みりん風調味料とは? わかりやすく解説

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みりんふう‐ちょうみりょう〔‐テウミレウ〕【味×醂風調味料】

読み方:みりんふうちょうみりょう

水飴(みずあめ)などの糖類米麹(こうじ)・酸味料などを混ぜ味醂似せて作った調味料アルコール分1パーセント未満で、ほとんど含まない。→本味醂


みりん

(みりん風調味料 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/28 00:18 UTC 版)

ガラス容器に取り出した味醂。古来の褐色の味醂と区別して「白味醂」とも呼ばれる。
本みりん[1]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,008 kJ (241 kcal)
43.2 g
0.3 g
ビタミン
ビタミンB6
(1%)
0.01 mg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
3 mg
カリウム
(0%)
7 mg
カルシウム
(0%)
2 mg
マグネシウム
(1%)
2 mg
リン
(1%)
7 mg
(3%)
0.05 mg
他の成分
水分 47.0 g
アルコール (エタノール)
9.5 g

(100 g: 85.5 mL、100 mL: 117.0 g)エタノール: 14.0 容量パーセント
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

みりん味醂味淋味霖)は、もち米米麹焼酎及びアルコール等を主原料とする[2]本みりん(米及び麹に焼酎又はアルコールを加えてこしたもの、アルコール度数13 - 14%)及び本直し(本みりんに焼酎又はアルコールを加えた飲料、アルコール度数22 - 23%)の総称である[3][注 1]

本みりんは日本の代表的な酒類調味料である[4][注 2]。このほかに食品として、みりん風調味料(アルコール度数1%未満)、みりんタイプ調味料(アルコール度数10 - 14%)があり、広義のみりん類と称される[5]。これらも本項で述べる。

製法

工程

まず精米歩合80 - 85%程度のうるち米を蒸して米麹を作る(製麹)[2]。この麹を蒸したもち米、焼酎やアルコールとともにタンクに入れ、醪(もろみ)を仕込む[2]。この過程で麹によるもち米の糖化、たんぱく質の分解、香気成分の生成等を生じる[6]。30日から60日の熟成後に圧搾したものが本みりんである[6]

みりんのアルコール分は原料の焼酎やアルコールに由来するもので、もろみ中でのアルコール発酵の過程がないのが特徴である[6]

この本みりんに焼酎又はアルコールを加えた飲料が本直しである[3]

副産物

味醂の製造過程で出た粕は、味醂粕こぼれ梅と呼ばれる[7]。糖類、アミノ酸、不溶性無窒素物(繊維を含む)、タンパク質等が豊富に含まれ、砂糖などを加えて食したり、菓子や甘酒、和え衣などで食用とされるが、その多くは漬け床、家畜飼料などとなる[8]

区分と規制

みりんと法規制

先述のように、みりんは本みりん及び本直しの総称である[3][注 1]

  • 本みりん - アルコール度数約14パーセントの酒類調味料で[4][注 2]、糖濃度は45 - 50パーセントである[9]
  • 本直し - 飲用にするためさらに焼酎を加え、エタノールの濃度を高めた味醂が「本直し」(ほんなおし)である[10]。「柳陰(やなぎかげ)」[2][3]と称されることもある。

みりんは、日本の酒税法における分類では混成酒に分類され、酒税法により酒税が課される。酒税に加えて、日本では軽減税率の適用を受けず、2019年10月1日以降、消費税の税率は10パーセントが賦課されている[11][12]。また、日本での製造や販売には、酒類免許が必要である。加えて、味醂の販売の際は二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律の規定により、営業者は「満20歳未満の者の飲酒を防止するための、年齢確認その他必要な措置」を行う必要がある。また、営業者は満20歳未満の者に対して、飲用目的と知りながら味醂を販売してはならないと定められている。

