差別・いじめ・ヘイトクライム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 14:04 UTC 版)
「2019年コロナウイルス感染症による社会・経済的影響」の記事における「差別・いじめ・ヘイトクライム」の解説
「en:List of incidents of xenophobia and racism related to the 2019–20 coronavirus pandemic」も参照 日本 「自粛警察」も参照 日本では、感染者が出た組織や家庭への脅迫、中傷といった差別事件が発生している。 Twitter上では、#ChineseDontComeToJapanというハッシュタグがトレンド入りした ほか、中国人観光客に対する「汚い」や「バイオテロリスト」などの暴言も散見される。 イギリス トッテナム・ホットスパーFCに所属するサッカー選手、デレ・アリが、スナップチャットにフェイスマスクをしているアジア人男性をコロナウイルスと結びつけて揶揄する投稿をした。 フランス フランスでは新型コロナウイルスが確認された2020年1月24日以降、アジア人に対する嫌がらせや差別が多数発生した。中国人・韓国人・日本人・ベトナム人・フィリピン人などのアジア人に対するもので、中国人・韓国人・日本人などの乗車を拒否するタクシーや電車も登場した。 地方紙クーリエ・ピカール (Courrier picard) は一面で『ALERTE JAUNE(黄色い警報)』と見出しをつけ、社説のタイトルは「黄禍? (Le péril jaune ?) 」だった。黄禍とは黄色人種脅威論の「黄禍論」であり、現在では人種差別的であるとその後批判が集まったため、同社は1月26日に謝罪した。 1月26日、フランスでスポーツジムから出たアジア系男性が10代の若者グループから「コロナウイルスが来た!」と笑われたり、スーパーマーケットでは男性が子供に向かって「中国人とウイルスがいるから気をつけなさい」と言うなどの事例が発生した。台湾系中学生が学校で「コロナ」とあだ名をつけられた。 2月16日、パリ郊外のブローニュ=ビヤンクールの日本料理店Yukiの窓ガラスに「コロナウイルス 消え失せろ」とスプレーで落書きを書かれた。 2021年2月10日、パリ17区で日本人が3人組からいきなり顔に向けて塩酸をかけられた。被害者は手で顔をガードしたため、顔には液体がかからなかったが、掌に火傷を負った。パリ17区長は2月16日、「襲撃で酸が使われたかどうか、またアジア人差別的な性格の襲撃かどうかは現時点ではまったく確認できていない」というメッセージを出した。 デンマーク 2020年1月27日、デンマークのユランズ・ポステンは中国国旗の星をウイルスの形にした風刺画を掲載し、中国大使館は抗議した。またメッテ・フレデリクセン首相は「デンマークには表現の自由がある」と語ったと報道された。 ドイツ ドイツのデア・シュピーゲル誌は2020年2月1日号の表紙で、赤い防護服にガスマスクを身につけた東洋人男性の姿に「グローバリゼーションが死のリスクをもたらすコロナウイルス MADE IN CHINA」というタイトルを記し、中国大使館や国内からも批判された。 2月29日、バイエルン州ニュルンベルク市で最初の感染者が出ると、日本人の自宅のシャッターに生卵が投げつけられる事件が起きた。また、ドイツ生まれの中国系生徒が1年以内の中国渡航歴はなかったにも関わらず学校から追い返された。 3月1日、ドイツでブンデスリーガ1部のRBライプツィヒが日本人サポーターに対して「日本人なので新型コロナウイルスに感染している可能性がある」との理由で退場を命じ、後に謝罪した。 4月15日、ドイツ紙『ビルト』はCOVID-19パンデミックでドイツが受けた被害への賠償金として、中国政府に対して総額1650億ドルの賠償を請求すべきだとする社説を掲載した。 オランダ オランダでは2020年3月2日、スクーターに乗った男性2人が韓国人女性に「中国人」と叫び殴りかかろうとした。またアムステルダムに住む韓国系アメリカ人女性はフェイスブック (Facebook) で「中国人のビッチ」と呼ばれたり、見知らぬ人が写真に「これがコロナだ」と書き込みしてきたりした。また、「中国人はコロナウイルスを持っている」との理由で自転車を突き飛ばされた人もいた。 スペイン 2020年3月、ロックダウン状態のスペインではバルで食事をしていた日本人がスペイン人から「お前らのせいで今こんな状況になっているんだ」と怒鳴られ、これまでとは周囲の目が変わり、悪意に満ちた視線を受けるようになったり、また、子供間での「イタリア人いじめ」も顕著になっている。 