稲生若水とは? わかりやすく解説

いのう‐じゃくすい〔いなふ‐〕【稲生若水】

読み方:いのうじゃくすい

[1655〜1715]江戸中期本草(ほんぞう)学者江戸の人。名は宣義。福山徳潤に師事し、のち加賀藩主仕えた博物学先駆者。著「庶物類纂」など。


稲生若水

読み方いのう じゃくすい

江戸中期本草学者漢学者江戸生。稲生恒軒の子。名は宣義、字は彰信、通称正助別号白雲道人。儒を父と木下順庵に、本草大坂福山徳潤に学ぶ。加賀前田侯に儒者として仕え本草著述専心前田綱紀の命を受けて庶物類纂』を著す。弟子松岡恕庵野呂元丈丹羽正伯等。正徳5年(1715)歿、61才。

稲生若水

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/12 13:29 UTC 版)

稲生 若水(いのう じゃくすい、明暦元年7月27日1655年8月28日)- 正徳5年7月6日1715年8月4日))は、江戸時代中期の医学者・本草学者・儒学者。名は宣義、字は彰信。通称は正助。若水は号。別号としては白雲道人がある。一字姓稲若水でも知られる。本草書の大著『庶物類纂』を編纂したが完成前に病没。弟子の丹羽正伯らが引き継いで完成させた[1]

人物

明暦元年7月27日1655年8月28日)、淀藩御典医・稲生恒軒(本名は稲生正治)の子として江戸の淀藩屋敷で生まれた。名は宣義。

父から医学を学び、その後は大坂の福山徳潤から本草学を京都の伊藤仁斎から古義学派の儒学をそれぞれ学んだ。

元禄のころになると、若水の学識は広く知られるところとなり、学問や教育に熱心であった加賀金沢藩主・前田綱紀もその名声を知り、元禄6年(1693年)に儒者として召抱えられた。その際、若水は姓を中国風の一字で稲と称した。

藩主・綱紀に「物類考」の編纂を申し出て採用され、当時における本草学のバイブルである『本草綱目』を補う博物書の編纂の下命を得た。更に隔年詰という一年おきに金沢で出仕する特別待遇まで与えられた。若水はその知遇に応えるべく京都で研究に努め、支那の典籍174種に記載されている動植物関係の記述を広く収集し、統合や整理分類を施した。元禄10年(1697年)に執筆を始め362巻まで書き上げたが、正徳5年7月6日1715年8月4日)に京都の北大路の家にて死去した。享年61。

後に江戸幕府8代将軍徳川吉宗の下命で、若水の子・稲生新助や弟子の丹羽正伯らが638巻を書き上げて、計1000巻にわたる大著『庶物類纂』が完成した。稲生若水は漢方、薬物などを中心とした本草学に、動植物全体を対象とする博物学への方向性を備えさせたといえる。

門人には、野呂元丈丹羽正伯松岡恕庵らがいる。墓所は、京都市左京区の迎称寺(萩の寺)。

明治42年(1909年)、従四位を追贈された[2]

著書

  • 1689年 『炮炙全書』を執筆。1692年に刊行
  • 1702年 『(新増)炮炙全書』を刊行。1772年に『本草喉禁』に改称して刊行。
  • 1709年 『詩経小識』を執筆。『和蘭陀本草図経』を執筆。
  • 1714年 『本草図翼』、『結髦居別集』、『新校正本草綱目五十三巻』刊行。
  • 1738年 『庶物類纂(内362巻)』刊行。

出典

  1. ^ 今橋理子 『江戸の花鳥画 博物学をめぐる文化とその表象』 講談社〈講談社学術文庫〉、2017年 [1995年スカイドア]。ISBN 978-4062924122。第1章-1「日本自然誌事始」
  2. ^ 田尻佐 編『贈位諸賢伝 増補版 上』(近藤出版社、1975年)特旨贈位年表 p.26



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