デンプン 原料となる植物とそのデンプンの性質

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デンプン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 00:10 UTC 版)

原料となる植物とそのデンプンの性質

穀類

トウモロコシ

トウモロコシ澱粉。いわゆるコーンスターチである[1]。世界で生産されるデンプンの約8割はトウモロコシ澱粉(コーンスターチ)である[1]。アミロース含量25%。

原料となる品種は、食用として一般に広く認知されているスイートコーン(甘味種)や ポップコーン(爆裂種)などは用いず、デントコーン(馬歯種)が使われる。イエロー種デントコーンが大半を占めるが、その他一部の特殊用途向けにホワイト種デントコーンが原料として用いられる。

粒径2-30µm、平均粒径15µmで小さめ、非常に細かく角張っている。

安価かつ品質が安定しており、食品用には甘味料、プリンの凝固剤、ビールの副原料などに利用される[1]。また工業用には製紙・段ボール製造の糊料としても使用される[1]

白色度は高く、吸湿性は少なく、灰分は最も少ない。一方、蛋白質、脂質の含量が多め。糖化製品原資として多く用いられる。糊化時の粘度は中庸だが安定性が高く、接着力や糊液の浸透性も高いため、加工デンプン原料として用いられる。黄粒種から取り出された澱粉も色としては白色だが、一部の用途(錠剤などの製薬用途・和菓子等のとり粉などの食品用途)向けには白粒種を原料として更に白色度の高い澱粉(ホワイトコーンスターチ)を取り出して用いている。

  • ワキシートウモロコシ(糯トウモロコシ) - 糯トウモロコシ澱粉、ワキシーコーンスターチ。アミロースをほとんど含まない。アミロペクチンのみで構成される。糊化温度は低く、透明なゲルを形成する。
  • ハイアミローストウモロコシ - ハイアミローストウモロコシ澱粉、ハイアミロースコーンスターチ。アミロース含量60-70%。糊化温度は非常に高い(135℃以上にしないと完全には糊化しない)。

小麦

小麦澱粉。アミロース含量25%。

粒径2-40µm、平均粒径15-40µmからなる大粒と2-10µmからなる小粒からなり、粒子は凸レンズ型。

品質のばらつきが多く、多くの製造所で粒度区分と純度に従って等級を指定している。大粒子区分を精製した特級品は糊化温度が低く、冷却時の粘度が高くなる。他のデンプンと比較して糊化時の粘度はやや低いが、冷却時粘度が高くゲル化能力も高い。糊液の粘度安定性は良好で、老化しにくく離水も少ない。

大粒の高粘度の小麦デンプンは関西地方などで水産練り製品に利用されている[1]。また、小粒の低粘度の小麦デンプンは錠剤のベースに利用されている[1]

一般的には浮き粉と称されている。

米澱粉。アミロース含量15-20%。

米のデンプンは複粒であり、アミロプラストの中に複数のデンプン粒が内包されている。米粒胚乳中のデンプン粒は隙間なく詰まっている。登熟の際、高温や低温を受けると、形成異常が起こり、イレギュラーな形のアミロプラストが形成される。

平均粒径2-5µmと市販デンプン中最も小さい。このため製造上歩留まりを上げることは難しく(60%程度)高価になる。

デンプン粒の形状とその大きさから、微細な凹凸に付着し平滑面とする効果が大きい。

化粧品やそばやうどんなどの打ち粉に利用する[1]


マメ類

ソラマメ緑豆小豆など。アミロース含量30-35%。

粒径25-40µm(そらまめ)。

糊化温度がやや高く(80℃)、冷却時に硬いゲルを形成する。食品ではソース、フィリングとして利用される。緑豆春雨は緑豆デンプンを原料とする春雨である[1]。また、細胞デンプン(細胞膜に包まれた状態にあるデンプンのこと)は100℃においても糊化しないため、餡として用いられる。


