グライフ作戦とは? わかりやすく解説

グライフ作戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/09 03:31 UTC 版)

グライフ作戦ドイツ語: Unternehmen Greif)とは、第二次世界大戦バルジの戦いの最中にオットー・スコルツェニー率いる武装親衛隊コマンド部隊が展開した偽旗作戦アドルフ・ヒトラー自身が発案したとされ、その目標はミューズ川に掛かるを破壊することであった。作戦に参加したドイツ兵士は鹵獲したイギリス軍およびアメリカ軍軍服を着用し、鹵獲した連合軍車輌を用いて戦線後方に浸透、連合軍に混乱を引き起こそうと試みた。しかし、最終的には車輌の不足や軍服や車輌の偽装に基づく制限から、当初の目的を達成することはできなかった。


  1. ^ Delaforce, Patrick (2006). The Battle of the Bulge: Hitler's Final Gamble. Pearson Education. pp. 56. ISBN 1-4058-4062-5 
  2. ^ Butler, Rupert (1979). The Black Angels. New York: St. Martin's Press. pp. 183–184 
  3. ^ Mitcham, Samuel W. (2006). Panzers in Winter: Hitler's Army and the Battle of the Bulge. Greenwood Publishing Group. pp. 30. ISBN 0-275-97115-5 
  4. ^ Pallud, p. 4
  5. ^ Delaforce, p. 60
  6. ^ Cole, Hugh M. (1965). The Ardennes : Battle of the Bulge. Washington DC: Office of the Chief of Military History, Department of the Army. pp. 360–363. http://www.history.army.mil/books/wwii/7-8/7-8_cont.htm 
  7. ^ a b Samuel W. Mitcham Jr. (January 10, 2008). Panzers in Winter: Hitler's Army and the Battle of the Bulge (Stackpole Military History Series). Stackpole Books. p. 81. ISBN 0-8117-3456-0 
  8. ^ Danny Parker (September 21, 1999). Battle Of The Bulge: Hitler's Ardennes Offensive, 1944-1945. Da Capo Press. p. 197. ISBN 1-5809-7023-0 
  9. ^ German Special Operations in the 1944 Ardennes Offensive.
  10. ^ Operation Greif and the Trial of the “Most Dangerous Man in Europe."
  11. ^ Pallud, p. 14
  12. ^ a b Pallud, p. 15
  13. ^ Lee, Martin A. (1999). The Beast Reawakens: Fascism's Resurgence from Hitler's Spymasters to Today's Neo-Nazi Groups and Right-Wing Extremists. Taylor & Francis. pp. 32. ISBN 0-415-92546-0 
  14. ^ “Trial of Otto Skorzeny and others”. Law Reports of Trials of War Criminals IX: 90–94. (1949). http://www.ess.uwe.ac.uk/WCC/skorzeny.htm  "The ten accused involved in this trial were all officers in the 150th Panzer Brigade commanded by the accused Skorzeny. They were charged with participating in the improper use of American uniforms by entering into combat disguised therewith and treacherously firing upon and killing members of the armed forces of the United States." "All accused were acquitted of all charges"


