ISDS条項とは? わかりやすく解説

ISDS条項

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 21:59 UTC 版)

TPP協定交渉時の資料・交渉時に議論された影響」の記事における「ISDS条項」の解説

ISDS条項(投資家対国家の紛争解決)は企業投資家側に非常に大きな権力与える。国家課す法・規制外国企業将来的損失となる場合、ISDS条項に従ってその企業はその国家訴えることができ仲裁人国家国内法に従う必要がない。その法的争いの場も特別法廷であり公正ではない。国際法人権について専門家アルフレッド・デ・ゼイヤスはISDS条項と特別法廷に関して投資家政府訴えられる政府投資家訴えられないことは不公正だと述べる。 コロンビア大学教授ジェフリー・サックスらがTPP含まれるISDS条項を削除するべきと唱えている。TPPTTIP含まれるISDS条項はNAFTA含まれるISDSをさらに拡大させたものになる。そのISDS条項は防衛・食品安全・薬品安全・環保護医療サービス気候変動など米国政府様々な政策関心を持つ市民にとって大きな懸念事項になるとサックス教授らは述べる。 環境保護目的のための法・規制石油・ガス関連企業将来的損失になるとみれば、それら企業政府相手法的措置をとり大きな賠償金を得る可能性もある。すでに石油・ガス関連会社Lone Pine Resources Inc.NAFTA含まれるISDS類似条項使ってカナダ政府訴えている。ケベック州セントローレンス川下での水圧破砕法止めるための法案通したことが企業側の利益損ねるしたためである。 2015年11月上旬バラク・オバマ政権はトランスカナダ(カナダ企業)による米国とカナダ連結する石油パイプライン建造申し出拒否した。そのパイプライン建造米国国益ならないことと気候変動への取り組み悪影響がでることが理由であったしかしながらその2か月後トランスカナダはオバマ政権決定不服とし、NAFTA11条のISDS以って米国政府訴えた。そしてパイプライン建造計画中止にかかる損失将来的収益減の補償として150ドルもの金額米国政府要求した。これといくらか類似するケース企業側が勝利していることも無視できない。仮に米国政府がトランスカナダに法的勝利したとしてもそれはNAFTA制度の下であり、TPP制度において米国政府訴訟回避するために何百万ドル費やす恐れがある2018年トランプ政権はISDS条項を否定する方針取っている。

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ISDS条項

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 02:04 UTC 版)

環太平洋パートナーシップ協定」の記事における「ISDS条項」の解説

主権国家環境保護食品衛生薬価上限知的財産に関する国内法に基づく決定公益事業関連する規制など様々な規制設けている。 TPP含まれるISDS条項によれば、それらの規制企業将来的収益損ねる判断される若しくはTPP取り決め違反している)場合企業損害賠償求めて主権国家訴えることが可能となる。 裁判特別法廷行われ政府側が負けた場合訴えた企業賠償金支払い、仮に政府側が勝ったとしても、裁判にかかる弁護士料など諸費用政府負担させられる可能性もある。初期リークされた文書では、特別法廷員にかかる費用下限1時間あたり375ドルであったが、最終合意文書ではその費用限度撤廃された。特別法廷がその裁量以って、その額を決めることができる。よってその賠償金特別法廷員にかかる費用などは、訴えられ国家納税者負担をかけるだろう。 ISDSによる特別法廷で、政府側が賠償金支払うことを命じられ場合は、その国の有権者課される隠れた税金」となる。それは、政府によってではなく多国籍企業などの企業側によって課される税金である。 これまでの判例では、特別法廷訴えられた側と訴えた両者に対して弁護士特別法廷員料など特別法廷関連する支出支払うよう命じている。特別法廷関連するコスト平均は、政府側が約440ドル申し立てた側が約450ドルとなっている。 バーニー・サンダースドナルド・トランプという、一見すると政治に関する立場大きく違う両者が、反TPPでは一致見ている。左側は「(TPPによって)非民主的な大企業による逸脱行為正当化される」、右側は「TPP国家主権侵食する」と唱えTPPTTIP反対する。 NAFTA以後貿易協定(TPPなど)は、特定の集団アドバンテージ与えその他に不利益となるものだったNAFTA含まれる条項ゼネラルモーターズ(GM)のような多国籍企業メキシコ工場移しメキシコ自動車製造した後にその自動車米国売りつけることを容易にするものだった。これはGM収益のためはよい知らせだった。だが米国国内自動車製造会社にとっては、(メキシコの安い労働力と争わなければならないために)その会社従業員賃金カットもしくはリストラせざるを得なくなったNAFTA米国労働者にとっては悪い知らせだった。 トランプは、キャリアナビスコ大規模解雇が行われ雇用メキシコ移っていることを指摘しつつ、「サンダースは、米国貿易大損してることをわかっている」と述べている。 NAFTAでは、貿易特定の領域に関しては自由どころか保護強くなった。処方薬特許や本・映画ソフトウェア音楽著作権の保護期間などである。2016年4月時点で、米国国民一人あたりにして年間およそ1300ドル薬剤購入費やしている。これが本当に自由貿易ならばその10分の1費用ですむだろう。 カリフォルニア大学バークレー校研究者らはTPPを以下のように説明している。TPP環境労働(基準)、ヘルスケア医療に関して規制権大企業握らせるための協定であり、大企業利益になるが環境労働者保護しない性格をもち、仕事アウトソースされるために中低所得者を害する協定である。2016年アメリカ合衆国大統領選挙でのアメリカ合衆国大統領候補であるバーニー・サンダース民主党)とドナルド・トランプ共和党)、両者ともにTPP反対している。 2016年4月米国ニューヨーク市長ビル・デブラシオTPP反対の声を上げた。デブラシオは強い口調で語る。「TPP反対する熱意が我々にあるのは当然だ。我々米国国民以前にもこの手映画(すなわち北米自由貿易協定NAFTA)を見ているのだから。NAFTAがどれだけひどいものだったか我々は見てきている。その過ち繰り返すことはない。」「物欲囚われ米国中間層犠牲にした。それがNAFTAだった。NAFTAによって米国百万もの雇用失われた。ここニューヨークでも何万という職が海外にもっていかれた中流生活を送っていた人々ラグ処分させられる破目になった勤労誠実だった人々から突如として全て奪った。それがNAFTAだったのであり、同様にTPP米国悪影響もたらす考えるべきだろう。よって我々はTPP反対すべく立ち上がっているのだ。」 TPP交渉関連した文書電子メールなどが非公開となっている。しかしながら国際法観点から条約法に関するウィーン条約尊守し、交渉過程何かしらの(直接的間接的)不正が存在したかどうか確認することは重要である。例え同意に至る交渉調整過程何らかの詐欺的行為、(直接的または間接的)買収があった場合には、ウィーン条約49条・50条に則り自国同意無効にする根拠となる。脅迫などがあればウィーン条約51条に則り自国同意法的拘束力を失う。 米国離脱後の締結されCPTPP(TPP11)において、TPP協定投資に関する規定のうち、「投資対す合意」及び「投資許可違反理由とする仲裁申立てに関する規定凍結した

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