税理士 税理士法人

税理士

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/26 15:29 UTC 版)

税理士法人

2001年(平成13年)の税理士法改正により、税理士事務所の法人化(税理士法人)が認められ、税理士は、開業税理士、社員税理士、補助税理士のいずれかの区分に分類されることになった。

四大税理士法人

以上4法人を一般に4大税理士法人という。母体である四大監査法人あずさEY新日本トーマツPwCあらた)や海外の四大会計事務所のネットワークと連携している。

4大税理士法人は、それぞれ大規模事務所として、東京・大阪・名古屋・福岡には必ず所在しており、どの4大税理士法人も500人を超える規模である(税理士法人トーマツだけは、これらの大都市圏以外の地方都市にも多く所在している)。

国税審議会

国税審議会は、財務省設置法21条に基づき設置されている審議会である。審議会は、委員二十人以内で組織する[14]

税理士との関係では、国税審議会税理士分科会が、税理士の懲戒処分および税理士試験に関する事務を所掌している[15]

国税審議会の構成

国税審議会委員の任期は2年である[16]。 国税審議会委員名簿(令和5年3月15日現在)

役職 氏名 現職
会長 佐藤英明_(法学者) 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
会長代理 土居丈朗 慶應義塾大学経済学部教授

下記に、事例として委員構成の詳細を挙げる。委員の出身校は東京大学や慶應義塾大学出身者が多い。令和2年における国税審議会の構成は以下のとおりである[17]日本税理士会連合会から国税審議会委員を選出している。

役職 氏名 現職 所属分科会  出身校
会長 田近栄治 一橋大学名誉教授 国税審査分科会 一橋大学経済学部[18]
会長代理 山田洋 (法学者) 獨協大学法学部教授 国税審査分科会、税理士分科会 博士(法学)一橋大学[19]
委員 秋葉賢一 早稲田大学大学院会計研究科教授 税理士分科会 横浜国立大学経営学部[20]
委員 五十嵐 文 株式会社読売新聞東京本社国際部部長 酒類分科会 上智大学[21]
委員 石田千 作家、東海大学文化社会学部文芸創作学科特任教授 国税審査分科会 学士(文学)[22]
委員 遠藤 みどり 元東京高等検察庁検事 国税審査分科会
委員 大倉治彦 日本酒造組合中央会会長 酒類分科会 一橋大学経済学部[23]
委員 小川 令持 日本税理士会連合会相談役 税理士分科会
委員 鹿取 みゆき フード&ワインジャーナリスト、信州大学特任教授 酒類分科会 学士(教育学) , 東京大学[24]
委員 川北 力 損害保険料率算出機構副理事長 税理士分科会 東京大学法学部[25]
委員 河村 芳彦 株式会社日立製作所代表執行役執行役専務 国税審査分科会 慶應義塾大学経済学部、ケンブリッジ大学大学院[26]
委員 神津信一 日本税理士会連合会会長 国税審査分科会 慶應義塾大学経済学部[27]
委員 小関 卓也 山形大学農学部教授 酒類分科会 東北大学農学部食糧化学科、博士(農学),東京大学[28]
委員 佐藤英明 (法学者) 慶應義塾大学大学院法務研究科教授 国税審査分科会、税理士分科会 東京大学法学部[29]
委員 手島 麻記子 株式会社彩食絢美代表取締役、食文化研究家・日本酒と料理の相性研究家 国税審査分科会、酒類分科会 慶応義塾大学法学部政治学科[30]
委員 中空 麻奈 BNPパリバ証券株式会社グローバルマーケット統括本部副会長 国税審査分科会、酒類分科会 慶應義塾大学経済学部[31]
委員 廣重 美希 一般社団法人消費者力開発協会理事・事務局長 酒類分科会
委員 三村 優美子 青山学院大学名誉教授 酒類分科会 商学士(慶應義塾大学)、商学修士(慶應義塾大学)、商学博士(慶應義塾大学)[32]
委員 吉村 典久 慶應義塾大学法学部教授 国税審査分科会、酒類分科会 慶應義塾大学法学部法律学科、慶應義塾大学大学院法学研究科公法学専攻後期博士課程[33]
委員 渡辺 哲 東海大学医学部客員教授 酒類分科会 慶應義塾大学医学部[34]、医学博士(慶應義塾大学)[35]

国税審議会には、国税庁長官、国税庁次長、審議官、課税部長、徴収部長、調査査察部長、総務課長、人事課長、企画課長、酒税課長、国税企画官等が出席する。国税不服審判所からは所長、次長等が出席する。

税理士分科会は、国税審議会委員のうち、財務大臣が指名した委員で組織される。国税審議会の推薦に基づき、財務大臣が任命する試験委員および懲戒審査委員が設置されており、税理士の懲戒処分の審議を所掌事務とする。税理士の懲戒処分(後述)について、財務大臣の諮問に基づき審議する。