みりん類

広義のみりん類には、以下のみりん風調味料、みりんタイプ調味料が含まれる[5]。ただ、原料や製法が違う事から成分も異なり、調理効果も異なるため「本みりん」とは区別されている[4][13]

みりん風調味料
日本では酒税のかからない、1パーセント未満のエタノールを含有した水をベースとして作られる。このベースに、味醂の風味に似せるべく、うま味調味料水飴等の糖分その他を加えた調味料である[10]1947年(昭和22年)に福泉化学から「新みりん」として発売された[10]。原材料と製造方法及びアルコール度数から「本みりん」とは区別される[11][12]。アルコール分が1パーセント未満のため酒税法上の酒類には該当しない[6]
みりん風調味料も日本料理などの味付けに用いられているものの[10]、その特性は味醂と同じではない[4]
なお、みりん風調味料ならば、教義で飲酒が禁じられているイスラム教徒でも摂取できるため、ハラール対策の調味料目的としても用いられている[14]
みりんタイプ調味料[5](みりんタイプ発酵調味料[6]
10 - 14パーセント程度のエタノールと2パーセント前後の塩分を含む[5]。本来、アルコール度数が1パーセントを超えると酒類となるが[11]、一定の食塩を加えて不可飲処理しているため酒税法上の酒類には該当しない[6]1952年(昭和47年)に佐倉井が「味つき塩みりん」として開発し、味の一株式会社から発売された[10]塩みりん[15]のほか、醗酵みりん[3]とも称される。なお、発酵調味料とも称されるが、料理酒を含む場合もあるため[4]、発酵調味料(みりんタイプ)と称されることがある[6]

なお、酒税法上「みりん」とは認められない液体調味料について、「みりん」と誤認させるような表示を行った場合には不正競争防止法の誤認惹起行為に当たる(平成2年4月25日京都地裁判決)[16]

用途

料理

みりんに含有されるエタノールが、魚等の生臭さを抑え、食材に味が浸透する助けをし、素材の煮崩れを防ぐ。また、みりんに含有される糖分が、料理に甘みを加え、照焼きの艶を出し、加熱により良い香りを生じさせる[9]

なお、みりん風調味料の場合はアルコールがほとんど含有されておらず、アルコール特有の調理効果は期待できない[4]。また、発酵調味料(みりんタイプ)の場合は塩分を含むため塩味の調整が必要である[4]

調味料としては、江戸時代、元禄2年(1689年)の料理書『合類日用料理抄』にて、鳥醤に味淋酎を使用するという記述がある。これがミリンを料理に使用したとする初の記録である。また、文政年間には、八百善の主人である栗山善四郎が記した献立集『料理通』に、料理の風味を損なうアルコールを飛ばす「煮切る」ことに初めて言及された[17]

飲用

戦国時代には、上流階級で珍酒として飲まれていた。一般層が飲めるようになるのは江戸時代からである[17]

先述の本直し(柳陰)は日本では江戸時代から昭和の高度経済成長期まで庶民の酒として親しまれた[2]

明治、大正時代には、下戸・女性に好まれる甘い滋養飲料として需要が拡大した[15]

カクテルの材料の1つとして用いる例も見られる[18]。さらに、白酒屠蘇酒の材料としても使われる。また、梅酒などの混成酒を作る際に、ウメの成分を浸出させる溶媒として使う場合もある。

歴史

味醂のそもそもの起源に関しては諸説あり、確定的な説が無い[19][2]。ただ、主に中国伝来説と日本発生説があるとされる[6]

  • 中国に実際存在し、清明の時代の書物『湖雅巻八造醸』に密淋(ミイリン)と記された甘い酒が、戦国時代頃に伝来したという説。『駒井日記』(1593年文禄2年))がみりん(蜜淋)の名称が記された最も古い文献とされる[20]。また、1649年の『貞徳文集』には渡来したものとの記述がある[17][21]
  • 日本に古くから存在した練酒白酒などの甘い酒に腐敗防止策として焼酎が加えられたという説[19]。室町時代の京都相国寺鹿苑院蔭涼軒主の公用日記『蔭涼軒日録』(1466年)に、練貫酒という甘い酒が博多にあったと記述されており、これがミリンに発展したとする説がある[17]
  • 江戸時代に流山の醸造家が作り出したのが発祥とする説もある[22]

