プリオン病
別名:伝達性海綿状脳症
プリオンと呼ばれる特殊タンパク質を病原とする疾患の総称。病原性を持つ異常プリオン蛋白が増加・蓄積されることで発症する。
プリオン病は脳や脊髄といった中枢神経系で増殖し、細胞を萎縮・荒廃させる。しばしば「脳がスポンジ状になる」と表現される。症状は脱力や運動失調、各種の脳障害の症状として表れ、高確率で死に至る。
ヒトが発症するクロイツフェルト・ヤコブ病や佝僂病、ヤギのスクレイピー、牛のBSE(牛海綿状脳症)などは、いずれもプリオン病の一種である。人畜ともに観察され、さらに異常プリオン蛋白の摂取によって他個体に伝播する性質を持つため、プリオン病は人畜共通感染症の側面も持つ。
関連サイト:
プリオン病とは何ですか? - 国立療養所 神経筋難病情報サービス
プリオン‐びょう〔‐ビヤウ〕【プリオン病】
伝達性海綿状脳症
(プリオン病 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/24 01:57 UTC 版)
伝達性海綿状脳症(でんたつせいかいめんじょうのうしょう、Transmissible spongiform encephalopathy、略称TSE)または伝播性海綿状脳症(でんぱせい—)はプリオン病の別名。プリオン病(プリオンびょう)は異常プリオン蛋白の増加による中枢神経疾患(感染症)の総称である。代表的な疾患にヒトのヤコブ病、羊のスクレイピー、ウシの牛海綿状脳症などがある。
- ^ Cotran; Kumar, Collins (1998). Robbins Pathologic Basis of Disease. Philadelphia: W.B Saunders Company. ISBN 0-7216-7335-X
- ^ Belay E. (1999). “Transmissible Spongiform Encephalopathies in Humans”. Annu. Rev. Microbiol. 53: 283–314. doi:10.1146/annurev.micro.53.1.283. PMID 10547693.
- ^ “Prion Diseases”. US Centers for Disease Control. 2007年5月13日閲覧。
- ^ 死の病原体プリオン. Rhodes, Richard, 1937-, Momoi, Kenji, 1941-, Amiya, Makoto, 1937-, 桃井, 健司, 1941-, 網屋, 慎哉, 1937-. 草思社. (1998). ISBN 4-7942-0832-4. OCLC 676344930
- ^ 鹿慢性消耗性疾患(CWD) 概要 (PDF) 食品安全委員会
- 1 伝達性海綿状脳症とは
- 2 伝達性海綿状脳症の概要
- 3 動物のプリオン病
- 4 外部リンク
プリオン病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:31 UTC 版)
詳細は「伝達性海綿状脳症」を参照 プリオンは、中枢神経系で細胞外凝集することで正常組織を破壊するアミロイド斑を形成し、神経変性疾患を引き起こす。この組織破壊はスポンジ状の「穴」が現れるのが特徴であるが、これは神経細胞中で起こる空胞形成によるものである。その他では、星膠症や炎症反応欠如といった組織学的変化が現れる。プリオン病の潜伏期間は一般的に非常に長く、一度症状が現れると疾患は急速に進行し、脳傷害や死へつながる。神経変性に関連する症候としては、不随意運動、認知症、運動失調、行動変化、人格変化などが現れる。 現在までに知られている全てのプリオン病(「伝達性海綿状脳症」と総称)は、治療法が発見されておらず致死性である。しかしマウスではプリオン感染に対するワクチンが開発されており、ヒトのワクチン創製の手掛かりになることが期待されている。さらに2006年には、一部の科学者により、プリオン産生に必要な遺伝子を欠損した遺伝子組み換えウシ(理論上、ウシ海綿状脳症に感染不能なウシ)が開発された。これは、プリオンタンパク質をコードする遺伝子を欠損したマウスが、スクレイピーのプリオンタンパク質の感染に耐性を持つという過去の研究結果に基づくものであった。 多種の哺乳類がプリオン病にかかるが、これはプリオンタンパク質(PrP)が全哺乳類の間で高い相同性を持つためである。しかし、種間に見られるPrPにはわずかな違いがあるため、種の壁を越えてプリオン病が伝達することが起こりにくくなっている。種の壁を越える例としては、ヒトのプリオン病である変異型クロイツフェルト=ヤコブ病は、通常ならばウシに感染しウシ海綿状脳症を引き起こすプリオンによって発病すると考えられており、その感染経路はプリオンに感染した牛肉である。 プリオンが原因となる疾病には、下記のものがある。 非ヒト動物スクレイピー - ヒツジ、ヤギ ウシ海綿状脳症(BSE、「狂牛病」) - ウシ 伝達性ミンク脳症(TME) - ミンク 慢性消耗病(CWD) - オジロジカ、エルク、ミュールジカ、ムース ネコ海綿状脳症(FSE) - ネコ Exotic ungulate 脳症(EUE) - ニアラ、オリックス、クーズー ダチョウの海綿状脳症(ただし伝達性は未確認) ヒトクロイツフェルト=ヤコブ病(CJD)医原性クロイツフェルト=ヤコブ病(iCJD) 変異型クロイツフェルト=ヤコブ病(vCJD) 家族性クロイツフェルト=ヤコブ病(fCJD) 散発性クロイツフェルト=ヤコブ病(sCJD) ゲルストマン=ストロイスラー=シャインカー症候群(GSS) 致死性家族性不眠症(FFI) クールー病
※この「プリオン病」の解説は、「プリオン」の解説の一部です。
「プリオン病」を含む「プリオン」の記事については、「プリオン」の概要を参照ください。
- プリオン病のページへのリンク