アメリカ合衆国 2020年2020年2月5日、ニューヨークの地下鉄でマスクをした中国人女性を男性が「Yo, yo, yo, yo, yo, 落ち着け」といいながら殴り、「diseased b----.(病気のビッチ)」と罵った。 ワシントン州コストコでは韓国系の8歳の男子が「中国から来たのか?あっちに行け」と罵倒された。 アリゾナ州立大学では、アジア系の学生は咳をしただけで変な目で見られるという。日系米国人の大学生は、大学で新型コロナを広めたとのデマを流された。 3月17日、ニューヨークで日本人女性がドラッグストアで「武漢 (Wuhan) 、武漢!」と、中年の白人男性から叫ばれ、追いかけられた。3月下旬、ニューヨークの大学留学生の日本人女性が地下鉄駅で白人女性に突然、唾を吐きかけられた。 2020年3月から6月までの間にアジア系アメリカ人へのヘイトクライムは2,100件以上発生し、カリフォルニア州では832件発生した。アジア系男性が買い物をしていると男に「中国ウイルスをアメリカに持ち込んだ」と咎められ、「中国に帰れ」・「チャイナ野郎」・「猿」と暴言を放たれた。車に子供を乗せようとしていた女性がガラス瓶を投げつけられ「国に帰れ、チンク」と叫ばれたり、飼い犬を蹴られ、唾を吐きかけられたアジア系女性もいた。「この最低なウイルスはお前の母国から来た」とカップルに話しかけられ、「ゴキブリみたいに汚らしい」などと言われるなど、このほか、職場や、施設への出入りや交通機関の利用を断られたりするなど公民権を侵害した事例が多数発生した。 2020年7月2日までに公表されたピュー・リサーチ・センターの調査では、新型コロナ感染拡大以降、不快な行為に直面したとするアジア系やアフリカ系(黒人)は約40%に達し、アジア系の約3分の1は人種差別的な中傷や冗談にさらされたと回答。店舗などでマスクを利用すれば、他人が怪しむとの懸念を抱くとの回答は黒人42%、アジア系36%、ヒスパニック23%、白人は5%だった。 その後もアジア系へのヘイトクライムは続き、2021年には暴力性が増して、殺害事件も多発するようになった。2月3日、ニューヨークの地下鉄でフィリピン系の61歳の男性が突然顔をカッターナイフで切られ、約100針を縫う怪我をした。 2021年2021年1月28日、サンフランシスコにおいて、朝のウォーキングをしていたタイ系の84歳の男性が19歳の黒人男性にいきなり突き倒されて死亡した。 1月31日、カリフォルニア州オークランドのチャイナタウンで28歳の男が、91歳と60歳のアジア系男性、55歳の女性に暴行した。91歳のアジア系男性は後ろから男にいきなり押し倒された。52歳女性が銃撃された事件も発生した。 2月25日夜、ロサンゼルスの東本願寺別院で白人とみられる男が院内に侵入し、放火した。 同2月25日夜、シアトルの中華街インターナショナル・ディストリクトで日本人女性がいきなり見知らぬ男に石の入った靴下で顔面を強打され、重傷となった。ジェイ・インスリーワシントン州知事はアジア人差別・反アジア的憎悪犯罪への非難声明を3月9日に出した。 3月16日にはジョージア州アトランタで、21歳の白人男性がマッサージ店3箇所で8人の女性(うち6人がアジア系)を殺害する事件が起きた。生存者の証言として男が当時「すべてのアジア人を殺すつもりだ」と叫んでいたと伝えられた。これに対して歌手や俳優らをはじめ#StopAsianHateというハッシュタグムーブメントが起こった。 Stop AAPI Hateによると2020年3月から2021年2月までに3,795件のアジア系への差別行為が報告されている。 カリフォルニア州立大学サンバナディーノ校憎悪・過激思想研究センターによると2020年に起こったアジア系市民に対するヘイトクライムの件数は前年比で2.5倍に跳ね上がった。 カナダ カナダのオンタリオ州ジョージタウンの中国系小学生が、コロナウイルスにかかったか検査するゲームをされた。 パレスチナ 2020年3月1日、パレスチナ自治区ラマラ市で日本人女性2人がパレスチナ人女性から路上で「コロナ、コロナ」とからかわれ、その後、髪をつかまれたり、体を押されるなどの暴行を受けた。その後、犯人は逮捕された。 ウガンダ 2020年3月21日、東アフリカのウガンダ共和国で日本人女性が「コロナ、コロナ」と言いがかりをつけられ、側頭部を殴られた。 オーストラリア 2020年1月29日、オーストラリアメルボルンのヘラルドサンは「中国ウイルス パンダ病 (CHINESE VIRUS PANDAMONIUM) 」というタイトルを、またシドニーのデイリー・テレグラフは「中国人の子供は家にいろ (China kids stay home) 」というタイトルを一面で掲載し、内外で批判された。
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