環境負荷の増大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 03:31 UTC 版)
ハイブリッド車は低公害車とされているが、エンジンを用いた走行では排気ガスを排出するためゼロエミッション車には含まれない上、二次電池式電気自動車や従来の内燃機関車(ICEV、ガソリン車やディーゼル車など)に対して部品点数が多くなり、必然的に製造・廃棄にかかる環境負荷とコストの両面で高くなる。 またバッテリーをリサイクルするにしても行程が長くなるという問題がある。ライフサイクルアセスメントと言う概念があるように、リサイクル自体も環境負荷なしにはできない。トヨタが公開しているPVによると、そのリサイクル行程は「一度全国の解体屋からバッテリーを愛知陸運に集め豊田ケミカルで解体・下処理・破砕、その後住友金属鉱山で精錬、プライムアースEVエナジーで製品化した後トヨタの工場で車両に搭載」…つまり日本全国→愛知県→愛媛県→静岡県→愛知県→全国…という、通常の自動車リサイクルに比べ大がかりな流れになっている。そしてHVはエンジンも搭載しているので、内燃機関車のリサイクル行程も必要になってくる。ただしこの廃棄の部分の課題は、自動車メーカーも90年代からすでに燃費追求と並行して研究しており、トヨタ自動車は2015年時点で、廃車になった欧州の車両の使用済みバッテリーの91%を回収しており、将来は100%回収することを目指しているほか、またリビルド、リユースも駆使して工場や太陽光/風力発電の蓄電池などに転用している。またバッテリー自体の寿命も伸びてきており、バッテリーの交換をしないで廃車まで走れるケースも増えている。 いずれにせよ製造・廃棄の部分で内燃機関車より環境に悪いことを考えるとHVを低公害車として成立させるには燃費や低排出ガス性能で帳消しにする必要があるが、それが十分達成できているかには疑問を呈する声もある。例えば2008年に放送されたトップ・ギア Series11 Episode1でトヨタ・プリウス(2代目)を取り挙げた際には、この点がかなり痛烈に指摘されており、司会のジェレミー・クラークソンは「長期的に見るとランドローバー・ディスカバリーよりも環境に悪いという主張もある」とコメントしている。一方で長期的に見た場合、技術革新の関係で同じ仕組みのHVであっても燃費性能に差がつく以上、すでに普及による環境負荷の低減が廃棄・交換による負担を上回っている可能性もある。なお上記の議論は肯定・否定どちらも一つの予想・意見であり、いずれもデータによる裏付けが存在しないという点については十分な注意が必要である。
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