令和2年における国税審議会税理士分科会の構成は以下のとおりである[36]

役職 氏名 現職  出身校・その他
会長 佐藤英明 (法学者) 慶應義塾大学大学院法務研究科教授 東京大学法学部[29]
会長代理 秋葉賢一 早稲田大学大学院会計研究科教授 横浜国立大学経営学部[20]、公認会計士
委員 小川 令持 日本税理士会連合会相談役
委員 川北 力 損害保険料率算出機構副理事長 東京大学法学部[25]、元国税庁長官、元一橋大学大学院法学研究科教授
委員 山田洋 (法学者) 獨協大学法学部教授 博士(法学)一橋大学[19]、元一橋大学法学部教授

国税審議会税理士分科会には、国税庁長官、国税庁次長、総務課長、人事課長、国税企画官等が出席する。

懲戒処分

手続

税理士の懲戒は税理士法の規定上財務大臣が担うが(同法第45条ないし第47条)、懲戒処分を行うに際しては国税審議会に諮り、その議決に基づいてしなければならない(同法第47条第4項)。

懲戒手続は、懲戒事由を認知した者が財務大臣に通知することで開始される[37]

  • 懲戒事由を発見した場合、地方公共団体の長(同法第47条第1項)および税理士会(同条第2項。ただし当該税理士会の会員税理士についてのみ。)は財務大臣に通知する義務を負う。
  • 懲戒事由があると認めた場合は、何人も財務大臣に通知し適当な措置をとるべきことを求めることができる(同条第3項、いわゆる措置請求)。

懲戒事由

  1. 脱税相談等[注釈 2](税理士法第45条。過失でも懲戒事由となる。)
  2. 一般の懲戒事由(税理士法第46条。申告書添付書面等の虚偽記載、税理士法・各種税法違反行為など。)

懲戒処分の種類

以下の3種類の懲戒処分が法定されている(税理士法第44条)。懲戒事由の種類や故意・過失の別により処分の上限が個別に法定されている。

  1. 戒告
  2. 2年以内の税理士業務の停止
  3. 税理士業務の禁止

注釈

  1. ^ なお、法務省の日本法令外国語訳データベースシステムにおいては、税理士法は「Certified Public Tax Accountant Act」と訳されているのに対し(ただし標題のみで本文は未訳)[2]弁護士法の訳文中には「tax attorney」(第3条第2項、第7条第3号)と「tax accountant」(第83条、昭和三十二年六月一日法律第百五十八号附則第15項)の双方が混在しており[3]、その訳語は一定していない。
  2. ^ 故意に真正の事実に反して税務代理もしくは税務書類の作成をしたこと、または不正に国税もしくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、または不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じるなどすること

出典

  1. ^ 日本税理士会連合会 (2015年10月20日). “国際交流”. 2022年2月24日閲覧。
  2. ^ 税理士法”. 日本法令外国語訳データベースシステム. 2022年2月25日閲覧。
  3. ^ 弁護士法”. 日本法令外国語訳データベースシステム. 2022年2月24日閲覧。
  4. ^ 貢士対策所に提出された大溝藩(近江国2万石)の租税改革の答申
  5. ^ 当時の世情について 国税庁 なぜ、税を納めなければならないのでしょうか税のエピソード・日本編 の福澤諭吉と税を参照。
  6. ^ 税務大学校租税史料1 近代税制の幕開け ―地租改正― を参照。
  7. ^ 東京地方税理士会『東京地方税理士会沿革史』「第一編 草創期」“第一 税務代理人時代”p2 昭和48年2月20日発行
  8. ^ 日本税理士会連合会業務対策部「税理士業務報酬算定に関するガイドライン(指針)」(閲覧日2016.2.25)
  9. ^ 大学院提携研修 ・ 補佐人講座 (慶応、早稲田、筑波)
  10. ^ オックスフォード大学マイケル・A・オズボーン博士の論文「未来の雇用」
  11. ^ 人工知能は本当に仕事を奪うのか:“10年後になくなる職業”税理士に聞く 生き残るための生存戦略 (1/2) 2016年03月09日 閲覧:2016.05.27
  12. ^ 内閣官房IT総合戦略室「デジタル手続法案について」2019年3月(閲覧:2019.6.5)
  13. ^ 税理士情報検索サイト
  14. ^ 平成十二年政令第二百七十八号国税審議会令第二条
  15. ^ 税理士分科会の概要等”. 国税庁ウェブサイト. 2021年7月27日閲覧。
  16. ^ 平成十二年政令第二百七十八号国税審議会令第四条
  17. ^ 国税審議会委員名簿 令和2年6月25日現在(敬称略)(最終閲覧日:2021.2.23)
  18. ^ researchmap 田近栄治 (最終閲覧日:2021.2.23)
  19. ^ a b 教員紹介 (最終閲覧日:2021.2.23)
  20. ^ a b 専任教員紹介 (最終閲覧日:2021.2.23)
  21. ^ 執筆者プロフィール (最終閲覧日:2021.2.23)
  22. ^ 文芸創作学科 教員紹介 (最終閲覧日:2021.2.23)
  23. ^ 380年を超える歴史、14代の伝統(最終閲覧日:2021.2.23)
  24. ^ 研究者総覧(最終閲覧日:2021.2.23)
  25. ^ a b 税務経営情報ネット「国税庁幹部の異動発令、新長官は川北力理財局長」税務関連情報 -2010年08月02日(最終閲覧日:2021.3.1)
  26. ^ 新任代表執行役の略歴(最終閲覧日:2021.2.23)
  27. ^ PROFILE(最終閲覧日:2021.2.23)
  28. ^ 研究者情報(最終閲覧日:2021.2.23)
  29. ^ a b 慶應義塾研究者情報データベース(最終閲覧日:2021.2.23)
  30. ^ 手島麻記子プロフィール(最終閲覧日:2021.2.23)
  31. ^ 中空麻奈 略歴(最終閲覧日:2021.2.23)
  32. ^ researchmap 三村 優美子 (最終閲覧日:2021.2.23)
  33. ^ 吉村 典久 教授(租税法、国際租税法) (最終閲覧日:2021.2.23)
  34. ^ researchmap 渡辺 哲 (最終閲覧日:2021.2.23)
  35. ^ 略歴 (最終閲覧日:2021.2.23)
  36. ^ 第95回 国税審議会税理士分科会の開催について(最終閲覧日:2021.4.1)
  37. ^ 懲戒手続”. 近畿税理士会ウェブサイト. 2021年7月27日閲覧。
  38. ^ 改正税理士法の「学位による試験科目免除」制度のQ&A”. 国税庁ウェブサイト (2004年5月10日). 2021年7月28日閲覧。
  39. ^ 平野由美子「昭和初期における計理士法改正運動 : 木村禎橘の運動を中心に」『立命館経営学』第50巻第5号、立命館大学経営学会、2012年1月、57-79頁、doi:10.34382/00001019ISSN 0485-2206NAID 110008802941 
  40. ^ 原征士「公認会計士法の改正」『経営志林』第26巻第4号、法政大学経営学会、1990年1月、67-79, 76、doi:10.15002/00003340ISSN 02870975NAID 120000994276 
  41. ^ 第25回参議院議員通常選挙における日本税理士政治連盟の推薦議員(閲覧:2022年1月23日)
  42. ^ 朝日新聞DIGITAL 「国税幹部4人を懲戒処分 OBから「陣中見舞い」の現金」2019年6月25日 19時11分
  43. ^ 日本経済新聞 「OB税理士から金銭 国税職員を処分」2019年6月26日 9:54
  44. ^ 週間エコノミストOnline 「「税理士の憂うつ」 国税OBの落日 開業しても仕事ない… 現役との“接触禁止令”追い打ち=宮口貴志」2020年4月6日
  45. ^ 週刊ダイヤモンド2021年2月13日号 69頁「情報網は細り威光に陰り国税OBに待ち受ける受難」株式会社ダイヤモンド社
  46. ^ <国税局からのお知らせ>「国税職員の綱紀の厳正な保持」に関するお願いについて”. 関東信越税理士会 (2019年7月8日). 2021年9月1日閲覧。
  47. ^ 国税OB税理士に対してあっせんした顧問先企業での勤務実態に関する質問主意書 提出者長妻昭
  48. ^ 内閣総理大臣小泉純一郎 答弁書
  49. ^ TKC全国会『TKC海外視察研修ードイツ会計人業界視察レポート』TKC出版2001年
  50. ^ TKC全国会『TKC海外視察研修ー米国会計人業界視察レポート』TKC出版2000年
  51. ^ “朗報? 確定申告を「無料」で代行 税還付立替への批判とネットの普及に対抗”日経ビジネスオンライン(2011年1月21日(金))2016年1月3日閲覧
  52. ^ “What's Behind H&R Block's Free Tax Service” Bloomberg Businessweek (January 14, 2011)2016年1月3日閲覧
  53. ^ 東京税理士会 会報『東京税理士界』Volume No.686【12】 2014年〔平成26年〕3月1日〔土曜日〕


「税理士」の続きの解説一覧




税理士と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「税理士」の関連用語

税理士のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



税理士のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの税理士 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2023 GRAS Group, Inc.RSS