環境護岸整備と土木的デザインの展開とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 環境護岸整備と土木的デザインの展開の意味・解説 

環境護岸整備と土木的デザインの展開

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/31 19:07 UTC 版)

太田川基町護岸」の記事における「環境護岸整備と土木的デザインの展開」の解説

2008年施工後。 1974年施工前。 かつてこの一帯原爆スラムであり、写真には河川占用しているものが見える。北(上)側が1970年代整備され基町アパートその方法論と実現され空間都市もたらす豊かさは、現在太田川展開する多様な水辺活用様子に見ることができる。中村らは設計とっかかりとして広島市三角州地域住民対象として、広島市太田川対すイメージ意識利用に関する調査行っている。また、現地踏査河川改修地誌都市計画等の資料収集行い調査報告書として、太田川全体に関するゾーニング構想計画策定護岸基本設計は全川に関する調査データ基礎として、 さらに現地での詳細な調査加えている。 そして太田川基町付近位置づけ設計方針のために意識調査現地景観調査収集資料などから明らかになった太田川位置づけふまえてから設計方針定めている。このとき市民意識調査広島市について自由に思い出すものをあげてもらうと、原爆平和、川と都市交通広島カープ海の幸広島かき城下町都心地区山と丘陵、都市復興発展安芸の宮島の順であったが、太田川広島代表するシンボルであることが認識された。また、広島市地図描いてもらう調査では、連想的太田川と結びついているはずの川辺施設広島平和記念公園縮景園などが必ずしも結びついていなく、このため太田川基町では沿川の中央公園広島城基町アパート等との景観結合をはかり、水面越し見られる適当な所を整備して水の都イメージ強化すること、基町周辺地区太田川なかでも市民によく知られている場所であるからこの地区改良太田川全体イメージアップにつながる重要地区であるため、河岸デザイン景観面を優先させる方向整備すること、空鞘橋を境に上·下流部では川幅周辺それぞれの土地利用など雰囲気異なり違ったデザイン方針をとり、異なイメージ空間とすること、河川感潮部のため、潮の干満で約3メートル著し水位変化生じることもあり、意識調査結果当地区は近く住民身近な川として意識されていず、水辺へも近づきにくい比較的悪い評価なされているため、改修時に水辺近づきやすくするために堤防小段階段等を設置し水位変化対応させることを目指したという。 また、水辺景観は、水際近づきやすい、近づきやすく見えることが重要であるという理論から、水辺近づきやすく見える形として堤防小段突出した水制工階段等を設けていく。河川100メートルは、対岸の人が活動しているようすがわかる距離であり、対岸との一体感もたせるよう、護岸変化アクセントとなる石段設け、鍵型の凹凸石積みとし、対岸目を向ける工夫をしていく。河川屈曲部の外側凹部は囲ばれた感じするところで、内側凸部開放的な感じのところであるため、それぞれ空間特性をより強調するデザイン形態をとり、凹部には凹型空間設け凸部もそれにあわせていっている。 この他転落防止の柵を、景観面での配慮から石積み設計もしくは植栽用いることを考慮したが、実際には、ボックスウッド植栽としている。 設計では河川公園のようなレクリエーションのための虚構空間庭園のような芸術空間ではなく実用的自然的な独自の空間であるとの認識をもち、公園的な施設できるだけ排除しベンチなどのもつ機能河原になるべくふさわしい物として転石使っている。材料の有効利用河川歴史尊重味わいのある材料、時を経て景観価値の出る素材としてコンクリート表面には用いず、現護岸花崗岩切石再利用もしくは同じ材料用い水制歴史的存在として保存再生はかっていく。 周囲右岸から水面越し広島城見えることから、広島城中央公園風景とに調和するモチーフ石積みの緑の面とを生かし工事治水影響少な既存樹木はなるべく残し活用をはかるほか、近く住民利用遠方住民利用通勤·通学休日サイクリング利用散歩休息水遊びなどが、空鞘橋下流想定され、さらに空鞘橋上流部では高水敷での運動、木遊びなどが空鞘橋下流想定され、さらに空鞘橋上流部では高水敷での運動想定されている。 設計時には制約条件整理台風時、高潮位を伊勢湾台風と同じ規模台風がきて広島湾満潮重なったときの高潮想定計算4.4メートルという広島湾平均潮位よりの高さから、それに余裕0.6メートル加え堤防高は5メートルとしている。そして流量は1920トン同様の台風時の旧太田川の流すべき量として想定してそのために必要な河川横断面積を確保している。堤防法線堤防の川側の肩の線は現在の河岸の線に沿ったものとし、大幅な変更はしないなど、本川条件ふまえて設計対象地区空鞘橋の上流と右岸左岸とに大きく分け河岸土地の斜のある左岸デザイン重点をおいて代替含め案を4案作成している。その中の1案は原則として河岸風景保存設計目標とし、他案は原則として緑地イメージ強く水制工残さず左岸小段のある高水敷緑地右岸現状緑地一部堤防小段設けたもの、その緑地風より石積みイメージ強めたものでどちらかといえば城郭風で水制工保存して親水広場として利用するもの、 それらの考え中間の緑地風と城郭風の中間でさらに橋下流部高水敷の高さを下げて親水性のあるテラス特徴をもたせ上流部思い切った高水敷広場したもの、などを用意していた。 さらに設計時にディテール重要な景観上のポイントであることから、あらかじめ留意点として護岸上端の処理としてコンクリート表面石張り考慮護岸材料として花崗岩切石玉石使い方大きさ指定コンクリート表面仕上げ高水敷土工ディテール広島城展望するための場所のしつらえという点を示して、これらは実施設計時により詳しく検討されている。 こうした基本設計の4案のうち最終的に中間の案と決まり、それをベースとした実施設計前述のとおり4期わたって行われる。各期ごとに別々に1/300-1/600程度平面図と、 1/100断面図それ以上詳細図とで設計施工進められた。 その後太田川取組み他地域への広がりはかなわなかったが、1990年代頃から当時建設省土木学会景観に関する部会展開するシビックデザイン運動の活発化各種モデル事業推進ともに、土木景観デザイニング取り組み多様な土木分野へと展開した。この時期主な当該事例として、熊本アートポリスによる牛深ハイヤ橋(天草市,平成9年(1997) )や鮎の瀬大橋(上益城郡,平成11年)といった橋梁もとより周辺施設との一体的河川環境空間実現した津和野流れ津和野川河川景観整備護岸整備(平成5年)、多様な主体調整により都市の顔となる空間創出目指し皇居周辺道路緑地整備事業(内堀通り他、平成7年)や、門司港レトロ事業(平成5年)などがあげられる空鞘橋上流護岸には背の高いポプラの木が中村指示切らず残された。その後たびたび植樹されている。空鞘橋下流護岸には練石積み水制工設計取り入れ突出部が設けられている。 平成7年原爆ドームの前の親水テラス完成し灯籠流し等に活用されている。その光景全世界に川の風景映される河岸にある緑地公共空間活用型のオープンカフェが現在展開されている。

※この「環境護岸整備と土木的デザインの展開」の解説は、「太田川基町護岸」の解説の一部です。
「環境護岸整備と土木的デザインの展開」を含む「太田川基町護岸」の記事については、「太田川基町護岸」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「環境護岸整備と土木的デザインの展開」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「環境護岸整備と土木的デザインの展開」の関連用語

環境護岸整備と土木的デザインの展開のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



環境護岸整備と土木的デザインの展開のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの太田川基町護岸 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS