ELSI
エシカル
「エシカル」とは、「法律や規則として定められていなくても、良識に従い、環境・地域・社会・人などに配慮して正しく行動する」という考え方のことである。主に消費行動やライフスタイルの文脈で用いられる用語である。
「消費行動においてエシカルを意識すること」や「エシカルな消費行動に考慮した商品やサービス」を、特に「エシカル消費」という。
「エシカル(ethical)」は英語の形容詞であり、基本的には「倫理的な・道徳的な・道徳的に正しい」という意味の単語である。
「エシカル」は「環境や社会との前向きな関わり方の意識」に関する概念であり、その点において「サステナブル / サステナビリティ」と相通ずる。「LOHAS(Lifestyles of Health and Sustainability)」や「SDGs(Sustainable Development Goals)」と共に言及されることも多い。
「エシカル」が広がった背景
2015年9月に国連の「持続可能な開発サミット」で採択された国際目標にSDGsというものがある。すべての国が2030年までに実現することを目標に制定された内容には「子どもの事故防止」「食品ロスの削減」「高齢者や障害者の消費活動に対する配慮」「消費者を重んじた経営の推進」などがあり、それらと並んで「エシカル消費普及・啓発活動」が挙げられた。消費者庁でも2015年から啓蒙に努めており、エシカル(またはエシカル消費)という言葉を通じて、環境保全や社会貢献を個人でも実践していこうと呼びかけている。このような働きかけがあってエシカルは注目を集めるようになり、意味合いも、単なる「倫理的な」「道徳的に正しい」だけではなく、「広く環境保全や社会貢献をしていこう」と認識されるようになってきている。エシカルの例文、使い方
- エシカルへの関心が高まっている
- エシカルなアイテムが揃うショップ
- エシカルな施設運営に取り組んでいる
- エシカルなビジネスが増えてきている
- これからの企業は、エシカルへの取り組みが重要視されていくだろう
- エシカルな衣類
エシカルの類語
エシカルの類語には、サステナブルが挙げられる。サステナブル(sustainable)とは、「支持できる」「持続できる」「耐えうる」という意味を持つ形容詞である。たとえば sustainable development と書くと「持続可能な開発」という意味になる。エシカルとの関連で用いられるサステナブルは、「人間・社会・地球環境の持続可能な発展」という意味を表し、地球サミット2002で合意された取り組みについて示していることが多い。この合意は、貧困と飢餓の撲滅、社会的格差などの解消などが主要な内容だった。エシカルでは、地球サミット2002で合意されたこれらの流れを引き継ぎつつ、途上国も先進国も人、社会、地域、環境に取り組んでいくべきであると拡張された内容になっている。オーガニックもエシカルの類語として挙げられる。オーガニック(organic)とは、「有機の」という意味がある形容詞。たとえば化学肥料や殺虫剤などの農薬を使わない有機農法で作られた野菜のことを「オーガニック」と総称することがあるが、農作物に限らず、有機飼料によって生産された畜産物や、それらの農産物や畜産物で生産された加工食品もオーガニック食品と呼ぶ。また食品以外でも、有機栽培の素材を用いて作られた商品もオーガニック製品として分類される。エシカルが「環境への配慮」という点に重きがおかれているのに対して、オーガニックは「食べるのに安心」「使うのに安全」という意味を表し、その点で意味合いが異なる。
エシカルの関連用語
エシカル企業とは、高い倫理性を持って人や社会、地域や環境に対する活動を行っている企業のこと。類似する言葉であるCSR(corporate social responsibility)は「企業の社会的責任」という意味だが、この行動が企業のイメージアップに使われることが多いのに対して、エシカルは、その企業活動だけでなく、企業が生産・提供したものを消費者がどう使うのか、どう環境に影響を与えるのかという点まで配慮されている点で意味合いが異なる。エシカル消費とは、そのようなエシカル企業が生産・提供するサービスや商品を使用、消費することで、直接的にも間接的にもエシカルな活動にかかわっていくことである。
エシカルファッションとは、エシカルの理念にかなったファッション全般のこと。ただし、「ファッション」という一面だけで評価するのではなく、その素材の選定や生産をする企業、購入する企業、販売をするショップなど、生産から流通にかかわるすべての企業(または個人)が環境、社会、労働問題について倫理性の高い行動を実現している場合に限って、そのように呼ぶ。
エシカル
「エシカル」とは・「エシカル」の意味
「エシカル」は倫理的や道徳的といった意味である。英語の「ethical」からきている。英語のethicalにおける本来の使われ方はethical education(道徳教育)やethical medicine(処方箋)といったものである。日本では、エシカルは法律や条例といったルールがなくても多くの人にとってそれが正しいと考えられるような行動をすることを指す。一般的には、環境保全や持続可能な社会を実現するような活動を意味することが多い。たとえば、国際法上ルールが明確に定められていないSDGsの取り組みに関して積極的であることはエシカルな行為だといえる。また、素材の選定やデザイン、製造、流通において環境保全やサステナブルであることを重視したファッションスタイルはエシカルファッションと呼ばれる。そのほか、児童や障がい者、少数民族のような社会的弱者を搾取して生産されたといわれている商品を購入しないこともエシカルな行為のひとつとされる。
「エシカル」の熟語・言い回し
「エシカル」という言葉がよく使われる例として、以下のものが挙げられる。エシカル消費とは
エシカル消費とは、商品やサービスを購入する際、その企業や商品、サービスが環境問題や社会問題の解決にどれくらい関与しているのかを重視し、そのことを基準に購買するかどうかを決定する消費行動である。また、環境問題や社会問題を悪化させていると考えられる商品やサービスは購入しないこともエシカル消費のひとつだといえる。エシカル消費を行う人はエシカルコンシューマーと呼ばれている。エシカルコンシューマーは若い世代を中心にその数が年々増しているといわれている。