イモ類

ジャガイモ

馬鈴薯澱粉。国内産のものとしては、北海道が一大産地として広く知られる。アミロース含量20-25%。

粒径2-80µm、平均粒径30-40µmと、市販デンプンの中で最大の粒形となっている。

いわゆる片栗粉は本来はカタクリ地下茎から採取したデンプンであるが、市場に流通している片栗粉と呼ばれるもののほとんどは馬鈴薯澱粉となっている[1]。デンプンとしてはリン酸の含量が多い。

加熱時の糊化温度は低く、膨潤力、溶解力が強い。透明で粘着力が強い糊液が得られる。糊化時の糊液の粘度は非常に高い。ただし、粘度の安定性は乏しい。食塩等の塩類により糊化の状態が大きく変化する。塩の存在下では、糊化が抑制され、糊液も離水しやすくなる。糊化に用いる水の水質、あるいは調味により容易に糊化が抑制されるため、扱いが難しいといわれる。

春雨の原料、オブラートや増粘剤の原料のほか、関東地方などでは水産練り製品に利用されている[1]


サツマイモ

甘藷澱粉。芋葛。沖縄県では「ンムクジ」と呼ばれ多用される[5]。国内産のものとしては、鹿児島県が一大産地として広く知られる。アミロース含量15-20%。

粒径2-35µm、平均粒径18-20µm、形状は釣鐘形。

加熱時の糊化温度はやや高く、完全に糊化する。

液化酵素(α-アミラーゼ)により極めて溶けやすいため、ほとんどが糖化原料となる。ゲル形成時に独特の食感を持つため、食品用として、春雨葛切り、自然乾燥品がわらびもちの原料となる。また、ラムネ菓子の原料としても用いられている。

タピオカ(キャッサバ)

タピオカでんぶん。キャッサバ粉。アミロース含量15%。

粒径2-40µmで粒径分布は広く、形状は多角形または半球形。

加熱時の糊化温度は低く(59℃)、加熱により容易に吸水膨潤し、80℃以下で完全に糊化する。糊液の透明度が高く、粘度も高い。ゲル化しにくい。このため、食品の増粘剤として優れている。また、粘度が高いために、デンプンのりの原材料として使用されており、比較的身近な存在である。

半糊化乾燥の粒状品がタピオカパールとして流通している。

野草類

カタクリ

片栗粉とは、本来は自生するカタクリの地下茎から取るデンプンをいう[1]。ただし、先述のように市場に流通する片栗粉は、ジャガイモのデンプンである[1]

ワラビ

ヤシ類

サゴヤシを原料とするデンプンは東南アジアで食用とされソースの原料にもなっている[1]


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 植物から作られるでん粉”. 独立行政法人農畜産業振興機構. 2019年12月6日閲覧。
  2. ^ a b c 下田道子、和田淑子共編著「栄養士養成シリーズ」『改訂調理学』光生館、1998年、p.156、ISBN 4-332-70126-7
  3. ^ 3. 食器等の洗浄効果の確認検査”. 文部科学省. 2020年6月5日閲覧。
  4. ^ Hediger M, Rhoads D (1994). “Molecular physiology of sodium-glucose cotransporters”. Physiol. Rev. 74 (4): 993–1026. PMID 7938229. 
  5. ^ 仲底 善章「ンムクジ作りと芋料理--子ども体験学習教室「芋とイモ料理づくり」の実践より」 (pdf) 『沖縄県立博物館紀要』第25巻第25号、沖縄県立博物館、1999年、 117-128頁、 ISSN 03850285NAID 400040946452016年7月21日閲覧。
  6. ^ マーブルプリント
  7. ^ 和風総本家「密着日本の職人24時京都何を作っている職人さん?」TVでた蔵トップ, 2015年1月4日
  8. ^ “違法食品添加物事件が海外波及-食の安全に揺れる台湾”. 産経ニュース (産経新聞社). (2013年6月8日). http://sankei.jp.msn.com/world/news/130608/chn13060807010001-n1.htm 2013年6月8日閲覧。 


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