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グライフ作戦

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バルジの戦い」の記事における「グライフ作戦」の解説

詳細は「グライフ作戦」を参照 10月21日オットー・スコルツェニー親衛隊中佐ヒトラーから直々に特殊任務命じられ特殊部隊第150SS装甲旅団英語版)を指揮することになった旅団は1個の歩兵班と2つ機甲班で編成されていたが、歩兵班のなかにはアメリカ軍軍服着てアメリカ兵成りすまし後方攪乱するアインハイト・スティーラウ大尉率い特殊部隊含まれていた。特殊部隊80人の編成であり、非常に流ちょうな英語を話すものもいたが、なかにはどうにかわかる程度ものもいた。特殊部隊偵察班と破壊活動班に分けられアメリカ軍から鹵獲したジープ分乗し敵中深く侵入しアメリカ軍混乱させて作戦突破口を開くことが求められていた。しかし、作戦目的スコルツェニー数人部隊幹部しか知らず、他の隊員には伏せられていた。そのため、この特殊部隊のなかで指揮官スコルツェニーに「自分パリに詳しいので連合軍高司令部を占領する任務任せてほしい」と自らアピールする隊員現れたが、スコルツェニー秘密保持からこの申し出否定することはせず、のちにこのアピールが隊内に広がって作戦予想外効果もたらせることとなった機甲班の目的は、先頭進撃する予定であったパイパー戦闘団並行して進撃しアメリカ軍の眼を欺いて戦闘有利に進めようというものであったが、これは、バルバロッサ作戦などで実績があったブランデンブルク隊と同様の任務であり、ドイツ軍として特別な作戦という訳ではなかった。部隊編成のためアメリカ軍から鹵獲したM4中戦車などが集められたが数が全く足りなかったので、M-10駆逐戦車似せて改造したパンター戦車アメリカ軍塗装施したIII号突撃砲や、車両砲塔ハリボテ付けた偽装車両など合計70輛が配備された。隊員ドイツ全軍から志願者募った陸軍だけではなく海軍空軍からも志願者殺到したが、英語を話せるものとい条件に対してせいぜいイエス」「ノー」「OK」を理解する程度志願者がほとんどであった志願者戦車訓練場集められると、外部との連絡一切遮断されアメリカ人なりきる特殊訓練受けた訓練なかにはアメリカ人らしくチューインガムを噛む訓練などもあったが、長い間刷り込まれ慣習抜け切れるものではなくアメリカ兵らしくガム噛んでいても、将校命令する直ぐに飛び上がるように敬礼してしまうなど、アメリカ人なりきれない状況見てスコルツェニー頭を抱えている。 ドイツ軍侵攻開始されると、真っ先にスティーラウ大尉率い特殊班戦場投入された。しかし、投入され第6SS装甲軍戦区は同軍の苦戦によって、道路上には敵味方車両があふれ作戦実施が困難となっていた。そこでスコルツェニー作戦継続する思い悩んでいる間に特殊班1部は既に活動開始しており、アメリカ軍後方深く侵入成功し道路標識通信設備破壊してアメリカ軍混乱させ、なかには3,000人のアメリカ軍大部隊に流ちょうな英語で嘘の進路案内をして違った道に誘導した班もあった。また、ある班はミューズ川渡ってアメイ(英語版)を偵察し無事に帰還したが、結局この攻勢唯一ミューズ川越えたドイツとなっている。特殊班捕らえられると、アメリカ軍軍服着ていたため多くスパイとして即決裁判処刑されたが、わずか80人の特殊班挙げた戦果素晴らしいものであり、アメリカ軍大きく混乱させた。 この作戦で最も大きな効果上げたのがリエージュの南エイワイユ(英語版)まで到達したギュンター・ビリング士官候補生率い1班であった。そこでアメリカ軍捕らえらてしまったが、班員1人ヴィルヘルム・シュミット伍長は「部隊指揮官スコルツェニーである」「我々の真の目的ドイツ軍捕虜護送任務装ってパリ向かい連合軍総司令部襲撃することだ」という自白行った。これは、一部隊員スコルツェニー進言していた計画であるが、実際に進められてはいなかったのにも関わらず一部隊員中には「この作戦真の目的」と信じられており、シュミット自信持って自白したものであった。