錦聞(チェン・ジンウェン) もう一人の主人公。16歳。半人半妖の少年。武器は飛刀(投擲用の短刀)。 孔雀明王である父孔宣と人間の母賈毓泽の間に生まれる。本名は孔绸星(コン・チョウシン)。容姿端麗で父親似である。 幼少期は両親とともに人間界で暮らしていたが、ある事件で両親を失い、太行山の曜金宮で重明と青雄に育てられた。純粋、天真爛漫な性格で、いたずら好きで(故意ではないが)トラブルを引き起こすこともある。両親の死や人間界で暮らしていた頃の事は覚えておらず、12年後に青雄が駆魔司の招集状を持ち帰った際、重明と青雄から実父の存在と200年前の鳳凰一族と黒蛟の大戦について知らされる。心灯を封じたペンダントを渡され、人間界で三つの事をしてくるよう言いつけられる。一つ目は孔宣を殺害した犯人を見つけること、二つ目は駆魔師となり長安の妖王を駆逐すること、三つ目は心灯を陳家の後継者に返すこと。しかし、長安に向かう途中の村で出くわした妖怪と戦い、飛刀の一本を失くしてしまう。更には、心灯が誤って李景瓏の体内に入ってしまうという前途多難な幕開けとなった。 俗世とは無縁の環境で育ち、人間界でのルールや常識、人間付き合いなどには疎い。しかし生来の性格と学習能力の高さから、すぐに人間界での暮らしに馴染み満喫している。人間界の美味しい食べ物に目がなく、李白の詩を愛している。 法力がなくても諦めず、常に最善を尽くそうと努力する李景瓏の姿に惹かれる。仲間達と兄弟のように打ち解け、共に戦っていくうちに、駆魔司を自分の家のように感じ始める。 幼少の頃から太行山の険しい山で遊んでいたため、見た目に反して体力・腕力はかなりのもの。孔宣から受け継いだ斬仙飛刀と、五色神光の防御で戦う。また薬学の知識もあり、薬を調剤することができる。 法宝:斬仙飛刀 四本の短刀で、それぞれ風雷火水に対応する攻撃を繰り出すことができる。合体させて一本の陌刀(はくとう)に変えることができ、その斬撃の威力は山を崩せる程である。 莫日根(モーリーゲン) 声 - 凌飛(リン・フェイ) 室韋人。フルンボイル草原出身。武器は弓。 転生を繰り返す蒼狼の今生であり、巨大な狼の姿に変身することができる。 失踪した白鹿が妖王に囚われているのではと疑い、白鹿を探すことが長安に来たもう一つの目的である。一族の伝承では歴代の白鹿は全て女性であり、探し出した暁には結婚したいと考えていた。 李景瓏が不在の際は、駆魔司のリーダー的役割を果たす。無鉄砲とも言える作戦を考え、皆を驚かせることもある。 法宝:釘頭七箭 陸許(ルー・シュー) 声 - 蘇尚卿(スー・シャンチン) 軍の斥候の少年。アニメ版第2期の5話から登場する。中国北西部の出身で、戰死尸鬼に襲われた都市から救援要請のために派遣されたが、恐慌状態になっていた。莫日根と出会い、行動を共にするようになる。 夢を守る白鹿の今生だが、転生時に獬獄に襲われ、魂魄の大部分を奪われ魔気で汚染された。肉体は魂魄の一部しか有していなかったため、知的能力に影響をもたらしていた。魔気の汚染から解放され魂魄を取り戻したのち、駆魔司の一員となった。他人の夢を共有したり、書き換えたりすることができる夢境の力と俊足を武器に戦う。鴻俊とは何でも話す親友の仲である。 裘永思(チウ・ヨンスー) 声 - 盧力峰(ルー・リーフェン) 江南人。武器は筆。 杭州出身。礼儀正しく、博識で教養がある。陸許曰く、洞察力はかなり高い。 凶悪な蛟の群れを閉じ込めている鎮龍塔を守る降龍仙尊の跡取りである。父親は隋の2代皇帝煬帝である。外界と時間の流れが異なる鎮龍塔の中で生まれ育ち、祖父の裘虬(チウ・チウ)に育てられた。実は136歳である。200年前に鎮龍塔から逃げ出した黒蛟を探し出すという使命を持っている。 法力によって、周囲の景色を水墨画のように変え、墨を操る。また彫刻や壁画などに描かれた動物達を動かし、戦力とすることができる。気色の悪い妖怪が苦手で弱腰になるが、いざという時は力を発揮する。 阿泰(アタイ) 声 - 劉思岑(リウ・スーツァン) 吐火羅人。フルネームは「泰羅不達米亜·霍米霍克·漢莫拉比(タイロポタミア・ホミホック・ハンムラビ)」。通称「阿泰(アタイ)」。武器は扇子。碧眼、金髪の巻毛の華やかな外見をしている。陽気で社交的な性格。常にバルバット琴(リュート)を持ち歩き、音色と歌声で聞く者を陶酔させる。 滅亡したサーサーン朝ペルシア帝国の王太子で、本名は「泰格拉・伊思艾(テグラ・イースアイ)」。長安に来たのは、王朝の復興と、衰退した国教ゾロアスター教の再興に向けて、唐の兵力を借りるためでもある。 法宝:颶風扇、指輪 颶風扇でハリケーンを起こし、左手の指輪で火、地、雷、水の四つの力を使うことができる。 趙子龍(チャオ・ズーロン) 声 - 北辰(ベイチャン) 鯉の妖怪。サイズは肩に乗るぐらいの小ささ。太行山で鴻俊に拾われ、趙子龍と名付けられた。いつか龍になりたいと願っている。以前人間界にいたことがあり、人間界でのルールや常識についての知識があり、人間界に疎い鴻俊に(良くも悪くも)助言するが、鴻俊にくどいと思われることもある。 駆魔司の一員として受け入れられている。外では人に見られないよう、鴻俊のカバンの中に入って身を隠していることが多い。 原作小説では、鯉の体から人間の両腕と脛毛のある両足が生えており、魚の生臭さがあるという描写である。
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