ホトトギス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/12 02:30 UTC 版)
天下人とホトトギスの喩え
三人の天下人(三英傑)の性格を、鳴かないホトトギスをどうするかという題材で後世の人が言い表している(それぞれ本人が実際に詠んだ句ではない)。これらの川柳は江戸時代後期の平戸藩主・松浦清の随筆『甲子夜話』巻53に見える[3](q:時鳥#狂句)。
以下に引用とその解釈を記す。
- 「なかぬなら殺してしまへ時鳥 織田右府」(織田信長)
- この句は、織田信長の短気さと気難しさを表現している。
- 「鳴かずともなかして見せふ杜鵑 豊太閤」(豊臣秀吉)
- この句は、豊臣秀吉の好奇心旺盛なひとたらしぶりを表現している。
- 「なかぬなら鳴まで待よ郭公 大權現様」(徳川家康)
- この句は、徳川家康の忍耐強さを表している[注釈 3]。
- 「鳴け聞こう我が領分のホトトギス」(加藤清正)
- この句は、加藤清正の配慮を表している。
なお、松下電器(現:パナソニック)の創業者である松下幸之助は生前、これらの句に対抗して「鳴かぬなら それもまた良し ホトトギス」と詠んだことで知られる[注釈 4]。
切手
3円普通切手
- 1954年(昭和29年)5月10日発売
- 1971年(昭和46年)7月15日発売 刷色変更、“NIPPON”追加
- 1988年(昭和63年)5月22日発売 60円 国土緑化運動 屋島とホトトギス
- 2010年(平成22年)11月29日書体変更の発表[4]
- 2015年(平成27年)9月30日販売終了[5]
県の鳥
- 香川県:1966年(昭和41年)5月10日選定[6]
- 岡山県:1964年(昭和39年)にホトトギスを県の鳥に指定したが、托卵性のイメージの悪さ等を理由に1994年2月に県民投票で「県民の鳥」としてキジに変更された。
人との関わり
別名
和名では「あやなしどり」などとも言う。また異名が多く、アヤメドリ、イモセドリ、ウヅキドリ、ウナイドリ、サナエドリ、シデノタオサ、タチバナドリ、タマムカエドリ、トキツドリ、フジョキ、ユウカゲドリなどと呼ばれる[要出典]。
注釈
- ^ 「ホトトギス目ホトトギス科」と書かれることもあるが、カッコウ目カッコウ科と同じものである。
- ^ 「杜鵑」「杜宇」「蜀魂」「不如帰」などは、中国の故事「杜鵑の啼血」にちなむ。故事の節で説明。
- ^ 家康の句にある郭公(ホトトギス)とは前田利家のことを指し、家康は利家が死ぬのを待っていたとする説がある[要出典]。
- ^ ただしこの句は、根岸鎮衛の著になる『耳嚢』にある紹巴の句「なかぬなら鳴かぬのもよし郭公」と同趣向である。また織田信長の七男・織田信高の系統の旗本織田家の末裔であると自称している(彼が織田信高の子孫にあたるという第三者視点での明確な証拠は本人家族どちらからも全く明示されていない)フィギュアスケート選手の織田信成も、テレビ番組のインタビューにおいて、信長を詠んだ句への返句として「鳴かぬなら それでいいじゃん ホトトギス」と、松下と同じような句を詠んで話題になった。なお種田山頭火は「鳴かぬなら鳴かなくてよいホトトギス」のパロディを作っている。(『草木塔』所収)
出典
- ^ “トピックス:公益信託 サントリー世界愛鳥基金”. www.koueki-suntory-aityou.jp. 2024年5月12日閲覧。
- ^ 加藤徹『怪力乱神』中央公論新社、2007年8月10日、161-164頁。ISBN 978-4-12-003857-0。
- ^ 「夜話のとき或人の云けるは、人の仮托に出る者ならんが、其人の情実に能く恊へりとなん」として、「「郭公を贈り参せし人あり。されども鳴かざりければ、 なかぬなら殺してしまへ時鳥 織田右府 鳴かずともなかして見せふ杜鵑 豊太閤 なかぬなら鳴まで待よ郭公 大権現様」
- ^ 『普通切手の一部券種で使用している書体の変更』(PDF)(プレスリリース)郵便事業株式会社、2010年11月29日 。2022年6月9日閲覧。
- ^ “普通切手の一部券種の販売終了” (PDF). 日本郵便株式会社 (2015年9月1日). 2022年6月10日閲覧。 “別紙1”
- ^ “都道府県の鳥について”. 日本鳥類保護連盟. 2013年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月27日閲覧。
- 1 ホトトギスとは
- 2 ホトトギスの概要
- 3 形態
- 4 天下人とホトトギスの喩え
- 5 脚注
- ホトトギスのページへのリンク