歴史的な評価と大衆の見解とは? わかりやすく解説

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歴史的な評価と大衆の見解

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/21 05:09 UTC 版)

タデウス・スティーブンス」の記事における「歴史的な評価と大衆の見解」の解説

スティーブンス伝記作者としてリチャード・N・カレントは、「この男を真に突き動かしたものを見出すためには、歴史家専門外の2分野、すなわち心理学者降霊術者の助け借り必要がある」と指摘していた。タデウス・スティーブンスに関する歴史的見解は、その死後1世紀近く経った現在でも揺れ動いており、概してアンドリュー・ジョンソン評価対極にある。初期伝記は彼を知っていた人によって作成され、その偏見反映している。20世紀への変わり目作成された、例え1899年のサミュエル・マッコールや1913年のジェイムズ・アルバート・ウッドバーンによるものは、スティーブンス友好的に捉え原則突き動かされ誠実なとなっている。初期アフリカ系アメリカ人歴史家W・E・B・デュボイスは、スティーブンスを「常識人の指導者」であり、政治において実業界においても民主主義厳格な信奉者」と呼んだピューリッツァー賞受賞者歴史家ジェイムズ・フォード・ローズは、アフリカ系アメリカ人に対して心から直に現れる」「豊かな共感」を持っていたが、「南部に対して悪意」を表し、「酷く報復的で」もあったという考え示した。この復讐心に燃えスティーブンスという見解レコンストラクションの間に生まれ20世紀入って続いた歴史学世界で1900年以降ダニング学派によるレコンストラクション見解現れると、スティーブンス否定的に見られることが続き概して憎しみによって突き動かされたと考えられた。ウィリアム・ダニングが率いたこれら歴史家は、レコンストラクション南部対す悪意動かされ急進派政治家機会となり、戦争残した南部の生活と威厳破壊することになった教えたダニング自身スティーブンスを「攻撃的報復的であり、皮肉屋だ」と考えていた。1929年ジョンソンについて非常に好意的な著作出したロイド・ポール・ストライカーは、スティーブンスを「恐ろしい老人、...南部の血を流し壊れた体を痛めつけるために巧妙に準備をした」人物であり、「南部白人特に白人女性ニグロ支配の下で身もだえるのを」見るのが「美しいこと」になると考えた者に分類した1915年D・W・グリフィス監督映画國民の創生』が封切られ、極悪下院議員オースティン・ストーンマンは、付け方のまずい鬘、びっこ、アフリカ系アメリカ人愛人(リディア・ブラウンという役名)などスティーブンス似せた役柄になっていた。この大衆文化扱いによってスティーブンス対す大衆偏見強化し活性化させた。フォナーに拠れば、「歴史家リンカーンアンドリュー・ジョンソン寛大さ褒めれば、スティーブンス北部南部対す悪意報復不合理な憎しみ象徴となった。」と記した1930年代スティーブンス伝記書いた歴史家たちは、この紋切り型見方逃れスティーブンスとその政歴を見直そうとした。トマス・F・ウッドリーは1937年スティーブンスについて書き彼に対す称賛を示す一方でその内反足に関する苦しみ推進力変えたとしている。アルフォンソ・ミラーは1939年伝記で、スティーブンス正義対す願望動機づけられたことを見出した二人とも近年著作スティーブンス公平に扱っていないと確信していた。リチャード・カレントの1942年作品は、レコンストラクションを含むアメリカの全歴史を、北東部工業事業家スティーブンスがその代表)、南部農園主、および中西部農夫という3面経済闘争見なす当時ベアード歴史学反映していた。カレントは、スティーブンスレコンストラクション政策において憤懣のある野心、およびその政治的地位利用して工業資本主義促進し共和党躍進させたいという願望動機付けられていたと論じたスティーブンス平等主義という信念にも拘わらず実際には「富の集中で、大企業時代に彼がもたらした上のことを誰もなしえなかった」が故に不平等推進した結論付けた。 ラルフ・コーンゴールドによるスティーブンスに関する1955年伝記では、新奴隷制度廃止主義学派歴史家スティーブンス検討始めた。