政府規制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/20 10:23 UTC 版)
「投資家対国家の紛争解決」の記事における「政府規制」の解説
民主主義的な選挙により成立した政府が有する公衆衛生、環境問題及び人権に関連した改革や立法・政策方針を実施するための能力にISDS条項が及ぼす影響について、多くの議論が巻き起こった。NAFTA加盟国でみると、政府を相手方とした係属中の案件は、現時点で60を超えており、その中には、公衆衛生、環境規制に関わる一連の請求も含まれている。政府を相手方としたこれらの請求は、そのほとんどが認められずに終わっている。 シドニー大学のパトリシア・ラナルドは、高いコストを伴う投資家からの請求を恐れて規制の立法化がなされなかった例は、カナダにおけるたばこパッケージ法案が提出されなかったケースをはじめ、いくつもあるとしている。カナダ・ヨーク大学のグス・ヴァン=ハートン准教授も、投資家の国家に対する請求(のおそれ)は、国内政府の公衆衛生や環境保護法案の通過に係る能力を顕著に抑制する可能性があり、そうであるにもかかわらず、これらの請求は、公衆に対して責任を負わず、広い憲法的・国際的な人権規範というものを考慮に入れて行動する必要がなく、紛争当事者から報酬を得ているビジネス・ロイヤーによって、秘密裡に行われている[要検証 – ノート]と指摘している。 一方で、適切な環境保護措置を制限しないか、あるいは、環境問題と自由貿易を両立する規定が設けられている協定もある。例えば、NAFTAには、生命や健康の保護において国際標準より厳しい基準を採用することを認め、また、投資促進を目的として健康、安全及び環境の規制を緩和することは不適当とする規定がある。NAFTAのS.D.Myers事件における仲裁判断では、当事国は高い環境保護レベルを設定する権利を有し、環境保護に偽装した規制を行なってはならず、環境保護と経済発展は相互補完関係にあるべきと判示した。
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