具体例としては、買い物をする際にマイバッグを持参すること(プラスチックごみの削減)や商品をあらかじめ買いまとめせず、必要な時に必要なだけ購入すること(食品ロスの削減)、地元で生産された商品を積極的に購入すること(地産地消)などが挙げられる。エシカル消費は誰もが手軽に行えるエシカルな行動のひとつといえるだろう。企業にとっても、エシカル消費に見合った企業や商品であることをアピールすることで企業や商品のイメージアップ、販売量の増大につながるメリットがあるとされている。
エシカル商品とは
エシカル商品とは、生産や販売、流通において「環境・社会・人」に配慮された商品のことである。たとえば、生産や流通の過程で環境を破壊していない商品、その商品を購入することが環境問題や社会問題の解決につながる商品、地元の支援につながる名産品や伝統工芸品などがエシカル商品として挙げられる。動物実験を行っていなかったり、自然環境に悪影響を与えるような材料や容器を使ったりしていない化粧品などである。エシカル商品かどうかを見分ける目安となるマークはエコマークや有機JASマーク、海のエコラベルなど様々なものがある。
エシカル食品とは
エシカル食品とは、その生産、販売、流通の過程において環境問題や社会問題の解決に配慮している食品のことである。主なものとしてはオーガニック食品、ヴィーガン食品、フェアトレード食品の3つが挙げられる。オーガニック食品は有機食品とも呼ばれる。農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術に頼らずに生産された食品である。ヴィーガン食品はヴィーガニズムの信念に則った食品で、一般的には植物性食品のことを指す。フェアトレード食品は流通の過程において生産者と直接やり取りを行い、生産者に公正な利益を還元している食品のことである。
エシカルライフとは
エシカルライフとは、自身の倫理的・道徳的基準に基づいて健康や環境、社会に配慮した暮らし方のことである。そのため、エシカルライフはSDGsが掲げる持続可能な社会の実現につながるとされる。自然に寄りそい、自然のリズムに合わせた生活スタイルもエシカルライフと呼ばれる。
エシカルな
エシカル
(ethical から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/07 14:30 UTC 版)
エシカル(ethical)とは、「倫理的」「道徳上」という意味の形容詞である。つまり、「法律などの縛りがなくても、みんなが正しい、公平だ、と思っていること」を示す。近年は、英語圏を中心に倫理的活動を「エシカル(ethical)○○○○」と表現し、エシカル「倫理的=環境保全や社会貢献」という意味合いが強くなっている[1]。身近な倫理的活動としては、主にエシカルコンシューマリズムが挙げられる。
- ^ a b c “時代を読む新語辞典”. 「エシカル」. 日経BP (2008年3月4日). 2011年9月29日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b c d “エシカル消費(Ethical Consumption)”. Sustainable Japan(ニューラル) (2015年8月4日). 2019年2月19日閲覧。
- ^ “「倫理的消費(エシカル消費)」普及・啓発活動”. 消費者庁. 2019年2月19日閲覧。
- ^ “【声明】バングラデシュ 「ラナプラザ」後も続く低価格競争のなか、縫製工場の搾取的労働が今も続いている”. NGOヒューマンライツ・ナウ (2014年8月7日). 2019年2月19日閲覧。
- ^ フェアトレードのおかしな真実(英治出版)[要ページ番号]
- ^ “Movement”. 日本人発信のエシカルムーブメント. My Lohas (2011年7月27日). 2012年12月31日閲覧。
- ^ “msn 産経ニュース”. エシカルジュエリー、大丸神戸店に期間限定で出店. 産経新聞・産経デジタル (2011年9月5日). 2011年9月29日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “msn 産経ニュース”. エシカルジュエリー 労働・環境に配慮…途上国支援. 産経新聞・産経デジタル (2012年2月20日). 2012年2月20日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “International Development News”. ジュエリーの輝きに紛争も搾取もいらない 〜エシカルジュエリーを通じたビジネスの可能性に挑む. Devex (2009年7月31日). 2011年9月29日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “Inspire Magazine”. Vote for your Ethical Hero. Observer. 2011年9月29日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “Cyber Ssecurity”. 米国、韓国等におけるハッキングコンテストの概要. 経済産業省 商務情報政策局 (2011年3月3日). 2011年9月29日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “ビジネス用語辞典”. 「エシカル」. Wisdom (2011年6月2日). 2011年9月29日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “金融経済用語集”. 「エシカルファンド」. iFinance. 2011年9月29日閲覧。
- ^ 「一般社団法人エシカルビューティー協会」から引用
- ^ The World's 10 Best Ethical Travel Destinations for 2021 TravelPulse 2021.2.16
- ethicalのページへのリンク