南下政策とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 政治 > 政治活動 > 政策 > 南下政策の意味・解説 

南下政策

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/28 08:08 UTC 版)

南下政策(なんかせいさく)とは、ある国家が南方に進出しようとする政策。単に南下政策といった場合はロシア帝国の南下政策を指すことが多い。

ロシアの南下政策

不凍港と南下政策

ロシア南下政策の最大の目的は、年間を通して凍結することのない「不凍港」の獲得だった。

18世紀以降海洋進出に乗り出したロシアは広大な面積を有するものの、ユーラシア大陸の北部に偏って存在するため、国土の大部分が高緯度に位置し、黒海日本海沿岸やムルマンスク地区カリーニングラード(旧ケーニヒスベルク。なおカリーニングラード州がロシア領となったのは第二次世界大戦後のことである。)等を除き、冬季には多くの港湾が結氷する。そのため、政治経済上ないし軍事戦略上、不凍港の獲得が国家的な宿願の一つとなっており、歴史的には幾度となく南下政策を推進してきた。

ロシアの国土は、が長く、寒冷・多雪などといった現象をもたらし、一部を除けば農業生産は必ずしも高くない。ここでは高い密度人口を支えることが困難であり、人々はよりよい環境を求めて未開発の周辺地域に移ろうと努める[1]。なかでも、より温暖な南方の土地を求める願望には根深いものがある[1]。一方、ロシア人は概して政治的権力による統制を極度に嫌うアナーキーな傾向をもち、このようなロシア人気質はこうした膨張主義を助長している[1]。ロシアの人々は国家からの介入を嫌い、辺境へ、権力の外側へと向かおうとするのであるが、権力の側もむしろこれを利用して、人々が苦労して入植して開墾した土地に後から追いつき、その政治力・軍事力を用いて労せず入手するということが繰り返されてきた[1]。これは、第三者からみれば、官民一体の南進運動であるかのように映り、それゆえロシア国外の人々からすれば強い警戒感を免れないものであった。

人口においても資源において西欧諸国とは比較にならない大国ロシアが不凍港を獲得し本格的に海洋進出を始めることに対して、西欧諸国は地政学の見地から並々ならぬ脅威を感じ、ロシアの南下政策を阻止することに非常な努力を注ぎ、この衝突が19世紀の欧州史における大きな軸となった。

汎スラヴ主義・東方正教会・マルクス主義(社会主義)

ロシア帝国の南下政策は、主にバルカン半島中央アジア中国及び極東の三方面において行われた。ロシア自身がスラヴ民族とギリシア正教圏(東方正教会)の盟主を自負していたこともあり、バルカン半島においては汎スラヴ主義と連動し当地での民族国家樹立を後押ししたが、一方では宗教も絡み、オスマン帝国オーストリア=ハンガリー帝国との対立の要因ともなった。

ロシア革命後のソビエト連邦は、帝国主義に基づいた膨脹政策を放棄したものの、当初は公然と革命輸出英語版を唱えていたこともあり、革命の波及を恐れる列強によって封じ込め政策の対象となる。冷戦時代になると、社会主義陣営を拡張する動きが、かつての南下政策と同様の図式で語られることが多かった。

南下政策の諸相

主な事例

紛争も含めると、戦後においては次のような事例があげられる。

脚注

注釈

  1. ^ パリ条約では黒海沿岸の基地の撤去と非武装化が決められ、これは、ロシア南下政策にとっては大きな挫折の第一歩を意味していた。また、クリミア戦争の敗北によってロシアの後進性が明らかになったことから、新帝アレクサンドル2世は大改革に乗り出し、1861年農奴解放令を発布している。

出典

参考文献

関連項目

外部リンク


南下政策

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 15:09 UTC 版)

マイヤー・ランスキー」の記事における「南下政策」の解説

故ロススタインが深く関わっていた賭博リゾートサラトガスプリングスコステロと共に違法賭博ノウハウ学び1933年の「禁酒法廃止前後してニューヨークの外に進出したケンタッキーフロリダニューオリンズ西海岸などに次々とヤミ賭博拠点作った。カーペットジョイント(高級賭博クラブ)が事業中核だったが、競馬ドッグレース手掛け私設馬券場、競馬通信社支配したシーゲル西部派遣しロサンゼルス拠点作りネバダ州賭博合法化によりラスベガスにも進出開始した1938年当局の手及ばないキューバに目をつけ、バティスタ政権賄賂一説300ドル)を送って賭博リゾート利権独占した。トラフィカンテJrカルロス・マルセロ全米ギャング仲間儲け分かち合った儲けた金はスイスダミー会社送金資金洗浄した(マネーロンダリング)。

※この「南下政策」の解説は、「マイヤー・ランスキー」の解説の一部です。
「南下政策」を含む「マイヤー・ランスキー」の記事については、「マイヤー・ランスキー」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「南下政策」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



南下政策と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「南下政策」の関連用語

南下政策のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



南下政策のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの南下政策 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのマイヤー・ランスキー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS