21世紀以後の動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 04:37 UTC 版)
「ドリーム号 (東京 - 京阪神)」の記事における「21世紀以後の動向」の解説
バス事業に対する規制緩和が行われた2000年頃から、大きな需要が見込める首都圏と京阪神地区を結ぶ夜行高速バスの競争が激化しており、以下のような傾向が見られる。 首都圏と京阪神地区を結ぶ夜行高速バスは、本家のJR系ドリーム号以外の他社路線バス(関西・関東の大手私鉄系)に加え、近年格安のいわゆる高速ツアーバス(2013年8月1日以降はその多くが「新高速乗合バス」に移行)の参入もあり、かなりの激戦区となっている。もともと国鉄の東海道新幹線や在来線夜行列車の補完目的であったドリーム号は、おおむね発車時刻が22時以降(21時台に発車する便もある)と全体的に遅めの設定となっているため、1日の時間を有効に使えるメリットから根強い人気がある。特に週末(金 - 日曜日)では予約を取ること自体が困難な盛況ぶりである。発車時刻が遅くなった背景として、東海道新幹線「のぞみ」や関西国際空港発着便の飛行機が21時台まで運行されているため、この時間帯でもその日のうちに目的地に到達できるようになったことも挙げられる。 全体的に発車時刻が遅い分、東京行は首都高速道路、大阪行は新御堂筋(2009年9月10日廃止の青春メガドリームを除き新御堂筋を通行)での朝の渋滞に巻き込まれやすく、到着時間が見込めないリスクもある。平日と土曜・休日では首都高速・新御堂筋の混雑度にかなり差があり、加えて道路工事や事故による渋滞等で東京・大阪入りが遅れた場合には遅延が積み重なり、平日到着の場合は大幅に遅延することもあるが、定時より早着する場合もある。また、かつては連休時などで中国自動車道の宝塚東トンネル付近から名神高速道路まで伸びた渋滞により、一部便の大幅な延着も見受けられた。現在では関西側においては第二京阪道路全通により京滋バイパス - 第二京阪道路 - 近畿自動車道の迂回可能となり、延着リスクの幅が大幅に低減している。一時期、中央自動車道(中央ドリーム)と東名高速道路(ドリーム)の本線上の停留所でも乗車扱いを行っていたが、2008年1月16日改正でこの取り扱いは終了している。代わって中央ドリーム号は同日より南武線の谷保駅での客扱いを開始した。なお、2010年7月1日の改正から、中央道日野での乗車扱いが再開された。また、中央道八王子に新たに停車するようになった。ただし、一部便、臨時便は同バス停を引き続き通過している。中央道八王子のJRバスの停車は2009年7月31日に運行を終了した南アルプス号以来であるが、その後ドリーム号の中央自動車道経由便自体が減少しているため、停車便の数はごくわずかである。2021年10月28日改正で中央自動車道経由便が廃止されたため、中央道本線上停留所での客扱いは終了している。 京阪神地区では、しばらくは大阪駅桜橋口・京都駅烏丸口(ドリーム京都号)・奈良駅(ドリーム奈良号)・神戸駅(ドリーム神戸号)および南海難波駅(のちなんば高速バスターミナルに変更、ドリーム難波号)・南海堺駅(ドリーム堺号)始発のみであったが、2001年からはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)、2004年からJR難波駅(湊町バスターミナル (OCAT) )、2006年からは天王寺駅・王寺駅にも立ち寄っていた。一方で2010年7月の改正で京都駅始発便は全廃し、京都駅は大阪・奈良・神戸系統の立ち寄りに変更となった。なお、2020年5月1日改正で王寺駅、同年12月1日改正でJR難波駅(湊町バスターミナル (OCAT) )、天王寺駅の乗り入れは終了となり、京都駅始発便も2020年12月1日改正で設定が再開された。 当初、プレミアムドリーム号(季節運行の81・82号)およびドリームなんば・堺号(ドリーム堺号としての営業開始当初より)は東京駅、新宿駅の両方で客扱いを行っていた(他ドリーム和歌山号・神戸発着便(通常・青春)や四国系統の一部なども同様)が、現在は2010年に首都高速中央環状新宿線が開通したこともあって、現在は全便が東京駅、新宿駅の両方に立ち寄るようになった。また、2012年7月20日の改正で中央道経由便が新宿駅発着から新宿駅経由の東京駅に延長されたが、その後中央道経由便は減少し、2021年10月28日改正で廃止された。 