ニンマ派とは? わかりやすく解説

ニンマ派

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/22 09:12 UTC 版)

ニンマ派は、チベット仏教四大宗派における最古の流れの呼び名である[注 1]。正式には「ンガギュル・ニンマパ(旧訳古派)」といい、9世紀まで続いた古代吐蕃時代に翻訳された古タントラ(古訳密教経典)に依拠する古い宗派であることを意味する。他の三宗派と同じように声聞独覚乗(狭義の小乗)・菩薩乗(大乗)・秘密真言乗(金剛乗)の三乗を併修することを説く。


  1. ^ 残りはサキャ派カギュ派ゲルク派
  2. ^ 梵本は発見されていないが、リンチェンサンポによるチベット訳『幻化網なるタントラ王』がある(松長有慶編著 『インド後期密教(上)』 春秋社 p86 参照)。
  3. ^ 通称チベット名「サンウェ・ニンポ」、通用サンスクリット名「グヒヤガルバ・タントラ」、和訳名「秘密蔵タントラ」または「秘密心髄タントラ」。ニンマ派においてマハーヨーガのタントラ部に分類される幻化網(ギュントゥルタワ)タントラ群の「十八大部」に属し、それらを縮約した中心的タントラとして重んじられる。訳者はパドマサンバヴァの二十五大弟子のひとりに数えられるマ・リンチェン・チョク英語版とされる。
  4. ^ 大円満とも漢訳。
  5. ^ サムイェー寺の建立については諸説あるところである。「賢者喜宴」には開始763-774年終了とあり、「西蔵王臣記」には開始767-771年終了とある。日本における吐藩の歴史研究を参考にティソン・デツェン王の生没を(Khri srong lde brtsan:生742年-没797年)とし、在位を(755年頃-797年)と比定。また、サムイェー寺の完成を「西蔵王臣記」に基づく771年、「サムイェー寺の宗論」を792年とする。
  6. ^ ハーシャン・摩訶衍(hwa shang ma hā ya naともいう。ハーシャンとは和尚。中国僧を指す。
  7. ^ 代表的な氏族としては、ソ家、スル家、ヌプ家、ニャク家、ニャン家、マ家などが挙げられる。その多くは、仏教導入以前から土着の宗教儀礼を司る家系であった。
  8. ^ 「ラマ・サンドゥ」には、「ウッディーヤナの西北に…」で始まる「七句の祈願文」が含まれるほか、後代発展した密教舞踊「グル・ツェチュ・チャム」の典拠となっている。
  9. ^ 『古タントラ集成』は、その後、テルダク・リンパとロチェン・ダルマシュリーが編纂し、クンキェン・ジクメリンパによってデルゲ版が作られた。ブータンやネパールなどに別系統の写本がいくつか保存されている。
  10. ^ ンガリィ〔現在の阿里〕地方出身の大学者で、今日のニンマ派における戒律の基礎を作った人物。
  11. ^ 現存『古タントラ集成』はコンラ・ロチェン系とも言われるツァムダ写本、ツェワン・ノルブ写本に基づく西チベット・ネパール系写本、ジクメ・リンパによるデルゲ版がある。現存『ニンマ・カマ集』はギェルセー・シェンペン・ターイェーによって18巻本が編纂された。それをドゥジョム・リンポチェが58巻に増加、さらにネパール・シェチェン寺で110巻に増補して出版した。カトク寺では新たに編纂された120巻本が出版された。
  12. ^ ニンマ派のソギェル・レラブ・リンパはダライ・ラマ13世の師の一人であり、ダライ・ラマ13世が1895年から国政を担当するに際して、彼の権威を確立するきっかけとなった政治事件に若干関わっている。
  13. ^ 高僧の転生者。以下、化身ラマと表記する。
  14. ^ 旧訳の幻化網タントラのテキストは、田中公明の研究によって、秘密蔵タントラの先行経典である「金剛薩埵幻化網秘密一切鏡タントラ」のテキストであることが解明されている
  1. ^ a b c d 立川 p.33
  2. ^ 『チベット(下)』(山口瑞鳳 著)、p27表。
  3. ^ 『古代チベット史研究』(佐藤長 著)、pp.391-497。
  4. ^ 『チベット入門』(ペマ・ギャルポ 著)
  5. ^ Dudjom p.690
  6. ^ Dudjom p.575
  7. ^ Dudjom p.794
  8. ^ Mindrolling History Project: Part II "Terchen Rigzin Gyurme Dorje aka Chögyal Orgyen Terdag Lingpa" [1]
  9. ^ 旅行人ノート p.243
  10. ^ a b c 旅行人ノート p.83
  11. ^ 旅行人ノート p.244
  12. ^ ロラン・デエ p.215
  13. ^ ロラン・デエ p.322、索引
  14. ^ ロラン・デエ p.348、索引
  15. ^ ロラン・デエ 索引 p.28
  16. ^ [2]
  17. ^ a b 旅行人ノート p.243
  18. ^ 旅行人ノート p.245
  19. ^ 旅行人ノート p.87
  20. ^ 旅行人ノート p.238, 247
  21. ^ ロラン・デエ p.21
  22. ^ 立川 p.239


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ニンマ派

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化身ラマ」の記事における「ニンマ派」の解説

ミパム・リンポチェ:文殊菩薩化身とされる。ジュ・ミパム・ギャツォ(英語版)に始まる。 チョリン・リンポチェ:文殊菩薩化身とされる

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ニンマ派

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馬頭観音」の記事における「ニンマ派」の解説

チベット密教のニンマ派の『修法八教説』ではペマ・スン(པད་མ་གསུང་ pad ma gsung、蓮華語)。

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ニンマ派

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ゾクチェン」の記事における「ニンマ派」の解説

ゾクチェンは、ニンマ派の伝統では歴史上パドマサンバヴァ蓮華生)が伝えた教え一つ数えられ、ニンマ派の六大寺院大別される六大流派には、それぞれに異な流れゾクチェン伝わっている。14世紀ゾクチェン教えまとめて体系化した学僧ロンチェン・ラプジャムパが明確化したニンマ派の「九乗教判」によると、無上瑜伽タントラ頂点であるアティヨーガ乗に位置づけられ、法身普賢クントゥ・サンポ)を主尊とする。ニンマ派においては、このアティヨーガ乗の境地ゾクチェン等しいとされゾクチェンはアティヨーガの異名であり、同時にその教え法流の名称でもある。

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