1785年に発表された『萬寶料理秘密箱』の中の「赤貝和煮」の記述以降、蕎麦のつゆ、蒲焼のタレ、などに用いる調味料として使われ始めていった[23][24][25]

1943年(昭和18年)から8年間、第二次世界大戦中に物資不足から製造禁止、戦後に再開されたが贅沢品として重い酒税がなされた。そのため、塩を加えて酒税法を回避する塩みりんや調味料などででみりん風味とした新みりん(みりん風調味料)が製造された[15][26]。また、日本酒級別制度による配給も行われた[27]

1940年代の日本では大衆の酒として、味醂は親しまれていた。その日本で1950年代以降に清酒やビール、ウイスキーが普及するにつれて、飲用を目的とした味醂の消費は消えていった一方で、調味料として味醂の使用が増加した[10]

1996年には販売免許の要件が緩和され、「みりん小売業免許」を申請して免許が与えられれば、ビールやウイスキーなどの酒類を扱っていないスーパーや食料品店でも、味醂を扱えるようになった。

2006年には、一般酒類小売業免許に統合され「みりん小売業免許」が廃止された。

本みりんの日

みりん業界では、11を「いい」、30を「みりん」の語呂あわせ「いいみりん」で、11月30日を「本みりんの日」とした[28]

主なみりんメーカー

明治時代には、3千近い免許場があった[15]

文化

  • イタリアでは強烈に甘い菓子にリキュールを掛ける文化があるため、日本に来訪したイタリア人はみりんをアイスクリームにかけるものだと認識することがある[29]

脚注

注釈

  1. ^ a b 酒税法上もエキス分16度以上の本みりんとそれ以外の本直し(本みりんに焼酎またはアルコールを加えた酒類)の2品目に分類されていたが、1988年(昭和63年)改正で酒税法上は区分が撤廃された[6]
  2. ^ a b 全国味淋協会「本みりんの知識」では本みりんについて「調味料としてのみ使われる」としている[4]