この自白聞いたアメリカ軍も、いくらドイツ軍とは言えこんな荒唐無稽な作戦実施するわけがないという意見主流であったが、情報次長が、シュテッサー作戦によってドイツ軍降下猟兵戦場広範囲降下していると誤認しており、「指揮官グラン・サッソ襲撃ベニート・ムッソリーニ救出したスコルツェニーである、また広範囲降下猟兵降下しており、工作隊がパリ目指している可能性は高い」「工作隊は連合軍総司令官アイゼンハワー暗殺誘拐狙いにしているかも知れない」と警戒呼び掛けた。 そのため、パリ連合軍司令部周囲には大量憲兵配置されて、さながら司令部憲兵包囲されていると揶揄された。また、アイゼンハワーにも常時護衛兵士付けられ自由に散歩もできず囚人のような生活を送った。さらに警戒しすぎた保安担当者は、アイゼンハワー風貌似て仕草物まねも上手かったボールドウィン・B・スミス中佐影武者仕立てて工作員をおびき寄せて殲滅するといった作戦実行したが、当然ながら空振り終わり、のちにこの作戦知ったアイゼンハワーから保安担当者厳しく叱責されている。パリ連合軍全軍には夜20以降夜間外出禁止令出された。パリ市内にもスコルツェニー工作隊が変装して潜入しているというデマ広がり、その工作隊はアメリカ兵目潰しするため硫酸小瓶所持しているという話まで広がっていた。そのため、パリ市内は集団ヒステリー態となって、幻の工作狩り流行し片言ドイツ語話せる人物ドイツ軍スパイとして糾弾されたり、アメリカ兵愛想よくしただけでバー店主工作隊の変装疑われたりした。 前線同様に混乱しており、至るところ検問所設置され兵員装備移動停滞させることとなった野戦憲兵は、友軍アメリカ兵に銃を突きつけながら「ミッキーマウスガールフレンド誰か?」「1934年メジャーリーグ優勝球団は?」「デン・バムズってなに?」「シナトラファーストネームは?」「大統領犬の名前は?」「漫画リル・アブナー(英語版)の主人公故郷は?」などアメリカ人以外は知りそうもない豆知識的なクイズ出した軍司令官例外ではなくブラッドレー検問イリノイ州州都クイズスプリングフィールド正しく答えたが、憲兵州都シカゴ思い込んでいたため、彼は短時間拘留を受けることとなったイリノイ州最大の都市シカゴであるため、多くアメリカ人誤解している)。解放されブラッドレーであったが、また次の検問停められ「女優ベティ・グレイブルの今の夫は?」というクイズ出された。ブラッドレー答えられずに考え込んでいると、野戦憲兵ブラッドレー本人確認できたのか、笑み浮かべながら「ハリー・ジェイムスですよ」と言って通している。第7機甲師団英語版)B戦闘部隊指揮官ブルース・C・クラーク英語版准将シカゴ・カブスクイズアメリカンリーグ所属していると間違って答えたため、野戦憲兵は「こんなクイズ間違えるのはクラウツだけだ」と興奮してクラーク拘束している。このためクラークドイツ軍の攻撃受けているサン・ヴィトへの到着遅れてしまった。中には階級の高い将校をわざと引き留めてクイズ攻めをするといった悪乗りをする野戦憲兵もいたという。 皮肉なことにこの事件のせいで、「ヨーロッパで最も危険な人物」と綽名されるようになったスコルツェニーだが、自身はこの作戦失敗だったとしている。特殊班一部大きな成果挙げていたものの、第6SS装甲軍進撃捗々しくなく、また部隊存在明らかになった以上、作戦固執して仕方ない判断しスコルツェニー作戦見切りをつけ、ディートリヒ特殊任務から外れて通常の戦闘任務に就きたいと申し出たディートリヒスコルツェニー申し出承認し、第150装甲旅団第1SS装甲師団所属となり、兵士達通常のドイツ軍軍服着替えている。第150装甲旅団は、12月21日第1SS装甲師団後方を脅かすマルメディ連合軍部隊排除命じられたが、ここでアメリカ軍新兵器近接信管付き重砲砲撃ドイツ軍として初め浴びることになった目標至近炸裂し弾片をまき散らす近接信管付き砲弾は、通常の砲弾よりも殺傷力高く、1斉射100人以上が死傷するなど部隊大損害を被って恐慌状態に陥り、スコルツェニー攻撃諦めて撤退命じている。鹵獲したM4やアメリカ軍戦車偽装したパンター大半撃破されるか戦場放棄された。この日、第1SS装甲師団司令部置かれホテルにいたスコルツェニー飛来してきたアメリカ軍榴弾重傷負った12月28日には旅団将兵とともに撤退し、まもなく旅団解散となった

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