南北格差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 02:27 UTC 版)
詳細は「南北経済格差(英語版)」を参照 戦前からミラノとローマがイタリア金融の中心である。主要銀行としてはEU圏1位の資本を持つウニクレディトなどがある。 イタリア経済が依然として抱える課題は、南部の工業化の遅れである。ミラノやトリノなどの北部は工業化が進んでいるが、南部やサルデーニャなどの島嶼部は農業や観光業や軽工業中心で南北格差が大きい。中心工業地帯はジェノヴァなどで、工業化が遅れている南部のターラントには半官半民の製鉄所があり、第三のイタリアが新たな経済の牽引役となっている。政府による工業化育成の努力も、労働力の問題や、多くの産業がマフィアとの結びつきによって成り立っているため大企業の南部進出が阻まれるといった複雑な現実に直面している。多くの労働者が職を求めて南部から北部へ移住しており(国内移民)、南部で耕作が放棄されるなどして一時期は大きな社会問題となった。 国内移民はルーマニアやポーランドなど、ほかのEU諸国からの移民や中東系の外国人移民が増加した現在では言及されることが少なくなった。しかし依然として北部・中部に比べて産業が乏しい南部・島嶼部という経済格差がある。北部の7州2自治州(ピエモンテ州、リグーリア州、ロンバルディア州、ヴェネト州、エミリア=ロマーニャ州、ヴァッレ・ダオスタ自治州、トレンティーノ=アルト・アディジェ自治州、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア自治州)、中部4州(トスカーナ州、ウンブリア州、マルケ州、ラツィオ州)はフランスのパリ周辺やドイツ西部の工業地帯に匹敵する経済力を有している。 対する南部5州(アブルッツォ州、カンパニア州、バジリカータ州、プーリア州、カラブリア州)は、戦後復興で著しい経済成長を遂げたアブルッツォ州を除いてポルトガルやギリシャなど欧州後進地域と同程度の経済水準から抜け出せていない。島嶼部2自治州(サルデーニャ自治州、シチリア自治州)では資源豊かな島という似た歴史を持ちながら明暗がはっきり分かれており、情報産業が発展したサルデーニャ島に対してシチリア島は農業中心で犯罪組織による経済への悪影響もいまだ根強い。
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