首都圏と京阪神を結ぶ夜行高速バス(ツアーバス→新高速乗合バス含む)の数が急増し、過当競争にある中で、「ドリーム号」はJRバスが運行するため、ほとんどの路線ではJR駅の「みどりの窓口」でも乗車券の発券・購入が可能であった(2013年3月10日乗車分をもって、「みどりの窓口」での発売は終了した)。このため私鉄系より圧倒的に発券窓口が多く乗車券が買いやすいこと、また老舗であるため知名度も高いことや、特にツアーバスで見られる「乗り場がわからず乗り遅れてしまう」などのトラブルに巻き込まれることや、零細事業者による運営が多いことに起因する各種サービスの脆弱さ、交通事故が起こるリスクの高さなどといった心配もないという安心感から、営業面では私鉄系夜行バスやツアーバスを圧倒しており、「ドリーム号」が支持を得る大きな理由に挙げられていた。ただし近年ではJR系・私鉄系共にコンビニやインターネット上での購入や予約が可能で、この面でのアドバンテージは徐々に縮まりつつあったが、その後高速バスネットに一本化され、取り扱っている店舗の少ないコンビニでの購入に制約がかかっている。 運賃も、曜日や時期によっては早売21・早売1などの早期購入割引により、10,000円前後でドリーム号で往復できるようになるなど、さらなる価格競争が進んでいる(2008年7月1日より「早売5」も設定)。 追加料金の支払いで快適で安全なサービスを提供する便(プレミアムドリーム号など)がある一方、低価格だが4列シートやトイレ無しの車両で運行する便(青春や超得割など)も登場するなど、この分野でも分化の傾向が見られた。一時期、中央ドリーム号も含めた東京(東京駅・新宿駅)⇔大阪(大阪駅)間では、使用車両のグレードとサービスに応じて、デラックス便・一般・廉価便(青春)・超廉価便(超得割・青春エコ)の4種類、女性の場合はさらに女性専用車(これもデラックス便・通常便・廉価便あり)が加わって5種類となり、目的に合わせた幅広い選択が可能となっていた(2011年7月15日のダイヤ改正で廉価便は「青春エコドリーム号」に一本化されている)。その反面、細分化によりドリーム号の通常版は大幅に減便され、2020年12月1日改正で設定が無くなっている。 2011年7月15日のダイヤ改正まで運行されていた超廉価便のうち、「超得割青春号」は「超特割青春号」と誤記されている文献や掲示物もあるが、正しくは「超得割青春号」である。超得割青春号の乗車券を購入する際は、以下の条件すべてに同意の上購入することになる(JRバスチケットセンターの場合は窓口で係員が購入者に呼び掛ける場合もある)。超得割青春号補助席の発売は、2009年2月28日の出発便をもって終了している。バス車内に便所がないため、4箇所で休憩をとる(この他に、乗務員交代による停車箇所もあるが、原則として乗客は下車できない)。 休憩箇所では車内灯を原則として点灯する。 規制緩和による高速バス新規参入への対抗策を講じる必要から、効率化を図るために一般夜行用車と昼行特急車が共通運用となったことで、終点に到着後、夜まで車両基地で過ごす以外に、車内清掃などを済ませた後、昼特急や、間合い運用としてその他の昼行高速バスとして折り返す運用が設定されていた時期がある。大阪口では徳島便や岡山便、中国ハイウェイバスなどに、東京口では神栖・波崎線(はさき号)やつくば号(当時設定されていたつくばセンター発着便の出入庫便としての役割もある)、御殿場プレミアム・アウトレット線などに入っていた。 2009年3月28日からETC搭載の軽自動車、普通車による「土日・祝日地方部1000円割引」が2年間限定でスタート、高速バスは新たなるライバルに追い込まれた(割引は2011年6月20日で終了)。「ドリーム号」も決して例外ではなく、以前から渋滞の激しかった中国自動車道の宝塚東トンネル付近の渋滞が早朝から名神高速道路の高槻付近まで発生し、一部便の延着も見受けられた。ただ、東京圏と大阪圏には割引対象外である大都市近郊区間が設定されており、ガソリン価格を合わせると場合によっては最安値の「超得割青春号」「青春エコドリーム号」より高くなることもあった。 上記のような首都圏と京阪神を結ぶ高速バス(路線バス・ツアーバス)の競合激化 によって、在来線(東海道本線)の夜行列車は競争力を失う結果になり、戦前の「名士列車」からの系譜を持つ東京駅と大阪駅を結ぶ夜行急行列車「銀河」が、2008年3月14日限りで廃止された。これにより、東京・横浜と京阪神地区を結ぶ在来線の夜行列車は事実上消滅した(上り東京行サンライズ瀬戸・出雲の三ノ宮・大阪での乗車のみとなった)。また、ムーンライトながらも2009年3月ダイヤ改正より臨時列車となった。
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