出典

  1. ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  2. ^ a b c d e f 酒類総合研究所情報誌 お酒の話 平成17年3月30日第7号”. 酒類総合研究所. 2025年8月27日閲覧。
  3. ^ a b c d e 黒河 伸二,池田 忍. “中学校理科の教材としての「みりんの蒸留」についての検討”. 日本理科教育学会研究紀要27巻3号. 2025年8月27日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h 本みりんの知識”. 全国味淋協会. 2025年8月27日閲覧。
  5. ^ a b c d アルコール発酵調味料のPET製容器におけるリサイクル適正化への業界全体の取り組み”. リデュース・リユース・リサイクル推進協議会. 2025年8月27日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i 「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り」 調査報告 4 本みりんの歴史”. 国税庁. 2025年8月27日閲覧。
  7. ^ 国立国会図書館. “宝塚市の清荒神の参道で売っている「こぼれ梅」は、落語にも登場すると聞いたが、どのように落語の中で扱わ...”. レファレンス協同データベース. 2023年3月9日閲覧。
  8. ^ みりん粕を使用したモロミ食材”. 2023年3月9日閲覧。
  9. ^ a b 山下勝「みりん, 味淋, 蜜醂 (I)」『日本醸造協会誌』第87巻第10号、日本醸造協会、1992年、726-731頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.87.726 
  10. ^ a b c d e f 山下勝「みりん, 味淋, 蜜醂 (II)」『日本醸造協会誌』第87巻第11号、日本醸造協会、1992年、792-800頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.87.792 
  11. ^ a b c 意外と知らない「本みりん」と「みりん風調味料」の違い・使い分け”. 東京ガス ウチコト. 2020年5月30日閲覧。
  12. ^ a b 意外と知らない?「日本酒」と「料理酒」の違いとは”. きくつかこらむ-菊の司酒造|Kikunotsukasa. 2020年5月30日閲覧。
  13. ^ [1] お客様相談室、日の出みりん
  14. ^ 西川博明 (2014年6月14日). “ノンアルコールみりんの「そば」、豚肉抜き「カレー」、急ピッチで進む日本企業「イスラム対応」…「ムスリム=30兆円市場」狙う、関空では「祈祷室」設置も”. 産経新聞. https://www.sankei.com/article/20140614-M4N6U5U74FPCDMQLKJG22YJ63Q/ 2021年5月24日閲覧。 {{cite news}}: CS1メンテナンス: 先頭の0を省略したymd形式の日付 (カテゴリ)
  15. ^ a b c d ささつゆ『みりんの飲み方-総集編』 p.6
  16. ^ 不正競争防止法の概要”. 特許庁. 2025年8月27日閲覧。
  17. ^ a b c d 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2025年3月24日閲覧。
  18. ^ みりん一杯のんでく?調味料だけでない?お酒のように バーや家で/深い味わい「まるで日本酒」『日経MJ』2019年10月21日(トレンド面)
  19. ^ a b 山下勝「みりんの発生」『日本醸造協会誌』第86巻第10号、日本醸造協会、1991年、768-772頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.86.768 
  20. ^ 、2001、「江戸期におけるみりんの料理への利用 : みりんの食文化と変遷」、『日本調理科学会誌』、 NAID 110001170103
  21. ^ 国書データベース:国文学研究資料館”. kokusho.nijl.ac.jp. 2025年3月24日閲覧。
  22. ^ 一也, 鴨川 (2025年3月28日). “白みりんの魅力伝えるミュージアム 発祥の地、千葉・流山にオープン”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年6月2日閲覧。
  23. ^ 、2000、「江戸期の料理本におけるみりんについて(第1報) : みりんの料理への利用のはじまりと変遷 近畿支部 第26回研究発表会講演要旨」、『日本調理科学会誌』、 NAID 110001170039
  24. ^ 松本美鈴、「江戸時代の料理書にみる煮物料理における調味料の変化」 日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年) セッションID:G2-2, doi:10.11428/kasei.59.0.226.0
  25. ^ 、1999、「江戸期の料理本におけるみりんについて : 第2報 『萬寶料理秘密箱』『料理早指南』『素人包丁』のみりんの使用」、『園田学園女子大学論文集』、 NAID 110000191469
  26. ^ 舘, 博「本みりんについて」2022年7月25日、doi:10.20685/kenkouigaku.31.2_115 
  27. ^ 1943年酒類の選択制配給”. キリンホールディングス. キリン歴史ミュージアム. 2025年3月24日閲覧。
  28. ^ 11月30日 は 「本みりんの日」
  29. ^ イタリアではアイスにみりんをかける!? あっと驚く海外日本食事情 exciteニュース 2012年06月07日(木)07:00 (2024年7月31日閲覧)

参考文献

関連項目

  • 灰持酒 - 強い甘味と独特の風味から、味醂のような使い方もされる。
  • 白酒 - 製法が類似しており、早期の味醂のもろみを濾過せず擂り潰して製造する。
  • 酒精強化ワイン - 味醂と同様に、蒸留酒を添加する。
  • 保命酒 - 味醂に数種の生薬を調合して熟成させる方法で製造する。

外部リンク


みりん風調味料

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 09:07 UTC 版)

コピー食品」の記事における「みりん風調味料」の解説

みりんの代用品で、アルコールは全く、もしくは殆ど入っていない。

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「みりん風調味料」を含む「コピー食品」の記事については、「コピー食品」の概要を参照ください。

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