これらの歴史家は、戦後アフリカ系アメリカ人援助するために南部行った者達は「高徳リディーマー」に敗れた「やくざなカーペットバッガー」であるとした以前見解否定したその代わりに、奴隷制度を終わらせ、公民権運動推進した者達を称賛しジョンソンを何でも妨害する人と酷評したアフリカ系アメリカ人レコンストラクション中心であり、議会計画間違った唯一つのことはそれ以上進まずあまりに早く停止したこととい見解を採った。ブロディ1959年伝記はこの学派のものである。この結論議論吹っ掛けたのが精神分析的伝学者であり、スティーブンスは「抑圧された者に自己同化した完全な弱者」であり、その知性成功掴んだが、内反足という自意識がその社会的発展遅らせた考えたブロディ拠れば、これも自分社会的立場にある女性との結婚を好まなくさせたとも言っている。 ブロディに従う学者たちは、議会自分方向向けて支配したスティーブンス報復的な専制者とする考えなし崩しに続けた1960年、エリック・マッキトリックは、スティーブンスを「絵に描いたよう器用な政治家だが、大変限界のある者」だったと考え、その経歴は「次から次に彼の顔に爆発し続けた悪魔的考え長い喜劇連なりである」と見なした。1970年代半ばからは、フォナーがスティーブンス役割急進的な姿勢確立することにあったが、スティーブンスではなく事件共和党員をして彼を支持させるようにしたと論じた1974年のマイケル・レ・ベネディクトは、専制としてのスティーブンス評価その影響力よりも個性基づいていると述べた1989年、アラン・ボーグは歳入委員会委員としてのスティーブンスがその委員会の「完璧な主人には足りない者」だったとしている。 歴史家のハンス・トレフーシーは、1969年急進派共和党に関する研究で、スティーブンスの「不変情熱平等だった」と述べた1991年、トレフーシーはスティーブンスが「連邦議会務めた中でも最も影響力持った議員一人だ。その機知議会法知識、完全な意志力下院支配したのであり、完全には支配できないこと多かったとしてもである。」と述べた。しかし1997年著した伝記では、マッキトリックに似た立場を採っている。スティーブンス比較限界のある人物であり、その過激主義によって影響力制限されたことも多かったとしている。トレフーシーは、ブロディスティーブンス内反足あまりに多くのことの原因にし過ぎていること、スティーブンススミスの関係に全面的に信頼寄せていることで、極論走りすぎており、どちらの事項も今では確証持って決められない考えたスティーヴン・スピルバーグ2012年の映画リンカーン』では、トミー・リー・ジョーンズ演じたスティーブンス彼に新たな興味もたらしたジョーンズ役柄は、急進派中心人物であり、アメリカ合衆国憲法修正第13条成立大きく貢献した者として描かれている。歴史家のマシュー・ピンスカーは、映画原作になったドリス・カーンズ・グッドウィンの『ライバルチーム』ではスティーブンスが4回し言及されておらず、それに基づいた脚本家トニー・クシュナー書いた脚本では、他の急進派人物がその役柄取り込まれていると述べたスティーブンスは常に妥協繰り返すリンカーンによってそうすることを促されて初めて、憲法修正第13条成立を得るためにその見解和らげることができた人物として描かれている。この映画に関して急進派如何に描いたかというアーロン・バディの記事では、「彼は、彼らが大変愛し過ぎているのでそう言えいとして誰もが当惑している叔父さんだった。彼は指導者ではなく重荷であり、その輝かし英雄的瞬間は、真に信じていることについて黙しているときとなるであろう。」と記していた。この映画スティーブンススミス英語版)の性的な関係も描いていた。ピンスカーは、「彼らが愛人だったのは十分あり得たことだが、この件を映画に挟むことで、スティーブンス平等主義人種の線を超えたロマンス合法化するという彼の望みであることの「秘密の理由であると観衆印象付ける危険性映画制作者冒している。」とコメントしていた。

※この「歴史的な評価と大衆の見解」の解説は、「タデウス・スティーブンス」の解説の一部です。
「歴史的な評価と大衆の見解」を含む「タデウス・スティーブンス」の記事については、「タデウス・スティーブンス」の概要を参照ください。

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